『魂の恋』をしている者には、
共通の感情がある。
偶然出会った《”ある男”》についての記述――
☩Trace of a MAN☩

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◇Article Creation Policy_2022/5/14 | Tips
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『運命』の出会いを意図せず経験し、
雷に打たれたみたいに恋をする。
誰かを好きすぎて、あらゆるバランスを崩し、過去を破壊する。
そんな自我の崩壊のあと、自分の本質を知る。
――それが、ツインレイと出会った《印》のようなものだけど、こういう反応は女性だけのものじゃない。『魂の対』との恋愛を経験したら、男側でも苦しい胸の内や、迷い、葛藤を抱える。
不思議な磁力というのか? ――『魂の恋』を知った人間は、似たような恋を経験した者に、出会うようになっているのかもしれない。俺はこの夏、偶然”ある男”と出会った。その成り行きについては、今振り返ると奇妙なものだったけれど、同じようにツインレイなどと呼ばれる存在に出会った”その男”の呟きによって、俺は理解した。
恋に苦しむ感情は女性側だけのものじゃない。
男側も、
何倍も言い表せない想いを、抱えている。
偶然出会ったその”男”は俺より少し年上で、色白で知的な男だった。いつも胸に感情を秘めているような人物だ。
その人物について、ここに記していいのかと、実のところ結構迷った。他人の恋など触れれば壊れてしまうほど脆い。けれど俺は、”その男”の瞳や声に、《透明な痛み》を感じた。たった一人の『魂の対』を求めて傷つきながらも、想いを止められない人間特有の透明な痛みだった。だから、その痛みをどこかに残しておこうと考え、ここに記すことにした。

それは偶然の出会いだった。『対』に会った者には、独特の雰囲気がある。特に男側は女性のように内面をカモフラージュできないせいか、見分けやすい。自分が好きなら率直に好きという想いを表現する。――自分の『魂の対』に出会った男側は、知的だけどどこかアンバランスで、浮世離れしている。
彼らは、理性と本能に揺さぶられている一方、真っ直ぐで芯が通っている。どんな相手にも同じように恋愛ゲームをしかける人間たちとは、全く違う。一人の人間を愛した男側の決意が滲みだしている。
夏の終わりのある夜、俺は独りで郊外の、某ホテルのジュニア・スイートに宿泊しようと出かけた。俺の身辺のことなんか、ここで伝える意味はないけれど、静かで集中した時間を過ごしたいという目的から、翌日に仕事で大きなピークを迎える前日には、あるホテルのジュニア・スイートに一人で泊まることが多い。
その日も深夜に、仕事の山場を迎えていたから一人で某ホテルに向かった。途中、ふと、君のことを思い出した。どうしてしばらく逢えていない自分の『魂の対』のことが脳裏をかすめたのか、わからなかったけれど、俺は君のことを考えながら郊外のホテルに向かっていた。それは、何かの予感だったのかもしれない。フロントで鍵を受け取り、仕事用のデバイスを手にしてエレベーターに向かった。
深夜、最上階へ向かうエレベーターに乗ると、すぐに途中の階で止まった。ドアが開くと見知らぬ長身の男が乗ってきた。その男は酔っているようだった。俺より年上で、スーツ姿の知的な感じのする人物だった。男はすごく辛そうな表情をしながら、スマートフォンに文字を打ち込み始めた。きっと誰かにメッセージを、送っているんだろう。そう思いつつ、関わる余地などないから、目を逸らして到着階の数字を見ていた。しかしすぐに、その男の全身から、不思議な感情がじりじりと伝わってくるのを感じた。
誰かを想い、その人に触れたいと願う感情。『魂』は突き動かされるのに、なぜか相手は意味不明な拒絶をすることへの虚しさ。どこに言葉をぶつけていいかわからず、がんじがらめになる。普通の恋なら諦めがつくけれど、この恋はどういうわけか諦められない――そんな身動きの取れない状態の中でもがく、その男性の独特の怒りと愛情が、
