エピローグ
・2歳 幼い姉弟の旅
暖かくて力強い手に引っ張られ、何かに向かってまっすぐ歩いている。
その手は小さく、決して強そうには見えない。
だが、その手の持ち主には明確な意思があった。
私の手を握るのは、わずか4歳の姉、美奈子(みなこ)。
そして、その手に導かれ、半ば誘拐されたような勢いで歩かされているのが、
まだ2歳になったばかりの私、聖(あきら)だった。
私の手を強く、痛いほど握り、歩みの遅い私を何十分…いや、
もしかしたら一時間以上も引っ張っていたかもしれない。
姉は黙々と、ただ前を見て歩き続けていた。

ときおり、私は歩道の草を触ろうとしたり、落ちている缶に気を取られたり、
正直、疲れて休みたかった。
でも、姉は立ち止まることを許さず強く手を引き、私を歩かせました。
日差しが暖かかったのに、いつの間にか太陽は雲に隠れ、
時折吹く風が少し肌寒さを感じさせる。
私はもう家に帰りたくてたまらなくなり
聖「さむい…」
美奈子「………」
返事はない。ただ黙って前を向いたまま歩く姉。
聖「ねぇちゃん、寒い!」
すると姉はピタリと立ち止まり、キッと私を睨むように見た。
美奈子「………」
その鋭い視線に私は怖くなり、とうとう泣き出してしまった。
聖「わぁぁあん、わぁあん…」
美奈子「なくな!」