技術士R07【1203農業部門-農業農村工学】Ⅱ-2-1|1200字では伝えきれない!骨太論述と全詳解|ほ場再整備による担い手育成等
小泉士郎🎈|技術士(建設・総監部門)×セルフケア
🔷R07_Ⅱ-2-1|過去問題
過去にほ場整備を実施した平坦な水田地帯において、生産コストの更なる削減に加え、新たな担い手の育成・確保のため、ほ場の再整備を計画することとなった。 この業務を担当責任者として進めるに当たり、以下の内容について記述せよ。
(1)計画策定に際して、調査、検討すべき主な事項とその内容について述べよ。
(2)業務を進める手順を示し、業務遂行上、留意すべき点及び工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_Ⅱ-2-1【1.5倍論述のための】骨子例
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
1)既存ほ場と営農状況の調査
・ほ場の区画規模・形状と土壌条件の測量調査
・担い手農家の経営規模と農地集積意向の把握
2)大区画化と農地集積の検討
・大型農機対応の標準区画規模と換地手法の検討
・地下水位制御システム導入による水田汎用化
3)生産コスト削減効果の分析
・作業時間短縮と維持管理費削減効果の試算
・費用対効果分析による事業妥当性の検証
4)環境保全と地域調和の検討
・生態系調査と多自然工法等の環境配慮措置
・景観配慮と地域コミュニティへの影響評価
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
1.基礎調査段階
・現地測量、土質調査による基礎データ収集
・ドローンとGIS活用による効率的現況把握
2.基本計画策定段階
・最適区画規模の設定と換地計画基本方針の立案
・3次元設計とモデル区画による視覚的効果提示
3.実施設計段階
・詳細測量と用排水施設の詳細設計実施
・ICT施工技術導入による精度向上と工期短縮
(3)関係者との調整方策
①地権者及び耕作者
・複数回の事業説明会と個別面談の実施
・先進地視察と地元推進協議会の組織化
②担い手農家
・経営規模拡大計画の聴取と農地集積目標設定
・スマート農業対応基盤整備の提案と検討
③行政機関及び関係団体
・市町村、土地改良区との定期的協議体制構築
・補助事業採択に向けた国・県との綿密な協議
🔷R07_II-2-1【深掘り考察】設問(1)解答
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
1)既存ほ場と営農状況の調査
計画の目標である生産コスト削減と新たな担い手の育成・確保を達成するため、現状の課題とニーズを詳細に把握する必要がある。既存ほ場については、区画規模、形状、用排水路の配置状況を測量調査により把握する。土壌条件として土層構成、透水性、地下水位を調査し、暗渠排水や地下水位制御システムの必要性を判断する。また、現在の営農形態、作付体系、使用農機の種類と規模を把握するとともに、担い手農家の経営規模、労働力、農地集積意向を聞き取り調査により明確化する。
2)大区画化と農地集積の検討
生産コスト削減と担い手による効率的な大規模経営を可能にするため、ほ場の区画構造の抜本的改善を検討する。大型農機の効率的利用を前提とした最適な標準区画規模を設定し、直線的な区画形状と適切な長辺・短辺比を計画する。担い手への農地集積を促進するため、換地手法による集団化を検討するとともに、収益性の高い畑作物導入を見据えた地下水位制御システムの導入可能性を検討し、水田の汎用化を図る。
3)生産コスト削減効果の分析
計画の目標達成度を検証し、事業の妥当性を証明するため、経済効果を定量的に評価する。区画拡大による作業時間短縮効果を試算し、労働費削減額を算定する。用排水路の統合・改良による水管理の省力化、畦畔面積減少による維持管理費削減効果を評価する。整備費用と営農経費削減効果から費用対効果分析を実施し、事業の経済的妥当性を検証するとともに、多面的機能支払制度等の活用による維持管理費の軽減策を検討する。
4)環境保全と地域調和の検討
事業実施に伴う環境への影響を最小限に抑えるため、生態系調査を実施し、水路の多自然工法や魚道設置等の環境配慮措置を検討する。また、地域住民の理解を得るため、景観への配慮や地域コミュニティへの影響を評価し、事業の持続可能性を確保する方策を立案する。
🔷R07_II-2-1 <1200字では伝えきれない!解答(2)・(3)全文>
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
