AIと聞くと、多くの人はChatGPTや画像生成を思い浮かべる。
しかし、投資家が資金を投入しているのはそれだけではない。
今、北米で急成長しているのが、
「AI監視レポート」
という市場だ。
象徴的なのが米国のスタートアップCoram AIである。
同社は2026年にシリーズBで3,500万ドル(約50億円)を調達し、累計調達額は6,600万ドルに達した。さらに同社のシステムは既に米国・カナダの1,500以上の施設で導入されている。
ここで重要なのは、
Coramが売っているのは防犯カメラではないということだ。
カメラは既に顧客が持っている。
同社が売っているのは、
「映像から価値ある情報を取り出したレポート」
である。
防犯カメラ市場は飽和した
防犯カメラ自体は珍しいものではない。
店舗。
工場。
物流倉庫。
学校。
介護施設。
マンション。
今や至る所に設置されている。
しかし、多くの施設で問題がある。
誰も映像を見ていないのだ。
実際、防犯カメラは事件や事故が起きた後に映像を確認するために使われることが多い。
つまり、
大量のデータが存在するのに活用されていない。
Coramはここに着目した。
売るのはカメラではなくレポート
例えば物流倉庫。
従来なら、
「荷待ち時間はどのくらいか」
を調べるには人が映像を確認する必要があった。
しかしAIなら違う。
トラックの入出庫。
滞在時間。
混雑時間帯。
異常行動。
これらを自動分析できる。
さらに自然言語で、
「過去1か月で最も混雑した時間帯は?」
と質問すればレポートが生成される。
つまり顧客が欲しいのは映像ではない。
意思決定材料なのである。
なぜ投資家が注目しているのか
Coramは単なる監視会社ではない。
同社は既存カメラを活用しながら、
AIで分析し、
レポートを生成し、
改善提案まで行う。
つまり、
SaaS
AI
サブスクリプション
データ分析
を組み合わせたモデルだ。
同社によれば、導入企業では従来数時間かかっていた調査業務が数分で完了するケースもある。
だから投資家はハードウェア企業ではなく、
ソフトウェア企業として評価している。
日本でも再現できる
ここが本題だ。
日本で同じことはできるだろうか。
私は十分可能だと思う。
しかも大企業でなくてもよい。
例えば、
- 学習塾
- 保育園
- 介護施設
- 駐車場
- 小売店舗
などだ。
これらの施設には既にカメラがある。
新しい機器を売る必要はない。
必要なのは、
映像を分析し、
改善提案を行い、
月額でレポートを提供することだ。
つまり、
「監視サービス」
ではなく、
「経営改善サービス」
として売るのである。
AI監視レポートの本当の価値
多くの人はAIビジネスというと、
AIそのものを売ろうとする。
しかし利益が出ている企業は違う。
顧客が欲しいのはAIではない。
成果である。
Coramが売っているのもAIではない。
安心。
効率化。
事故防止。
コスト削減。
そうした成果だ。
ここを理解できるかどうかで、
ビジネスの見え方は大きく変わる。
