私のドッペルゲンガーは彼。彼のドッペルゲンガーは私。どこをどう切り取ってもそっくりだった。背格好も、髪の長さも、匂いも目の色も。
私たちは双子じゃない。生まれた家も地域も私たちは違う。もちろん誕生日も違うし、何より彼は男だし私は女だ。
ドッペルゲンガーに会うと死ぬというけれど、私たちは会った瞬間に命を得た。運命の相手だとすぐにわかった。すべてを捨てて共に生きることを決めた。互いになにも知らない時にそう決めてしまった。
あとになって、彼が大企業の御曹司だということがわかった。あとになって、私が競合他社の社長の愛人であることを知らせた。