サイドを戻し忘れても、まだ負けじゃない

サイドを戻し忘れても、まだ負けじゃない

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【この記事の要約】

デッキの問題で
ゲームの敗北まで行くのは、
かなりのレアケース

【背景】

マジックの競技イベントにおける、「デッキの問題」(Deck Problem、DP)の違反に対する扱いは、「イコリア:巨獣の棲処」以降で大きく変更されました。
しかしながら、我々ジャッジも2020年頃には冬眠していた為、中にはこの変更をちゃんと追えていない、誤解を恐れずに言うなら不勉強なヤツもちょいちょい居ます。
……という事実が、先週辺りから要L2+ジャッジのイベント、チャンピオンズカッププレミアム予選が動き始めた事で表面化してしまったので、困ったジャッジに釘を刺すと共に、プレイヤー諸氏にも正しい知識で身を守って貰うべく筆を取りました。

【前提】

  • 本稿は、マジック違反処置指針(以下IPG)の2021年2月5日発効版に基づいて、2022年7月19日に書いている記事です。

    一年半前!? 

    そうです。テーブルトップ冬眠期間はルールくんも冬眠していた為、ルールの側にも現状に100%沿っていない部分があります。この記事の内容は、テーブルトップマジック再開後あっという間に陳腐化する恐れがありますので、お読みいただく際にはご注意下さい。
  • IPGを使用する、ルール適用度:競技およびプロでのお話です。ルール適用度:一般の大会(FNMとか)では、基本的にゲームの敗北はありません。
      競技のイベントなんて出ないよ!という方は今すぐCtrl+WでOKです。
  • デッキリストの問題だと話は別で、簡単にゲームの敗北(Game Loss、以下GL)しますが、本稿では扱いません。
  • 本稿は内容の正確性より、読み易さを重視した結果、ジャッジ視点では微妙なツッコミどころが沢山あります。そーゆーのが気になる人は、最初からIPGを読んでください。

【デッキの問題ってなんなのさ?】

ルール適用度(REL):競技・プロのイベントにおいて、デッキが、デッキリストの内容と一致しない場合、デッキの問題という違反になります。
デッキリストが、使用可能セットやデッキ・カードの枚数制限に沿っていない場合は、デッキリストの問題という別の違反カテゴリに該当します。ざっくり言うと、リスト・デッキ間の齟齬で、リストを変更せずに済む問題は全てデッキの問題・変更したら全部デッキリストの問題です。
牛乳と豆乳くらい違う存在です。

【デッキを間違えるとどーなるの?】

  1. まず警告を貰う
  2. 間違えてメインデッキに入っているカード群を全部見つける
  3. 本来MDに入ってないといけないカード群を全部見つける
  4. ②と③を1:1で入れ替える
  5. ②群が複数の場所に跨って入っていた(例)サイドのカードが手札に1枚、デッキに1枚残っていた)場合、②群のカードがそれぞれどっちと差し替えられるか(例)メインにあるべき2枚が、どっちが手札でどっちが山札か)は、対戦相手が決める

ってルールになってます。
大して不利になる事もなく、まあまあゲーム続けられそうですよね?
明らかなウッカリに対する修正方法は、年々優しくなっています。
ジャッジ達は、違反により得られたかも知れないアドバンテージを、如何にゲームを壊さず修正するのか、常に研究しているんです。

【どんな時なら負けになるの?】

次に本題の、デッキの問題(DP)がゲームの敗北(GL)の罰則に繋がるレアな具体例を見ていきましょう。※長いし読むの面倒だなって感じたら、即【おわりに】の直前ブロックまで飛ばして大丈夫です。

・2回目
1大会で2回以上DPで罰則を受けると、警告の累積でゲームの敗北に発展します。(複数日制の大会なら1日毎リセット)
普通は一回やったらその日の内くらいは気を付けるもので、このGLはなかなかレアリティが高いけど、スタン3回戦+モダン3回戦を1日でやる大会とかなら起きるかも?

・どうやっても相棒条件を満たせん!

相棒宣言済みかつ、↑↑で紹介した入れ替えをどう駆使しても相棒条件を満たせん!場合には、しゃーなしGLです。

・59枚デッキとか16枚サイドとか

構築で59枚デッキをシャッフル後に相手に渡したら匠の技でなんか薄くね?って看破された時とか、59枚デッキなのがデッキチェックでバレたりするとGLです。
60枚目の《広がりゆく海》とかが、相手のデッキに挟まってたりすると免責されます。
相手のカットが終わって、デッキが返ってきた後に発覚した場合も免責です。(相手が適正だと確認した後だし、ゲーム始まってから失くしたかもなので)
他のGL条件と比べて、厳し過ぎるというか旧ルールの名残だと思うので、その内なくなる・早くなくなって欲しいと思っています。

・1枚目か5枚目か分からん

《稲妻》4枚の60枚デッキ・リストを登録して、稲妻6枚の62枚デッキでゲームを開始してしまったとします。
稲妻を1枚以上引いて打ったあと《根絶》されて「おいおいコイツデッキに6枚稲妻入っとるやんけ!!!」って発覚したら、大体は「コイツは流石にヤっとる」となりそうなもんですけど、調査の結果「ヤってない、あるいはヤっとるとは確信できない」という結論になった時、引いてた稲妻が1枚目のソレ(6枚入ってる事でアドバンテージを得てない)なのか、5枚目のソレ(得てる)なのか、神にしか分からんので、しゃーなしGLになります。
相棒とかEDHっぽいルールで1枚制限されてる時に2枚目が入ってたとか、メイン1サイド1のカードを抜きそびれてメインに2枚目残しちゃった時とかも、同じように考えます。

・相手のプレイに影響与えちゃった場合

相手が《根絶》かなんかで貴方の山札を見て、「こんなのメインで取ってるのかー」「じゃあこの除去は場のクロックに撃たずに温存しとこ」「疫病マンの指定そっちに寄せとこ」みたいな判断をした後だと、ゲームの壊れ具合が大きいとされてしゃーなしGLです。
対戦相手がルール分かっていると、誇大にプレイへの影響をアピールしてくる可能性もあるので、ジャッジは慎重に判断してほしいところ。

※ここまで飛ばしてOK
以上、簡単にご紹介してきましたが、デッキの問題は「基本的に警告止まり」で、GLに繋がるのは上記の5パターンのみです。
意外とGLにはならないものなんだ、と思っていただけたのではないでしょうか?

【おわりに】

古いルールだともっと簡単にGLが与えられていたので、知識の更新を怠っているジャッジはこのカテゴリでは簡単に適当なGLを出しがちです。

古くから遊んでいるプレイヤーも、自分や友人あるいは目の前の対戦相手が同様の状況でバンバン殺されてきた経験があったりするので、疑問なくGLを受け入れてしまうのではないかと思います。

とはいえ、こんな例外パターンを全部覚えてルールが変わる度に知識を更新してたら、75ドル払った翌日から貴方もL2認定ジャッジです。プレイヤー視点では、こんなのいちいち憶えてられないよ!と感じるのは当然でしょう。

ですから、プレイヤー専の皆さんに知っていただきたい事として、簡潔にまとめるなら

  • 「デッキの問題は基本的に警告止まり。ゲームの敗北が出るのはレアケース」
  • 「GLだと宣告されたら、なぜ罰則が格上げされたのか聞いてみる」
      (説明内容がわからなくても、ジャッジの対応で理解度が測れるぞ!)
  • 「場合によってはHJへの上告を求める」

といったところでしょうか?
この記事を書いた事で、一人でも多くの同胞ジャッジたちが知識をアップデートする必要性を感じてくれたり、一人でも多くのプレイヤーが不当な罰則を回避する事ができれば、ちょっぴり嬉しいです。

ではまた。

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