日本選手権22ジャッジ・レポート

日本選手権22ジャッジ・レポート

GEN

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君は誰?

大阪のJudge Academy認定L2 Magic Judge
自己評価では、トーナメントオペレーションが得意だが、コーナーケースは好きじゃない。
2022年5月28~29日にBIG MAGIC主催で開催された日本選手権2022 ‐Tabletop Returns‐では、
初日のフロアチームのチームリーダー(TL)および二日目のチャンピオンズカップ先行予選のヘッドジャッジ(HJ)を担当した。

コンテンツ

本投稿では、日本選手権22における私の取り組みの中でも……
・残卓管理の為に行った新しい挑戦
・飛沫防止パーテーションの問題と有効活用テク
・日本選手権よもやま話

の3つについてお話しする。
 かつてはこういったレポートはJudge Appsというマジック・ジャッジのコミュニティサイトに投稿していたのだが、Appsは役割の多くをJudge Academyという会員制サイトに移行しコミュニティとしての機能を停止した為、今回はより多くの方に見ていただける可能性のある非会員制サイトへの投稿となった。
 本稿でもAppsのノリを引きずって、ジャッジ語的な表現が出てくる事があるかもしれないが、ご指摘いただければ改善の労は惜しまないつもりだ。

残卓管理の為に行った新しい挑戦

 HJが発表したチーム割りを確認したところ、ジャッジ全18人中11人を抱える大所帯のフロアチームTLとのご指名だった。
 フロアチームの担当業務は通常、フロアカバー・ラウンドクロック・休憩管理・残卓管理だ。フロアチームとは分離して、それぞれの役割を専門に担当するチームが結成される場合もあるが、今回は他に4人のデッキチェック(DC)・2人のフィーチャーマッチ(FM)の2チームがあるのみで、何よりジャッジ全体の6割で構成するチームとなると、DC・FM以外の全タスクが担当だと考えて差し支えないだろう。

 さて、タスクは無限だが、リソースも見合うだけ与えられている。
 国内の300人規模のイベントという場では、少なくとも新米TLとは言えない私としては、単純にタスクを完了させるだけでは期待に応えたとは言い難い。チームメンバーの成長に大きく寄与したり、チームリーダー間でもリーダーとしての役割を果たしたり、トーナメントオペレーションを進歩させたりする必要があるだろう。
 とはいえ、多くのジャッジにとっては約2年半ぶりのテーブルトップイベントという状況下ではチームメンバーに現状把握以上のものを求めるのは酷だし、HJや他チームのリーダーもお互いの事をよく理解し合ってコミュニケーションにハードルを感じない二人だし……検討の結果、オペレーションをひとつ便利にする方向で存在感を示していこうと決めた。

 今回取り組んだのは、Discordを利用したEnd of Round Procedure(ラウンド終了手順。転じて、残卓管理)だ。色々説明しようと頑張ったが、作業する内に面倒に感じてきたので、ジャッジ向けに作ったマニュアル(をイベント終了後にアップデートしたもの)をそのまま貼る。

   これで全容が伝わるよな?伝われ~~~!!!

 before coronaではPurple Foxという便利なWebサービスがあったのでこんなものは不要だったし、もっとジャッジが少ないイベントではこれじゃ手間をかけ過ぎ・プレイヤーが多いと機能しなくなる恐れもあるが、2~300人イベントではちょうどいい手法だと自画自賛している。

こんな感じになる。

・フロアジャッジが人波かき分けなくても、プレイ中のテーブルが把握できる。
・どのテーブルにどのジャッジが付いているのか把握でき、既に十分にジャッジが居るテーブルに向かう無駄足を防止できる/ジャッジの布陣がちょっと弱めなテーブルに追加でジャッジを派遣できる。
といった点が主な狙いだ。

以下に、当日感じた問題点や改善案などを列挙する。
・延長時間の情報をリアクションで伝える計画があったが……
  →作業が煩雑になりそうなので見送り
   →実際やってみる中で、SKポジションが情報を追加すれば良いと気付きを得た

・環境によって、リアルタイムで投稿・スタンプが反映されない事があった
  →アプリをタスクキル・再起動で解決

・稀に特定のスレッドが人によっては見えない事がある
  →スレッド内でメンションする事でスレッドに参加させる事で解決
   →そんなリスクのあるスレッド分けって必要だった? 
             →他ラウンドの延長時間の情報が混線しないようにするのが狙い

・手作業の弱みで、テーブル番号のタイプミス・入力抜け・削除ミスがあった
  →自分でもすぐ気付けるタイプのミスで修正も容易 
         →とはいえBOT化して、スピード・正確性ともに向上させるのが理想

・FMの案内札(「このテーブルはFMです」)をいつ誰が回収するか決まっていなかった
 →FMテーブルがNoPlayerとして報告される事があった
  →延長共有の頭にFM情報が共有されており、確認できると期待していた
   →回収はEoRPの際に行い、FMだと示す絵文字などで、回収者が共有するフローを定めるべき

・SKの新しい役割・あるいは新ポジション:オペレーターの提案
 WEL環境下でも、SKは結果誤入力の修正などに追われて、EoRPのタイミングはかなり忙しい。
   かつての1~3,000人規模のグランプリでも、単純に入力に集中する係・フィーチャーなどのメディア対応が専門の係・主にペナルティの入力を担う係・ドロップ処理/誤ドロップの取消のようなプレイヤー対応に集中する係…などスコアキーパー内でも役割分担が存在したらしい。
 この内幾つかは現行の運営ツールでは役割を失ったかも知れないが、このイベントの経験から、加えて「SKが持っている情報を能動的にジャッジに出力する係」を配置するのは有効なのではないだろうかと強く感じた。  

 ・チャットツールに、ペアリングやデッキリスト、残卓情報などを共有する
 ・延長の出ているアクティブテーブルを把握し、ジャッジに移動指示を出す
 ・休憩のコントロールや、フロアカバーの修正などを指示する
 ・EoR開始前は、ボイスチャットなどで裁定のダブルチェックを行う
 といったタスクがSKの新たな役割として求められる未来が来るかもしれないし、新たなロールとして成立する事もあるかもしれない。

 この残卓管理法の成果として、(もちろん十二分なジャッジが配置されていた事が主因だが)ほぼ毎ラウンドのタイムアップを全卓に最低1人ジャッジが付いている状態で迎える事ができ、イベント全体としてスムーズなラウンド進行が行えた。
 本稿をお読みいただいている方々も、規模が噛み合うイベントがあれば、是非この手法をお試しいただきたい。

飛沫防止パーテーションの問題と有効活用事例

 本大会では、各テーブル・対戦相手との間に飛沫防止のパーテーションが設置されていた。

 当日感じた問題点と、逆に有効活用する方法について記録しておく。
 ※パーテーションの有効性や設置コストについては本稿では取り扱わない

・マスクとの相乗効果でコミュニケーションエラーが多発
  →話しかけられている事にすら気付けないこともしばしば
   →プレイヤーに一層明確なコミュニケーション・相手に伝わっ"た"事を確認する意識が求められる
  →当然ジャッジからプレイヤーへのコミュニケーションも難しい
   →特にプレイヤーから求められていないタイミング、かつジャッジがゲームを止めない「スロープレイに注意喚起する」ことが困難だった
    →テーブルに付いたジャッジが裁定を出す際には、立ち上がる・話し始めるタイミングだけ高い声を出す・手を叩いたりする事で注目を集める、といった工夫が必要
     →まさか笛を吹いて唾を飛ばすわけにもいかないよね?という思考からググったら、withコロナのフットボール審判は、電子ホイッスルに移行しているらしい。へー。

・小さなスリット越しでは、相手のカードに触れるのも大変
  →中央のカード以外には直接触れられない為、指し示すしかなく誤解の余地が増大
   →ヨーリオン80枚デッキはこの隙間を通る?相棒のないフォーマットで良かった

・身体の大きなジャッジがテーブル間を移動するハードルに
  →曰く、肘が当たりそうで通路を歩くのにより気を遣うらしい
   →パーテーションを倒してしまい、プレイヤーにご迷惑をおかけした事例も

・逆に有効活用しようという試み
  →テーブル番号を掲示するには、恐らく最適なポジション
   (もう少しパーテーションが高い必要はあるかもしれない)

   →延長時間の掲示にも活用出来た
現場では写真よりずっと見やすく、遠くのテーブルの延長も見つけやすかった

※飛沫防止のパーテーションに"触る"のはどうなの?という視点もあるかも知れないが、そこはこまめな手指消毒で許して欲しい……

日本選手権22よもやま話

 次に、まとまりのない話題を、思いついた順番でいい加減にならべていく

事前にニューカペナCSのデッキを眺めたら、MDFC土地の出し入れ・種類が豊富で数も沢山出るトークン・さまざまな誘発型能力・黄金架のドラゴンによるチェインコンボ……がテーブルトップイベント久しぶりのプレイヤー・ジャッジを破壊して、数えきれない程の時間切れ引き分けが発生するかと思われたが、現実には本戦4回戦まで(R5以降はIDがあるからね)で約470マッチ中・引き分けはたったの12と非常に少なかった。黄金架デッキもそんなに居なかった。
 招待選手以外はテーブルトップで予選を抜けてきているのだし、心配し過ぎだったかな?でも備えるに越したことはないし…う~ん……。

このイベントでは、以前のイベント基準で考えると6~8割増しのジャッジが配置されていた。これによる恩恵を挙げ始めるとそれだけで一本のレポートになりそうだが、特に「全ての裁定を複数人で確認して出しましょう」というHJの指示により、私の観測下だけでも複数の"誤裁定"が未然に防がれた事に注目している。
主催・BIG MAGICの判断およびヘッドジャッジ・瀬野の采配に感謝したい。

③プレイヤーに伝えたいこと: 
ドロップは、Companionを使って自分でできますよ! 
Roundの残り時間も、Companionから見れますよ!! 
Companion不調の時は、タスキル・ログアウト→再ログインをお試しあれ!!!(それでもダメな時はダメ

裁定共有は、もっとルールの強さがウリの他のジャッジがやってくれるだろうと期待(6/8追記:peppeが一晩でやってくれた
https://note.com/peppe13/n/n745fd8deb8be  )して、二年半ジャッ活サボってた人達に、復帰に向けて復習しておいてほしいポイントを幾つか。
・Deck Problemの追加措置変わった後、記憶に定着するまでに中断期間来ちゃったので要チェック
・4.2 イベントでの手順の省略 の省略例、一番最初の項目いつの間にか変わってるので読み直そう
・Hidden Card Errorの再確認。+予顕どーすんの?(決まってない

⑤今回利用した、オススメのご飯処

⑥次はBIG MAGIC OPEN Vol.12でお会いしましょう!(まだ採用されていません

⑦王者は瀬野
アイスべきぼくらのHJ、瀬野さんがデザートをご馳走してくれた。
自ら選択した、瀬野有利ルール(勝ち奢り)だったのに……。

さいごに

 席の限られる遊びなので、なるべく秘密にしておいて欲しいのだが、マジック・ジャッジというモノは、モミールやウィンストンドラフト、コマンダーやメンタルマジックといった変種ルールと同様に、真剣にやれば、とても楽しいマジックへの関わり方のひとつだ。
 久しぶりにみんなとの遊び場に戻って来られて、僕はとても嬉しい。
 いずれまた近いうちに、イベント会場でお会いしましょう。

 本日は私のいい加減なトーナメントレポートを最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Special Thanks to Aqira・peppe・r.u.ready2fall?


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