伝え聞いた話では、
その人はお姫様でありながら、
頭に宝石の冠もなく、
きらびやかなドレスも着ていない。
ー白雪姫は、何によって目覚めるんだろう?ー
ある春の夜、
俺は独りその人を、
探しに出かけた。
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”Spring Snow on the White Wheel”
『白雪姫は、白の車体の上で眠る』
《FABLE版》
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最近のお伽噺は、
甘い伝説めいたものではなくって、
黒く分厚い生地の向こうに、
満点の星空を透かしたような、
結構リアルなものらしい。
この頃、俺の頭によぎるのは、
”白雪姫<Spring Snow>”のこと。
誰かの毒リンゴで永遠の眠りに落ちた白雪姫は、
凍った棺の中で、
一体、『何』によって目覚めたのか?
本当の白雪姫は、
葡萄畑の迷路の丘の、
入り組んだ場所に迷い込んだ、
白の車体の中で眠っているらしい。
このままでは、
誰かに食べさせられた毒リンゴのせいで、
眠っているまま、
きっと人生を終えていく。
伝え聞いた話では、
その人はお姫様なのに、
頭に宝石の冠は無く、
きらびやかなドレスも着ていない。
そしてその人は、
お姫様なのに、
王子様を待ってはいない。
彼女はただ深い夜の中で、
眠り続けている。
いつか来る夜明けを待ちながら、
目覚める手段も無いままに、
眠り続けている。
ある春の夜、
俺は、
その人を探しに出かけた。
その人が、
”誰なのか?”ということは、