本編約52,000字 / チェックリスト8枚 / そのまま送れる文例15本 / 記入シート7点
第1部:無料公開部分
引き渡しの4ヶ月後に、封筒が1通届いた(仮例)
Aさん(仮名・35歳・会社員)は、中古マンションを購入しました。物件探しに半年、内見7件、住宅ローンの事前審査は不動産会社に勧められた提携先へ1本。契約も引き渡しも、大きなトラブルなく終わりました。担当者は最後に「これで全部終わりです、おめでとうございます」と言って帰っていきました。
その4ヶ月後、都道府県税事務所から封筒が届きます。不動産取得税の納税通知書でした。Aさんは「まだ払う税金があるのか」と思いながら、書かれた金額をコンビニで納付しました。
さらに翌年の2月。会社の同僚に「住宅ローン控除、確定申告した?」と聞かれます。Aさんは「年末調整で出したけど」と答えました。同僚は言いました。「1年目だけは自分で確定申告しないと出ないよ」。
——このAさんが落としたものを、順番に並べてみます(すべて仮例です)。
- 不動産取得税には一定要件のもとで軽減措置があり、多くの場合は申告が前提です。通知の額をそのまま払う前に確認する手順がありました。
- 住宅ローン控除は初年度だけ確定申告が必要で、会社の年末調整では処理されないのが一般的な枠組みです。還付申告は一定期間さかのぼれる枠組みがありますが、気づかなければ動きません。
- 事前審査を1本しか出していないため、金利や諸費用の条件を比較する材料がありませんでした。他行の承認という交渉材料も持っていませんでした。
- 購入時の売買契約書は、引っ越しのダンボールのどこかにあります。将来売却するとき、この1枚が取得費の証明になります。
Aさんは、難しい計算を間違えたわけではありません。判断を誤ったわけでもありません。「いつ・何を・どこへ出すのか」を知らなかっただけです。
住まいの手続きで損をする人の大半が、これです。制度は複雑ですが、やることのリストは有限です。順番も決まっています。だからリストにできます。
そしてもう1つ、Aさんが取り逃したものがあります。聞けば出てきたはずの情報です。
内見のとき、Aさんは案内された部屋を30分見て回りました。日当たりを確認し、収納を開け、「きれいですね」と言って帰りました。そのとき聞かなかったことが、いくつもあります。修繕積立金の積立残高はいくらか。次の大規模修繕はいつの予定か。過去に増額されたことはあるか。給湯器はいつ設置されたものか。漏水の履歴はあるか。
これらは、聞けば答えてもらえる情報です。隠されているわけではありません。ただ、聞かなければ出てこない。そして、聞かれなかった情報は、そのまま住み始めたあとの負担になって現れます。
住まいの実務には、この構造がずっと続きます。
- 書面をもらえば分かることを、口頭の説明だけで済ませてしまう
- 期限のあることを、期限を知らないまま通り過ぎる
- 比べられるものを、比べないまま決める
この3つを潰すだけで、結果はかなり変わり得ます。特別な交渉力も、専門知識も要りません。リストと、送る文面があればいい。それがこのパックです。
このパックが解決すること
このパックは、住まいの実務で起きる3つの「詰まり」を解くために作りました。
詰まり1:手順が分からない「内見のあと、次は何をすればいいのか」「事前審査って結局どこに何を出すのか」「決済当日は何を持っていくのか」。ネットで調べると解説は出てきますが、自分がいま立っている場所からの次の一歩が書かれていないことが多い。このパックは全編を「やること・所要時間・完了判定」の形で書いています。手を動かして、終わったかどうかが自分で判定できます。
詰まり2:何を聞けばいいか分からない不動産会社にも金融機関にも、聞けば答えてもらえることが山ほどあります。ただし聞かなければ出てこない。何を聞けばいいか分からない人は、出てきた情報だけで判断することになります。このパックには、内見前・契約前・審査前に投げる質問リストと、そのまま送れる文例を15本入れました。コピーして、宛名と日付を変えて送ってください。
詰まり3:期限を落とす不動産取得税の軽減申告、確定申告、賃貸の解約予告、住宅ローンの事前審査の有効期限、当初固定金利の期間終了。住まいのまわりには、黙っていると過ぎていく期限が並んでいます。期限を落とすと、取り返せるものと取り返せないものがあります。このパックは、期限のあるものを全部カレンダーに落とし込むところまでを手順にしています。
逆に、このパックがやらないこともはっきり書いておきます。「買うべきか、借り続けるべきか」を計算式で設計する話、金利タイプを家計の耐久力から選ぶ理論、生涯コストを賃貸と購入で同じ土俵に載せる方法——こうした判断の設計そのものは、このパックでは扱いません。それは別に完全版(巻末で触れます)があります。このパックの役割は、決めたあと、あるいは決める前に、目の前で発生している手続きを落とさず片付けることです。
このパックを作るときに決めた3つのルール
ルール1:読んで終わるページを作らない手順にはすべて「やること・所要時間・完了判定」を付けました。完了判定とは、その作業が終わったかどうかを自分で判定できる状態の記述です。「理解した」ではなく「◯◯が手元にある」「カレンダーに登録済み」という形にしてあります。読んだ気持ちで終わらないためです。
ルール2:書式を隠さないチェックリストや記入シートを「特典として配布」する形にはしていません。本文の中に、書式そのものを全部載せています。印刷しても、スマホのメモに写しても、そのまま使えます。買った瞬間から全部が手元にある状態にしたかったためです。
ルール3:結果を保証しない融資が通るかどうかは金融機関が判断します。税の適用可否は税務当局が判断します。価格の交渉に応じるかどうかは売主が判断します。このパックが約束できるのは、判断してもらうための材料と、判断される前にできる準備を、漏れなく並べることだけです。そこは正直に書きます。
収録物の一覧
本編(第0部〜第6章)
- 第0部 使い方 — いまのあなたの状況から、開くべき章へ最短で飛ぶルート表
- 第1章 物件を探す・見極める — 探す前に紙に書く3行、内見前に書面で聞く質問リスト、内見当日のチェック項目、重要事項説明の前に確かめること、撤退の判断基準
- 第2章 お金の段取り — 事前審査に必要な書類の一覧(取得先・費用・日数つき)、複数行への同時打診の進め方、否決されたときの動き方、本審査から決済までの段取り
- 第3章 賃貸を続ける場合の実務 — 更新前のルーチン、更新料・保証料の点検、住み替えの手順、高齢期の入居対策
- 第4章 税と手続き — いつ・何を・どこへ の全体表、住宅ローン控除の初年度確定申告、不動産取得税の軽減申告、固定資産税の課税明細の点検、買った日に作る3つのフォルダ
- 第5章 そのまま送れる文例集 15本 — 事前審査の同時打診から、ローン特約による解除通知、家賃の減額交渉まで。各文例に「いつ・誰に・何のために」と「送る前チェック」つき
- 第6章 チェックリストと記入シート — 本文内に書式を全部載せています。印刷しても、スマホのメモに写しても使えます
チェックリストと記入シート(第6章にまとめて収録・本文中にも都度掲載)
- 内見チェックリスト
- 書類の取り寄せリスト(取得先・費用・日数つき)
- 決済当日の持ち物リスト
- 確定申告の持ち物リスト
- 引っ越し前後のやることリスト
- 月次の住居費記録シート
- 物件比較シート
- 面談記録シートほか、本文中に記入欄つきのシートを収録しています。
文例集 15本金融機関向け・不動産会社向け・売主向け・管理会社/貸主向けに分類。件名から本文まで、そのまま貼り付けられる形にしてあります。
想定読者
次のいずれかに当てはまる方に向けて書いています。
- 物件を探し始めたが、内見で何を見ればいいか分からない方
- 気に入った物件が出てきて、申込・審査・契約の段取りを知りたい方
- 住宅ローンの事前審査をこれから出す方、または1本しか出していない方
- 買ったばかりで、確定申告や税の手続きが控えている方
- 当面は賃貸で、更新・住み替え・高齢期の備えを実務として整えたい方
- 不動産会社や金融機関に何をどう聞けばいいかの言葉がほしい方
買わないでいただきたい方
正直に書きます。次の方には、このパックは向きません。
1. 「買うべきか借りるべきか」の答えそのものを求めている方このパックは手続きの実務書です。生涯コストの比較、変数の感度分析、判断フレームは扱いません。そこを求める方は、巻末で紹介する完全版のほうが適しています。
2. 儲かる不動産投資の話を期待している方投資物件の選び方、利回り、収益シミュレーションは一切扱いません。扱うのは、あなたが住むための家と部屋の手続きだけです。
3. 「読めば審査に通る」「必ず税金が戻る」と書いてあることを期待している方書きません。融資の可否は金融機関が、税の適用可否は税務署が判断します。このパックができるのは、落とせる書類を落とさず、聞けることを聞き、期限を守る——結果が変わり得る余地を、自分の側で最大化することだけです。結果には個人差があります。
4. すでに手続きを一通り自分で回した経験がある方2軒目・3軒目の購入経験がある方には、既知の内容が多くなる可能性があります。
著者について
川崎 拓也 — K agency 代表。宅地建物取引士・2級FP技能士。元金融機関勤務。住宅取得の資金計画と、その前後で発生する手続きの実務に携わってきました。「制度は知っていたのに、期限を過ぎていた」「聞けば出てきた情報を、聞かないまま決めていた」——現場で最も多く見てきたのは、この2つです。だからこのパックは、知識ではなく手順と文面の形にしました。
お問い合わせ:info@k-agency.biz / K agency 公式LINE
使い方の前提
- 本パックの金額はすべて「例えば」の仮例です。実際の金額は物件・地域・金融機関・時期によって異なります。
- 税制・融資条件は執筆時点の一般的な枠組みとして書いています。年度の改正や各社の商品改定で変わります。実行前に、国税庁サイト・税務署・自治体・金融機関・税理士等でご確認ください。
- 登場する人物・社名・数値はすべて仮名・仮例です。
- 本パックは一般的な情報提供であり、特定の金融商品・不動産取引の勧誘や、個別の税務・法務判断を行うものではありません。
ここまでが無料公開部分です。
