いいねは付くのに、商品は売れない。その前に「誰の何を助けるか」を1枚にする
つくれるくん|AI実践ラボ
投稿のいいねは増えた。でも、商品は買われない。
次は投稿数を増やすべきか、商品を変えるべきか。AIに相談すると、もっともらしい改善案が一度に出てきて、かえって決めにくくなることがあります。
この場面で先に作りたいのは、次のような1枚です。
【この記事で作る接点点検カード】
普段の投稿:毎日の読書を続けたい人への工夫
売っている商品:読書会を開く人への進め方
確かめたい食い違い:読む習慣を作りたい人と、会を主催したい人は重なるのか
まだ言えないこと:この食い違いが購入ゼロの原因だという断定
次にすること:開催予定のある人に、最近の準備で止まった箇所を聞き、進行の見本を使ってもらう
これは教材用の架空ケースから作った完成例です。著者や購入者の売上実績ではありません。
この記事では、数字の読み方を確かめながら、この1枚を最後まで作ります。自分用の記入欄も、無料で使えます。
1枚ができると、次は「どの商品案を残すか」「実物に何を入れるか」「投稿で何を伝えるか」が具体的に見えてきます。続く有料の実行編は、同じ材料から3案を比べ、商品1つの試作と発信まで進める構成にしています。まずは、その土台になる判断をここで済ませましょう。
1|いいねの付いた投稿と、売っている商品を並べる
本が好きなミナさんという架空の発信者で考えてみます。
フォロワーは300人。プロフィールには「毎日10分の読書を続けたい人へ。読書の工夫を発信」と書いてあります。
ある14日間の記録は、次のとおりでした。
・読書習慣についての投稿:表示1,800、いいね64、返信3
・感想の書き方についての投稿:表示1,200、いいね41、返信2
・読書会の商品の告知:表示420、いいね9、返信0
・告知URLのクリック:7件
・同期間の購入:0件
クリックした人と購入者を個人単位ではつなげていません。プロフィール訪問数、試読を読み終えた人数、買わなかった理由も不明です。
売っていたのは、「はじめての読書会を楽しくするコツ」という500円の本文記事。500円は架空の商品の設定価格です。
中身は「話す順番を決める」「感想を聞く」「時間を見る」という3つのコツと、汎用的な質問5つでした。紹介文には「初めてでも話が弾む」と書いてありますが、決まった時間で進める台本や、話が続かない場面への対応はありません。
ここで、すぐに「300人ではフォロワーが足りない」「価格が高い」「投稿と商品がずれているから売れない」と決めないでください。
今の数字は、どの原因が効いたかまでは教えてくれません。
2|数字から分かることと、分からないこと
分かるのは、記録した期間に、それぞれの数字が付いたことです。
読書習慣の投稿と商品告知で反応が違ったことも確認できます。
ただし、表示1,800を「1,800人の見込み客」とは数えられません。X公式は、表示数が必ずしもユニーク人数ではなく、同じ人の複数表示や投稿者自身の表示も含まれる場合があると説明しています。
https://help.x.com/en/using-x/view-counts
いいね64件から「64人が商品を欲しがっている」とも言えません。
投稿への共感、あとで読むための反応、発信者への応援など、押した理由はこの記録にありません。
クリック7件、購入0件でも、原因は一つに絞れません。
・会を開く予定のある人に届いていなかった
・届いたが、無料で見つかる情報で足りた
・商品の中身や、自分に合うかが分からなかった
・価格、購入時期、購入手続きなどに別の理由があった
これらは、ここから確かめる候補です。どれも、数字だけで確定した事実ではありません。
特に今回は、試読されたかも分からない段階。告知だけを次々に書き換えると、何を確かめたのかが残らなくなります。
3|数字の外にある材料を少し足す
ミナさんには、次のようなやり取りもあったとします。これも全て架空の材料です。
相談A
「来月、友人4人で本を持ち寄る会を開くつもりです。前に参加した会で質問が続かず、私も主催を迷っています。40分で使う順番と、質問が出ないときの言葉が欲しいです」
相談B
「以前、好きな本を紹介する会を3人でやったら、一人の話が長くなりました。止める言い方に困ったので、時間の区切りが書いてあるものがあると使うかもしれません」
返信C
「私は集まる予定はなくて、自分が読む時間を作りたいです」
返信D
「会は6人、90分です。毎回進行は決めています。無料の質問集で足りています」
AとBからは、順番や時間配分、司会の言葉を考える場面が見えてきます。
一方でCは、主催者向け商品には合わなさそうです。Dも、4人・40分の見本をそのまま使う対象ではありません。
都合のよいAとBだけを残すと、AIは「読書好き全員に必要」と話を広げるかもしれません。合わない材料も一緒に渡します。
なお、Aの「友人4人」が本人を含むのかは不明です。Bの「使うかもしれない」は購入意思ではありません。この二つも、確定させずに残します。
4|AIには、改善案の前に材料を仕分けてもらう
AIを使うときは、まず上の記録と商品内容、4件のやり取りを貼ります。実際の顧客との会話なら、名前や連絡先、私的な内容はそのまま入力せず、利用するAIに渡してよい範囲へ絞ってください。
続けて、こう頼めます。
【コピーして使う依頼文】
以下の材料だけを使って、投稿と商品の接点を点検してください。
①記録にある事実、②まだ分からないこと、③原因の候補、④次に確かめること、に分けてください。
表示数を人数とみなさず、いいねや「使うかもしれない」を購入意思に変えないでください。合わない人の発言も残してください。
商品と投稿の食い違いが見つかっても、売れない原因だとは断定しないでください。材料にない市場規模、実績、相手の気持ちは足さないでください。
AIの返事は、元の材料と見比べます。
「読書会主催者に強い需要がある」と出たら、どの材料で「強い」まで言えるのかを確認します。答えがなければ、その文は使いません。
今回なら、人が採用できる結論はこの程度です。
「普段の発信で扱う『一人で読む習慣』と、商品が扱う『複数人の会を進める作業』には違いがある。開催予定のある人向けに、具体的な進行の見本を試す余地はある。ただし、投稿の読者に主催者がどの程度いるか、見本が必要か、購入するかは未確認」
売れると判定してもらう代わりに、次に何を確かめるかを絞れれば、この段階では役に立っています。
5|完成した1枚を見る
【接点点検カード 架空ケースの完成版】
今の投稿で助けている作業
毎日の読書を続けること、読んだ感想を書くこと。
今の商品で助けようとしている作業
本を持ち寄る会を主催し、順番や時間を決めて進めること。
接点があるかもしれない人
本が好きで、少人数の会をこれから開く予定があり、進め方をまだ決められていない人。
その仮説に使った材料
相談Aの開催予定と、順番・司会の言葉への要望。相談Bの長話に区切りを付けられなかった経験。
合わない材料
返信Cは集まる予定がない。返信Dは6人・90分で、既存の無料資料で足りている。
現時点で分からないこと
実際に困っている人の広がり、支払い意思、購入ゼロの原因。相談Aの参加人数の数え方も不明。
先に直せること
裏付けのない「初めてでも話が弾む」という紹介をやめ、今の記事に実際に入っているコツと質問だけを説明する。
次に試すこと
開催予定のある本人に最近の準備状況を聞き、条件が合えば「主催者を含む4人・40分」の進行見本を使ってもらう。使いづらい箇所を観察する。
まだしないこと
フォロワー全体に需要があると決めること。確認前に商品を大量に増やすこと。購入ゼロを価格だけの問題とみなして値下げすること。
この1枚から決められるのは、次に確かめる作業です。
「まずフォロワーを増やす」と決める前に、誰がどの場面で使う商品なのかを、ここまで具体的にできます。
6|自分の商品で埋める
【自分用の接点点検カード】
最近の投稿で扱っている作業:
商品で助ける作業:
両方に関係がありそうな人と場面:
その根拠になった実際の記録:
この仮説に合わない記録:
数字だけでは分からないこと:
中身を確認すれば今すぐ直せる紹介文:
次に確かめることを一つ:
最後の欄で迷ったら、次の分岐を使ってください。
・当てはまる人の具体的な記録がない
商品名を決める前に、公開されている本人の困りごとや、同意を得た会話を確認する。AIが作った人物像は証拠に入れない。
・具体的な困りごとはあるが、何が必要か分からない
「最近、その作業をしたときは、どこまで進みましたか」と聞く。まだ困っているかどうかも決めつけない。
・困りごとと使う場面があり、見本もある
その見本で具体的な作業をしてもらい、止まった場所を見る。「便利ですよね?」と答えを誘導しない。
・使えたが、購入されない
使えることと、支払うことを分けて記録する。無料の代替手段、必要な時期、価格、内容の範囲を改めて確かめる。
具体的な過去の経験を聞く考え方は、Nielsen Norman Groupの無料のユーザーインタビュー解説でも確認できます。
https://www.nngroup.com/articles/user-interviews/
使っている様子を見て、説明や手順の問題を確認する方法は、GOV.UKの無料ガイドにもあります。
https://www.gov.uk/service-manual/user-research/using-moderated-usability-testing
どちらも、売れるテーマを当てるための答え一覧ではありません。今回の点検カードも、需要や売上を保証するものではありません。
7|点検の次に、どこまで作るか
ここまでで、今の発信と商品を見比べる1枚が完成しました。
すぐ商品を作り直さず、先に聞くことを一つ決められたなら、そのまま使ってみてください。
商品候補がいくつも出て選べない場合には、さらに「根拠がある案だけを残す」「一つの実物を作る」「その中身から発信テーマを決める」という工程が必要です。
販売価格1,000円の有料ワークブックで扱うのは、この次の作業です。同じミナさんの材料から3つの商品案を比べ、採らない案の理由を残し、4人・40分の読書会キットを実物にします。そこから試読冒頭と役割の違う投稿3本を作り、試用の場面で何が起きたらどこを直すかまでつなげます。
実行編の中心は、AIの案を「採る・直す・止める」と判断する練習です。AIへ渡した材料と実際の出力、人が採用・修正した理由を追える形にしています。無料で作った点検の1枚に、自分が作れる根拠と無料の代替手段の記録を足して、次の入力に使うための実行編です。
まずは、この無料の1枚で十分です。次に書く投稿が、誰のどの作業につながるのかを確かめるところから始めてみてください。
この1枚を埋めたあと、商品候補の比較から実物・発信まで進めたい方は、実行編を確認してください。
有料ワークブック:売る商品と投稿テーマを決める(1,000円)
出典について
公開情報の確認日は2026年10月1日。記載したリンクは表示数の意味や調査方法を確かめるためのもので、この架空商品への需要を示す資料ではありません。
