スーパーで売れ残った弁当。
コンビニで廃棄されたおにぎり。
飲食店で捨てられた食材。
多くの人は、それらを「食品ロス」と呼ぶ。
しかし米国では今、そのゴミの中にあるデータに企業が巨額の投資を始めている。
なぜか。
企業が欲しいのは廃棄された食品ではない。
「なぜ廃棄されたのか」という情報だからだ。
国連環境計画(UNEP)が2024年に公表したFood Waste Index Reportによると、世界では2022年に約10.5億トンの食品が廃棄された。
これは消費者向けに供給された食品の約19%に相当する。
さらに食品廃棄による経済損失は年間約1兆ドル(約160兆円)と推計されている。
160兆円。
これは日本の国家予算を大きく上回る規模だ。
当然ながら企業は放置しない。
むしろ、
「どうすれば捨てる量を減らせるのか」
に莫大な資金を投入している。
その中心にあるのが食品廃棄データである。
企業は食品ではなくデータを見ている
例えばスーパーの総菜売場を考えてみよう。
毎日、
・どの商品が売れたか
・どの商品が売れ残ったか
・何時に値引きをしたか
・最終的に何個廃棄したか
というデータが発生している。
一般消費者から見ると、
売れ残りは失敗に見える。
しかし企業から見ると違う。
売れ残りは未来を予測するための材料だ。
例えば、
火曜日は唐揚げ弁当が余る。
雨の日はサラダの廃棄率が上がる。
気温35度を超えると冷たい麺類が急増する。
18時に20%引きすると売れるが、19時まで待つと売れ残る。
こうした情報が分かれば、
発注量を最適化できる。
在庫を減らせる。
利益率を改善できる。
つまり企業が買っているのは食品ではなく、
予測精度なのである。
米国では「食品データ企業」が増えている
近年の米国では、
食品そのものを売る企業より、
食品データを扱う企業への投資が増えている。
理由は単純だ。
利益率が高いからである。
食品を売るには、
工場
物流
在庫
人件費
が必要になる。
しかしデータは違う。
一度収集したデータは何度でも販売できる。
実際、大手小売企業は、
販売データ
値引きデータ
廃棄データ
を活用し、
AIによる需要予測を導入している。
目的は環境保護ではない。
利益改善だ。
本当に価値が高いのは「廃棄理由」
ここが重要だ。
企業は廃棄量そのものには興味がない。
本当に欲しいのは、
なぜ捨てられたのか
という情報である。
例えば、
価格が高かったのか。
競合が安かったのか。
天候が悪かったのか。
発注量が多すぎたのか。
原因が分かれば改善できる。
逆に原因が分からなければ、
同じ失敗を繰り返す。
だから企業は食品廃棄データを収集し続けるのである。
ここまで読むと、
大企業の話だと思うかもしれない。
しかし実はこの市場の面白いところは、
個人や中小企業でも十分に参入できる点にある。
