🔷R07_Ⅱ-2-1|過去問題
UAV(Unmanned Aerial Vehicle)は、高所あるいは人が容易に近づくことが難しい箇所で写真や光学的計測を行うことで、詳細調査・補修等に至る前段階の活用が可能な技術であり、最近は入手しやすく、操作が容易なUAVも増えている。令和6年能登半島地震をはじめとしてUAVを活用することにより、山腹崩壊や河道への土砂流出、インフラ被害等災害後の迅速な状況把握がなされている事例も増えている。
大規模な地震災害の発生直後、ヘリコプターによる上空からの調査により被災地域の斜め写真が大まかに分析され、被災を受けた箇所がある程度特定された状況において、二次災害発生や施設の被害の拡大を防止・軽減すること等を目的に、UAVを活用して河川、砂防及び海岸の分野を対象とした被災状況や被災施設等の把握を急ぎ実施することとなった。あなたがこの業務の責任者となった場合を想定して、下記の内容について記述せよ。
(1)当該業務着手に当たって、あらかじめ調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)留意すべき点、工夫を要する点を含めて当該業務を進める手順について述べよ。
(3)当該業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_Ⅱ-2-1|骨子例
1.事前調査・検討事項の整理
1.既存資料の収集・整理
・ヘリコプター調査による斜め写真や施設台帳等の収集
・被災箇所の概略位置と施設諸元の整理
2.UAV運用条件の確認
・気象条件、飛行禁止区域、電波障害の事前調査
・災害後の電力供給や通信環境への対応検討
3.調査優先順位の設定
・二次災害リスクと重要インフラへの影響度評価
・河川・砂防・海岸の重点調査項目の設定
4.撮影・計測手法の選定
・被災状況に応じた最適手法の選定
・データ活用計画の策定
2.本業務を進める手順、及び留意点・工夫点
①飛行計画策定・安全確認
・詳細な飛行計画の策定と気象・地盤状況の慎重評価
・複数の代替ルート準備とリアルタイム対応体制構築
②現地調査・撮影実施
・優先順位に基づく系統的なUAV撮影実施
・複数機体の使い分けと地上班連携による死角解消
③データ解析・被害判定
・オルソ画像、DSM、3Dモデル等の作成
・AI画像解析技術活用による迅速な被害判定
3.効率的・効果的に進める関係者との調整方策
1)災害対策本部・自治体
・調査結果の迅速共有体制構築
・調査優先度変更要請への柔軟対応
2)救急・救助機関
・飛行空域調整と運航計画策定
・通信チャンネル統一による緊急時情報共有
3)航空管制機関
・災害時特別飛行許可の迅速取得
・他航空機との競合回避調整
4)地域住民・施設管理者
・調査目的と安全対策の事前説明
・プライバシー保護配慮と信頼関係構築