「ちゃんと説明したはずなのに、伝わっていない」
仕事で手順を教えたとき。友人におすすめの本を紹介したとき。誰かに自分の考えを伝えたとき。
相手の反応がいまひとつだと、こう思いませんか?
「もっと詳しく説明した方がよかったのかな?」
でも、ちょっと待ってください。
もしかすると、必要なのは説明を増やすことではなく、説明の順番を変えることかもしれません。
?QUIZ
友人に、初めて読む本をおすすめするとします。
あなたなら、どちらの説明をしますか?

- A| 著者の経歴、出版された背景、章ごとの内容まで詳しく説明する。
- B| 「この本は、やりたいことが多すぎて疲れている人におすすめ」と、まず一言で伝える。
どちらが正解でしょうか?
実は、相手がどんな情報を求めているかによって答えは変わります。
ただ、相手が「自分に合う本なの?」と知りたい段階なら、Bの方が判断しやすそうです。
なぜでしょうか。
人が一度に処理できる情報には限りがある
私たちは、新しい情報を理解するとき、「ワーキングメモリ」と呼ばれる仕組みを使っています。
これは、情報を一時的に保持しながら考えるための働きです。
ところが、一度に扱える情報には限界があります。
たとえば、初めて聞く仕事の説明で、手順、例外、注意点、専門用語を一気に伝えられたらどうでしょう。
全部大切な情報だったとしても、頭の中で整理するのは大変です。

教育心理学の「認知負荷理論」でも、情報を処理する負担が大きすぎると、学習や理解が妨げられることが説明されています。
つまり、情報が正しいことと、相手が理解できることは別なのです。
伝わる説明は、相手の疑問から始まる
では、どうすればいいのでしょうか。
一つの方法は、「自分が何を話したいか」より先に、「相手が何を知りたいか」を考えること。
先ほどの本の例なら、相手の疑問は「著者はどんな人?」ではなく、「自分が読む価値はある?」かもしれません。
それなら、最初に伝えるべきなのは本の詳しい歴史ではなく、読むことで得られるものです。
米国政府の平易な文章作成ガイドラインでも、読み手が何を知りたいのかを考え、その人に合った言葉で説明することが勧められています。
これは、難しい内容を無理やり簡単にするという意味ではありません。
相手に必要な情報を、必要な順番で届けるということです。

今日から使える「結論 → 理由 → 詳細」
説明するときは、次の順番を試してみてください。

- ① 結論: 一番伝えたいことを一言で。
- ② 理由: なぜ、それが大切なのか。
- ③ 詳細: 相手が理解するために必要な情報を補う。
例えば、仕事の手順を説明するなら、
「まず、この作業ではミスを防ぐために確認が大切です」
と目的を伝えてから、具体的な確認方法を説明する。
これだけでも、相手は「何のために聞いているのか」を理解しやすくなります。
もちろん、複雑な内容には十分な説明が必要です。
大切なのは、短くすること自体ではありません。
相手が迷わず理解できる道筋を作ること。
💡 ONE IDEA
伝えるとは、知っていることを全部話すことではない。相手が理解できる順番に並べること。
今日、誰かに何かを説明するとき。
話し始める前に、一つだけ考えてみてください。
「この人が、今いちばん知りたいことは何だろう?」
その問いが、説明を変える第一歩になるかもしれません。
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