「僕たちはもう働かなくていい」
堀江貴文氏の本です。
よくあるホリエモン本として、働くことを煽るように見せかけてこの本はやや中身が違い、本当にAIの発展状況等について解説するようなことがメインになっていました。
多動力等の本とは全然違う話です。
これは意図的に出版社側がミスリードとしてこのようなタイトルにしたのかもしれません。
若者を煽るようなタイトルの方が売れますからね。
AIの話は2019年時点の話
この本ではAIやロボット技術に触れるという点では他の本とは異なりますが、そのかわり調査した時期の影響を受けてしまいます。
AIやロボットの話は2019年の話であり、これらの事例を今見る必要があるのかどうかは微妙なところがあるかもしれません。
あくまで過去の事例として読む分にはいいですが、最新のとなると、またアップデートした情報が必要になるでしょう。
今からAIに興味がある人がこの本を最新情報を知りたいという目的で読むのはおすすめはしないかもしれません。
働かなくていいという主旨
最後は本のタイトルのとおり働かなくてもいいという話が出てきます。
ただ、それは何もしなくてもいいということではなく、生活のために、生きるためだけに働かなくていいということ。
本当は嫌な仕事だけれどもお金を稼いで生きていかなけばいけないからその仕事をやるということが無くなるということです。
そうした好まれない労働はAIやロボットに任せておけばいいということ。
AIやロボットの能力が飛躍的に上がり、単純作業であれば、頭脳労働でさえも人間を代替するということが起こってきます。
そうすると、今までは誰かがやらなければいけなかった嫌な仕事というのがなくなります。
人間は、本当に自分がやりたいと思ったこと、喜びを感じるクリエイティブな仕事へと移っていけるということです。
このような論調はこれまでの本と同じものですね。
AIやロボットに仕事を奪われる
今回の話は、よくある働かなくても楽をして生きられるようになっていくとは若干主旨が異なります。
ベーシックインカムが出来て、働かなくても収入が得られるとかそういう話は出てきません。
AIやロボットが次々に仕事を奪っていくということであり、その後のことは書かれていません。嫌な仕事を頑張っているだけでは仕事を奪われて終わってしまうという結論になっています。
だからこそ、私達人間もAIと同様に進化していかなければいけないということ。
自分も考えをこれまでは変えてやりたいと思うことをやる、楽しいと感じることをやる。
働かされるのではなく、自らやりたいことをやるというのを「働かなくてもいい」と表現しているのです。
本を読んでどうするか?
この本、そしてこの本だけではなく各堀江氏のシリーズ本を読んでどうするかということ。
これは「よく考え、安易に本の内容に振り回されるな」ということを言いたいです。単純にこれらのシリーズに賛同しているわけではありません。
多くのシリーズにおいては、AIが働くから働かなくて良くなるということを言っています。
では、今目の前の嫌な仕事を投げ出して、好きなことに進んでいけば、楽しくやりたいことだけをやっていけばそのうち時代が変わって暮らしていけるようになるのか?
そんな甘い話はありません。
シンギュラリティが2045年頃なんて話がありますが、もしそれが実際に起こるとして今から24年先の話です。
それまで好きなことしかしなくて生き残ることができますか?
そしてそのときに都合がいい未来がやってこなかったらどうしますか?
大事なのは今の仕事を投げ出すことではなく、今やるべきことをやりながら一歩ずつ進むことです。
今の仕事が嫌なのであれば、そこから抜け出すためにはどうしたらいいか。AIが無くしてくれるのを待つのではなく、自分でスキルアップして転職できる力を蓄える等の動きが必要になるのです。
今回の本はAI・ロボットよりということで趣向はやや異なりましたが、どうしてもこのような本は夢を見させ、なんでも自由にしていいということを推してくる傾向があります。
世の中がそうなってきて、好きなことをして生きていける人が増えているのは間違いないのでしょうけど、そのポジションを自分が取れるかどうかは別問題。
そのポジションになりたいのであれば、それ相応の努力をしていくしかありません。
夢だけを追いかけるのではなく、また現実だけ見て暮らせというわけでもない。
どうやって現実を生きながら夢に近づけるのかを考えなければいけないのです。