「AIへの頼み方」を少し変えるだけで仕事が速くなる|状況と条件を渡す型

西脇達也|2店舗経営|AI活用集客

西脇達也|2店舗経営|AI活用集客

AIを使い始めて少し経つと、「それなりの答えは出てくるけど、なんかズレてる」と感じる瞬間があります。 頼んだメールが堅すぎる。提案を出してほしかったら当たり障りのないものばかり。こちらの意図とは微妙に違う文章が出てきて、結局自分で書き直す時間のほうが長くかかる。 これはAIの性能の問題ではありません。「依頼の渡し方」の問題です。 AIは「あなたのことを何も知らない状態」でスタートします。職種・状況・相手・目的・トーン——これらを教えてもらわないと、一般的な正解を返すしかありません。 この記事では、AIへの依頼に「状況と条件(コンテキスト)」を添えるだけで出力が変わる理由と、すぐ使える型を紹介します。プロンプトの難しい技術というより、「人への頼み方」と同じ感覚で使えるものです。

なぜAIは「汎用的な答え」しか出さないのか

たとえば、職場で同僚に「資料を作っておいて」と頼んだとします。どんな相手向けか、分量はどのくらいか、いつまでに必要か——何も伝えなければ、相手は「無難な構成」で作るしかありません。それがぴったり合えばラッキーで、たいていはズレています。 AIでも同じことが起きています。「メール文を作って」と言えば、「ビジネスでよく使われる一般的なメール」が出てきます。それはそれで正しい答えですが、あなたが今必要としているものとは違うかもしれません。 AIは聞き返しません。「どんな状況ですか?」「相手は誰ですか?」とは聞かず、与えられた情報だけで答えを出します。だからこそ、こちらから先に「状況」を渡してあげることが大事です。 これがコンテキスト渡しの本質です。難しい技術ではなく、ただの「事前の情報共有」です。

AIに渡すべき「5つの要素」

コンテキストといっても、何でもかんでも渡す必要はありません。次の5つが基本の要素です。

  1. 自分の立場や状況(職種・業種・今どんな状況か)
  2. 相手は誰か(使う相手・関係性・対象者の特徴)
  3. 目的(何のために、何を作りたいか)
  4. 条件・制約(文体・分量・使ってほしくない言葉など)
  5. 参考情報(具体的な内容・過去の例・固有名詞など)

この5つをすべて渡す必要はありません。実際には①②③の3つだけで精度が大きく変わることが多いです。 大切なのは「AIが何も知らない前提で、最低限の情報を渡す」という考え方です。新しいアルバイトスタッフに仕事をお願いするときと同じ感覚です。「ここに来たのが初めての人でも動けるくらいの説明」を意識すると、渡す量が自然とわかってきます。

コピペOKのテンプレート(そのまま使える)

以下のテンプレートを使ってみてください。不要な行は削除してOKです。冒頭の「目的・依頼内容」の部分に何を作りたいかを書き、各欄を埋めるだけです。

以下の情報をもとに、[目的・依頼内容]をお願いします。

【背景・状況】
・自分は:[職種・立場]
・今の状況:[現状や課題の説明]
・使う相手や場面:[対象者・使用場面]

【条件・制約】
・文体:[例:丁寧語 / カジュアル / 箇条書き]
・分量:[例:300字程度 / A4一枚]
・避けたいこと:[例:専門用語は使わない]

【参考情報(任意)】
[具体的な補足・過去の例など]

このテンプレートに「絶対に全部埋めなきゃいけない」というルールはありません。時間がなければ【背景・状況】だけ書いて送ってみるだけでも、出力の精度が上がります。 慣れてくると、各欄を埋める所要時間は1〜2分で済みます。それで出てきた出力が使えるものになれば、書き直しの5〜10分が丸ごと省けます。積み重なると仕事全体のペースが変わってきます。

実際に使ってみた例(検証済み)

テンプレートを実際に使って試しました。スタッフへの業務引継ぎメールを作るシーンです。以下がそのプロンプトです。

以下の情報をもとに、新入スタッフへの業務引継ぎメールの文案を作ってください。

【背景・状況】
・自分は:2店舗を経営する個人事業主
・今の状況:長く働いてくれたスタッフが退職するため、後任スタッフに日常業務を引き継ぐ必要がある
・使う相手や場面:後任スタッフへ送る社内メール

【条件・制約】
・文体:丁寧語だが親しみやすいトーン
・分量:350字前後
・避けたいこと:堅苦しい敬語、業界専門用語

【参考情報】
引き継ぐ主な業務は「毎朝の売上入力(スプレッドシート)・週1回の在庫チェック・SNS投稿(週3回)」の3つ。

このプロンプトをAIに渡したところ、次のような文章が出てきました。

〇〇さん、こんにちは。このたびは新しく仲間になってくれてありがとうございます。引き継ぎいただく主な業務は以下の3つです。①毎朝の売上入力(前日分の売上をスプレッドシートに入力)②週1回の在庫チェック(補充が必要なものをリストアップ)③SNS投稿(週3回・月水金を目安に)。最初はわからないことも多いと思いますが、焦らず少しずつ覚えていただければ大丈夫です。何か気になることがあればいつでも声をかけてくださいね。実際にAIが出力した文章(一部)

文体・分量・トーンがすべて意図した通りに出てきました。「350字前後」の指定に対して330字ほどで収まり、親しみやすい言葉遣いで書かれています。このままスタッフに送れる品質でした。 「コンテキストを渡す前」の依頼(「スタッフへの引継ぎメールを作って」だけ)と比べると、出力の「そのまま使える度」が明らかに違います。一度試してみると、その差がはっきりわかります。

コンテキストを渡す量の「ちょうどいい加減」

コンテキストを渡すことに慣れてくると、「どのくらい書けばいいのか」という疑問が出てきます。 結論から言うと、「5〜8行のメモ」が目安です。それ以上長くなると、AIが条件に引きずられてぎこちない文章を出すことがあります。少なすぎると一般的な答えに戻ります。 依頼の複雑さに合わせた目安はこちらです。

  • シンプルな依頼(短いメール・要約など):自分の立場と目的の2行だけでOK
  • 中程度の依頼(提案・企画・説明文など):立場・相手・目的の3要素を3〜5行で
  • 複雑な依頼(専門的な文書・長文の構成など):5つの要素すべてを8〜10行で

「渡しすぎてもダメなんだ」という感覚は最初は意外かもしれません。でもAIは、情報が多すぎると条件をすべて満たそうとして、かえってぎこちない文章を出すことがあります。 人間が「あれもこれも盛り込もうとして失敗する」のと同じです。まずシンプルに渡して、出てきた答えを見てから「もう少し短く」「もっとやわらかいトーンで」と追加するほうが、結果的に早く仕上がります。

よくある失敗パターン3つ

  • 条件だけ渡して背景を渡さない:「箇条書きで5つ書いて」と伝えても、何についての5つかがわからなければ汎用的な内容になる。「自分が何者でどんな状況か」を先に渡すことが大切。
  • 「いい感じに」「わかりやすく」という曖昧な条件を使う:AIには伝わらない。「中学生でも読めるように」「読んだ人がすぐ次の行動に移れるように」など、具体的なイメージで指定する。
  • 一度のプロンプトで完璧を求める:最初から条件を詰め込みすぎると精度が下がる。まず出してもらって、「もう少し短く」「トーンをやわらかく」と追加で調整するほうが早いし、結果がいい。

まとめ

AIへの依頼でズレが生まれる原因のほとんどは、「情報を渡していないこと」です。 今日紹介した型を1回だけ試してみてください。次にAIに何かお願いするとき、まず「自分の立場」「相手・使う場面」「目的」の3行を先に書いてから依頼してみる。それだけで出てくる答えが変わります。 慣れると、型を使わなくても自然に「コンテキスト込みの依頼文」が書けるようになります。そうなると、AIは本当に使い勝手のいいアシスタントになります。仕事の中でAIに頼む時間が増えるほど、この感覚が積み重なっていきます。 何か試してみた感想や、こんな場面で使ってみたという話があれば、ThreadsやInstagramでぜひ教えていただけると嬉しいです(@tatsuya.nishiwaki_)。気軽に反応してもらえると励みになります。


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