🔷R07_I-1|過去問題
イノベーション(Innovation)とは、「革新」や「刷新」「新機軸」「新結合」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」などを意味する言葉で、革新的な技術や発想によって新たな価値を生み出し、社会に大きな変化をもたらす取組を示す。
資源工学部門は、産業や生活の基盤となるエネルギーや鉱物を安定的に世の中に供給するという社会的に重要な使命を持つ。一方、地下資源は有限で開発が容易な新規鉱床は減少するとともに、資源の開発・操業における地球環境への配慮に関する社会的要請は高まっている。
これら難しい状況を克服し、地球環境の持続性を保ちながら、世の中の変化に伴って変動する需要に応えてエネルギーや鉱物を安定的に供給するために、イノベーションが求められている。
上記を踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)資源工学分野におけるイノベーションに関して、資源工学部門の技術者の立場で多面的な観点から、今後イノベーションが必要と考えられる3つの技術課題を抽出し、観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べたうえで、その技術課題に対する複数の解決策を、資源工学部門の専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示した解決策を実行して生じる波及効果及び懸念事項に対する対応策を、専門技術を踏まえて示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から題意に即して述べよ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_I-1|骨子例
1.イノベーションが必要な技術課題
(1) 観点1:資源探査・開発効率の向上
・AI・機械学習による地質データ解析技術と三次元地質モデリングの精緻化
・リモートセンシングとドローン探査の融合による探査コスト削減
(2) 観点2:環境負荷低減と操業安全性の確保
・IoTセンサーによる環境モニタリングとバイオレメディエーション技術
・坑内作業の無人化・自動化による労働災害リスク低減
(3) 観点3:資源循環システムの構築
・都市鉱山からのレアメタル回収技術と高効率選別技術
・LCA評価に基づく経済性と環境性を両立する技術体系
2.最重要課題およびその解決策
(1) 最重要課題:資源探査・開発効率の向上
・探査精度と開発効率向上による環境負荷低減と資源循環への波及効果
・経済性確保による環境対策とリサイクル技術開発への投資余力創出
(2) 解決策1:AI・機械学習による地質データ解析システム
・ビッグデータ解析による鉱床分布予測精度向上と三次元自動推定
・JORCコード準拠の資源評価への機械学習組込
(3) 解決策2:リモートセンシングとドローン探査の融合
・衛星画像解析とドローン搭載型探査の組合せによる広域地質構造把握
・ハイパースペクトルセンサーとリアルタイムデータ転送によるリードタイム短縮
(4) 解決策3:デジタルツイン技術による鉱山操業最適化
・三次元モデルによる採掘計画から選鉱プロセスまでのシミュレーション
・IoTセンサーによるリアルタイム統合と予知保全システム
3.波及効果および懸念事項への対応策
(1) 波及効果
・AI・機械学習による投資リスク低減と新規鉱床開発促進
・デジタルツイン技術によるエネルギー消費量削減とデータ透明性向上
(2) 懸念事項及びその対応策1:サイバーセキュリティリスク
・多層防御システム構築と定期的な脆弱性診断
・バックアップ体制整備と従業員へのセキュリティ教育
(3) 懸念事項及びその対応策2:技術導入コストと人材不足
・段階的導入計画と費用対効果の高い技術の優先実装
・リスキリング教育と産学連携による人材育成
4.業務遂行に必要な要件
(1) 技術者としての倫理の観点
・個人情報保護と企業機密保持、資源量評価における不確実性の適切な開示
・従業員へのリスキリング機会提供と安全性最優先の技術的判断
(2) 社会の持続可能性の観点
・開発効率化利益の環境保全・地域貢献への還元と生態系保全への配慮
・デジタル技術による省エネルギー化とリサイクル性を考慮した資源管理