技術士R03【1203農業部門-農業農村工学】Ⅱ-2-1 |1200字では伝えきれない!骨太論述と全詳解|ため池の機能診断と健全度評価
小泉士郎🎈|技術士(建設・総監部門)×セルフケア
🔷R03_Ⅱ-2-1|過去問題
ため池管理者が行う日常点検で変状が確認され、ため池機能低下の有無及び施設の変状(劣化)の進行状況をより詳細に確認・把握する機能診断、健全度評価を行うこととなった。
あなたがこの担当責任者として業務を進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
「日本技術士会」HP
🔷R03_Ⅱ-2-1【1.5倍論述のための】骨子例
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①堤体・基礎地盤の安定性評価
・変状箇所の詳細把握と土質定数取得による安定性の定量評価
・物理探査と改修履歴分析による内部空洞と構造的弱点の特定
②洪水吐・取水施設の機能診断
・コンクリート劣化状況と最新降雨確率に基づく流下能力の検証
・管内カメラ調査による通水・止水機能と材料劣化度の診断
③健全度評価と変状原因の特定
・技術基準に基づく健全度判定と変状メカニズムの総合分析
・応急対策または抜本改修の緊急性と方向性
④下流影響評価と対策優先度の検討
・決壊時の被害ポテンシャル評価と対策優先順位の決定
・ハザードマップ更新への反映検討
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
▽手順①:事前準備と調査計画策定
・過去記録の時系列整理と工学的仮説に基づく調査計画
・ドローン空撮画像分析による重点調査箇所の効率的特定
▽手順②:詳細現地調査の実施
・水位低下による水没箇所確認と安全管理の徹底
・物理探査との組合せと電子野帳による現地データ即時整理
▽手順③:室内試験・安定解析
・原位置に近い強度・透水特性の取得と浸透流・安定計算
・感度分析による危険条件把握と評価信頼性の向上
▽手順④:健全度評価・報告書作成
・統一基準と下流被害を考慮した対策優先順位の決定
・変状リスクマップによる可視化と合意形成の円滑化
(3)関係者との調整方策
◇ため池管理者との調整
・過去履歴の詳細聴取と現地立会いによる危機意識の共有
・図解資料を用いた住民説明支援
◇地域住民・水利組合との調整
・非かんがい期の水位低下と騒音・振動対策の実施
・中間報告会による進捗共有と信頼関係構築
◇行政機関との調整
・補助要件適合性の協議と次年度予算確保資料の作成
・ハザードマップ見直しと法規制遵守の調査方法選定
◇調査実施業者との調整
・安全確保と堤体への悪影響防止を含む施工計画の立案
・現場データの速報確認と柔軟な調査変更対応
🔷R03_II-2-1【深掘り考察】設問(1)解答
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①堤体・基礎地盤の安定性評価
日常点検で確認された変状箇所を中心に、堤体の漏水状況、法面の膨らみや亀裂、不同沈下の有無を目視・測量により詳細把握する。ボーリング調査や標準貫入試験により土質定数を取得し、浸透流解析および円弧すべり計算を実施して常時・地震時の安定性を定量評価する。併せて弾性波探査等の物理探査により、堤体内部の空洞や漏水経路を非破壊的に調査し、過去の改修履歴等の資料から構造上の弱点を特定する。
②洪水吐・取水施設の機能診断
洪水吐のコンクリート劣化状況を確認するとともに、最新の降雨確率に基づく水理計算により流下能力の充足性を検証する。取水施設については、ゲート作動確認に加え管内カメラ調査により管体破損や継手のズレ、腐食状況を把握し、通水・止水機能を診断する。コンクリート構造物は中性化深さ試験等により材料劣化度と残存寿命を推定し、堆砂測量により有効貯水容量の減少率を把握する。
③健全度評価と変状原因の特定
各施設の調査結果を技術基準に照らし、A(対策不要)・B(要観察)・C(要対策)等の健全度判定を行う。変状原因が地質条件、水理条件、地震、経年劣化のいずれに起因するかメカニズムを総合分析し、応急対策または抜本改修の緊急性と方向性を検討する。
④下流影響評価と対策優先度の検討
下流域の人家・公共施設の分布状況を把握し、決壊時の被害ポテンシャルを評価する。健全度評価結果と下流リスクを組み合わせ、対策の優先順位を決定するとともに、ハザードマップ更新への反映を検討する。
🔷R03_II-2-1 <1200字では伝えきれない!解答(2)・(3)全文>
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
