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日本版 fit to fat to fit ⁉︎

「え〜!?なんですかその企画!!」

160cm、肩くらいまである茶髪の頭は揺れた。

この日渋谷綾乃はトレーニングジムの事務所で少し大きな声を出した。

「いや、まあ、上が決めたことだからさあ・・」

申し訳なさそうに頭をかがませるのはこのトレーニングジムの責任者の大山だった。

大山の額は少しテカリを見せる40代のおじさんだ。

いわゆる管理職的な立場なんだろう。

「いやいや、でも私!?って感じですよ!!もっと他に堀ちゃんとか恵美とかいるじゃないですか」

「だから上からの・・・」

大山は平謝りするしかなかったようだ。

遡ること3ヶ月前、全体会議で全国80店舗あるこのトレーニングジムの責任者が集まって会議が行われていた。その際に営業力アップのためにオリジナルドキュメンタリーの作成が決まったのだとか・・・

「じゃあ、各店舗の売り上げが悪い人間をピックアップしてその人に担当してもらおう」

と、企画担当者・社長の発言で決まってしまった。

fit to fat …は・・・・主もよくわかっていないw

まあ簡単にいうと、デブで痩せれない人のために同じくらい短期間でトレーナーが太って一緒に痩せさせるってはなし・・・なのかな??w

渋谷綾乃が堕ちるはじまり

まあそれはさておき、そんな企画の担当になってしまった渋谷綾乃。

彼女は現在、神奈川のある店舗に勤務している。

25歳独身だ。現在彼氏もおらず日々、このジムでトレーナーとして働く。

顔立ちはキリッとしていて発言もハキハキしている。物怖じしないタイプだ。

ただ、大山の天敵でもあり、他の従業員、堀ちゃん【男、29歳】や恵美【女、23歳】の方がイエスマンだから重宝されている。

「いや、だって、この2月綾乃ちゃんが一番成績悪かったから・・・」

「そんなの聞かされてません!!」

「上からの命令でさ、、。でも本当は先月の売り上げで決めてって言われてたんだよ?それをなんとか今月まで様子見て・・・ってしてたんだけど」

「え?私が今年入ってからズーーーと成績悪いって遠回しにいってるんですか??」

「いや、そういうわけじゃ・・・」

「それは先輩たち三人もいなくなってうちがまとめ役しないといけないからしたの恵美とか他の子に仕事振ってるからでしょ?」

大山はたじろぐ。

「と、とにかく、もう決まったことだから、ね!よろしく!明日会議ね!はい!」

そう言いながら事務所を足早に出て行った。

「ちょっと、、、。もう・・・」

確かにこの1年間綾乃は成績が悪かった。

特にパーソナル部門の新規も獲得できず、既存の依頼者だけ。

でもその既存客は基本的にいなくなったりもするわけで・・・。

理由は明確だった。

綾乃以上に新人、恵美などの営業がうまかった。

綾乃はハキハキしているが人にこびるのが苦手で少しその辺りが苦戦していた。

また、昨年までは先輩からの仕事がかなり流れていたこともあって、綾乃自身は売れていると錯覚していたようだった。

そんな綾乃がfit to fatに挑む。

依頼者のために増量し、減量・・・

果たしてできるのだろうか。

太るという仕事

彼女は少し大きめのキャリーケースを持って、都内に向かった。

都内といっても少し離れた、どちらかというと山の方に当たる。

「うわ〜ここ泊まるんだ。」

彼女は少し薄手の長袖シャツをまくりながら施設を見上げていた。

全国80店舗の参加者が集まるわけではない。

都内に近いものは2つの施設に振り分けられ、誰が参加しているのか、施設に止まっているのかわからない状態になっている。

「うちの会社って資金力すごいんだな〜」

なんて感心しながら綾乃はチェックインした。

ホテルというよりは保養所とか、そんなとこに近いイメージだろうか…。

部屋はシングルのベッド、それに冷蔵庫やキッチンが完備されている。

チェックインしてから担当者が部屋をノックしてきた。

「は〜い」

窓を開けて少し携帯に目を落としていた綾乃は扉の方に向かった。

「綾乃〜!」

「え、みつきじゃない」

「綾乃のグループ担当なんでよろしく!」

綾乃は笑ってみせたが内心は苦い顔をしている

「で、どういう感じなのかしら?」

「はいはい、それでは説明を・・・」

スーツ姿で、本社のバッチをつけているのが少し綾乃の癪に障る

「1ヶ月ここで生活してもらいます。一日どこに出かけても大丈夫です。ただ、必ず帰宅することを条件としています・・・」

長く続く説明にうなずくだけ頷いた。

「って感じ、これから冷蔵庫に食材詰めるんだけど、NGはあるかしら?」

「ん〜大丈夫!」

おっけ〜といいながら食材の搬入も終わった。

食事用の現金5万円とクレジットカードが渡されて、いよいよスタートした。

綾乃は部屋を一通り自分仕様に切り替えて、普段通りの生活を心がけようと思っていた。

「こんなとこ1ヶ月もいるなんて大変すぎるわ・・・」

机にはカメラが一台、食べている様子をうつさなきゃいけない。さらに監視カメラもついていたり、外食も何を食べたか全て記録映像を取らないといけない。

「1日ごとに報告って・・・。まあ、食べて給料もらえるんだからいいか」

綾乃はそう思いながら初日を終えていた。

2日目からは冷蔵庫にある食材を料理してカレーを作ってみた。

「お!意外と美味しくできてる!」

さらに、外食も近場のラーメン屋で食べたり、パンケーキなんかも食べてみた。

時刻は21時くらいに綾乃は帰宅して、報告をあげた。

「なんか久しぶりに何も気にせず食べちゃったわ」

少しだけ罪悪感を覚えつつも就寝した。

翌朝は体重はそこまで変わっていなかった。

まだほっとする自分がいることに綾乃は気づく。

「あ、私太らなきゃじゃん笑」

そう言いながらスーパーにでていった。

冷蔵庫の食材以外に欲しいものがいくつかあった。

それは甘いお菓子屋ポテチ、さらにはアイスクリームだった

「昔はめっちゃたべてたんだよねえ」

懐かしみながら好きなものをカゴに入れていく。

流石にトレーナーなんかをやると太りそうなものは避けなければいけない。

節制してきた綾乃にとってはなんとも新鮮だっただろう。

そんなこんな1週間なんとなく生活をしていた。

「あ、今日で1週間…体重報告あげなきゃ…」

綾乃は2日目の朝以来測っていなかっった体重を測った。

ー47.6

「え?ぜんぜん増えてないじゃん」

わずか1.6kgの増加に止まっていた。

綾乃は振り返ってみると、意外と食べていなかった

「うわ、やばいわ…」

彼女は自然に節制をしてしまっていたり、少し運動量が多かった。

「このままじゃまずいわね」

彼女は本当に食べたいものだけをここからはチョイスするようになった。

我慢してきたラーメン、どんもの、さらにはアイスや菓子パンなども量を一気に増やした。

次の日の夜は深夜の2時からペヤング焼きそばに白米、とんかつを用意した

「結構、今日は食べたけど、もっと食べなきゃね・・・」

そういいながら頬張っていく

「し、深夜のご飯ってこんな美味しかったっけ??」

綾乃は思わず頬が緩んだ

「はく、パゥ、く、ごく、、、」

あっという間に完食。

「あれ?食べるのってこんな楽しかったっけ?」

彼女は職業柄、ずっと節制してきた癖からどこか解放されたようだった。

それからも1日5食はまとまったものを食べるようにした。

特に彼女はピザにハマった。

「ピザってうますぎるううう」

そう言いながら大好きなビールをゴクリ・・・

「ビールも好きな時間に好きなだけ飲めるって最高よね!」

そういいながら毎日5本くらいは飲んで行くようになった。

そして、2週間目が終了した。

「なんか1週間測ってなかったけど、どうなったかな・・・」

洗面台の前に置かれた体重計、彼女の顔は少し浮腫んでいるような状態が続いていてふっくらしている

ー51.4kg

「ええ!いきなり4kgも!」

彼女はきていた部屋着を脱いで体を触ってみる。

確かに今まであった腹筋線はほとんど見えなくなり、膨らんでいる。

まだ、しっかりと脂肪はついていないが、幅や厚みが出ているように感じられた。

「す、すごいわね…っていうか食べるの楽しい・・・」

これがどんな未来をうつしているのか

審査会

「ふう…」

あっという間に一月が過ぎた。

この日でこの部屋ともお別れし、一時帰宅、そして翌日には審査会が行われる予定だった。

「やあ…なんか大きめのスウェットもキツくなったわ…」

綾乃はぱつっとした太もものあたりを触りながらそう呟いた。

今までの生活であればかなり焦っていただろう。

綾乃自身、この一月でかなり考え方も変わってきたようだった。

特に3週目に入った時から、毎日昼過ぎまでゴロゴロ過ごし、そこから食事、初めは散歩など適度に外出して外で食べたりもしていたが、出なくなってしまった。

体重は52kgを計測してからはからないようにしていた 

それはわずかながら残る彼女のプライドだったのかもしれない。太ったと自覚したくないための


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shinobu

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