旅先の海辺のそばで、
”君と一緒に行けたら”、と考えた。
一緒にいられた頃には、
君と離れる距離が増すたび、愛する感情も強さを増した。
離れるほどにつのる君への想いは、
俺の全てを、
呑み込みそうになった。
どんなにか、
君のことを好きだったか、きっと誰にも分からない。
それまでの恋とは全く違う”君”への想い。
男側には自分の『魂の対』にしか、感じられない事がある。
そして真の”その人”には、ある特徴がある。
君はまだ、覚えているはず。
旅の中で考えていたのは、
二人で並んで歩いた瞬間のことだった。
そのまま、
海まで連れて、
足跡を砂に刻みたかった。

---------------------------------------------------------------
SNSを含め他サイト他記事の著者・特定の個人団体及び宗教とは一切関係ありません。
体験した恋愛を基に、独自の視点による表現手法を用いています。
※著作権法により記事の複製・無断引用・転用を禁じます。
購読前に以下を御確認ください↓。
◇Article Creation Policy_2022/5/14 | Tips
---------------------------------------------------------------

42ND STREETの喧騒の中で眠るときも、
他国の夜行列車の寝台ベッドで揺られる時も、
頭から離れないのは、
声と瞳の輝き。
離れて以来、どんな綺麗な女の人と出逢っても心は動かなかった。
八月の、
出張先の海辺のホテルは、壁の二面がガラス張りで、
ベッドから夜を眺めるたびに、
いまなぜ一緒に居られないのかと、理由を考え続けていた。
君は覚えている。
雨の夕方。
俺が無理矢理近寄って、
一瞬だけ一緒に歩いた日のことを。
それは束の間のことだったけれど、
まるで時間が止まったように、ふたりは黙った。
君はあの瞬間、
確かに俺の想いを受け止めてくれた。
その後、
君は職場から帰って行ったが、
雨に濡れた後ろ姿を見た時、心が揺さぶられた。
本当は並んで歩きたかった、ーーといつも伝えたかったが、
言葉でそうすることは許されなかった。
だから、
周りの奴等に莫迦な野郎だと思われても構わず、
雨降るパーキングで、君の隣に自分の体をすべりこませ、短い距離を並んで歩いた。
黙っていた”君”。
ゆっくり、
歩いたときの感覚。
見下ろすと、
君の小柄な体が、
戸惑いながらも、静かに歩幅を刻んでいた。
表情を変えずにいたのは分かっていたけれど、
あの時雨にうたれた君の顔は、
すごく綺麗で、