【第1章】休職を決めた日
その日は、某最強が週刊誌で真っ二つになった日だった。
家を出た。電車に乗った。地下街を歩いているうちに「やば、死ぬかも」と思った。
スマホで駅チカの心療内科を探して、3件目のところで「受診できますか?初診なんですけど」と聞いた。
受付の事務員さんが優しい声で「10:30なら空いてますが」といった。
やった。速攻で社内Lineで、通院のため遅れますと連絡した。でも今日は休むぞ。
別にサボるわけじゃない。本当に危ないと思ったからだ。
10:30まで1時間以上ある。
カフェで時間をつぶすことにした。
カフェに入って、カフェラテを頼んだ。
普段は紅茶しか飲まない。呪文のようなコーヒーにするか、スチームミルクにするか3秒悩んでカフェラテにした。
甘くて、ふわふわしたものが飲みたかった。理由なんてなかった。ただ、そんなものが飲みたかった。
カフェラテを飲みながら、スマホでnoteを開いて、下書きを書いた。
タイトルは「休職します」
内容は、
・体調が悪いので、会社を休みます。
・診断書をもらって、会社に提出します。
・しばらくnoteもお休みします。
・復帰したらまた書きます。
こんな感じのことを書いた。
下書きを保存して、noteを閉じた。
10:30になったので、心療内科に行った。
受付で保険証を出して、問診票をもらった。
問診票に、
・最近、眠れていますか?
・食欲はありますか?
・気分はどうですか?
・仕事のことで悩んでいますか?
みたいなことが書いてあったので、正直に答えた。
しばらくして、診察室に呼ばれた。
先生は優しそうな人だった。
問診票を見ながら、いくつか質問された。
「いつから調子が悪いですか?」
「何かあったんですか?」
「会社で何かありましたか?」
私は、正直に答えた。
「会社でちょっと色々あって、空を飛びたくなって、あ、これはやばいかもと思って」
「そうですか。よく眠れるように薬を処方しておきますから、来週また来てくださいね」
先生はそう言って、診断書を書いてくれた。
「病名は、うつ病です」
そう言われた。
うつ病。だろうな、と思った。
でも、3ヶ月休養の診断書をもらえたので、会社を休むことができる。
そう思って、安心した。
心療内科を出て、会社に向かい、上司に診断書を渡した。
上司は唖然としたような、納得したような顔をしてた。
『えっ…』と小さく漏らした後、何かを悟ったようにうなずいた。
心当たりがありすぎたんだろう。あたりまえだ。前週の金曜に狭い会議室に呼び出され、30分みっちり説教されたのだ。
「すみません。今日は、これで帰ります」
「…気を付けて」
これで、会社を休むことができる。
そう思って、ホッとした。
その日は、某最強が週刊誌で真っ二つになった日だった。
でも、私にとっては、そんなことどうでもよかった。
もうなぁんにも考えたくなかった。ただ、仕事を休むことができる。
それだけで、嬉しかった。
【第2章】「在宅でいいじゃん?」と簡単に言われる現実
翌日、社内Lineが騒がしかった。