初夏から夏にかけて、山葵がとても美味い。「辛い」という漢字の印象は唐辛子や山椒には合うけど、山葵には合わないような気がする。「辛い」というのはヒリヒリするとか刺激が強いとかそういう印象があるけど、山葵の”辛さ”はもっと爽やかで清涼感がある。
山葵を醤油に溶いてはいけない、というのが和食、懐石の常識みたいになってるけど、個人的にはあまり信じていない。山葵の辛さは唐辛子と違って揮発性だからという意見も分かるけど、むしろ生姜や大蒜と同じ薬味の一つなんだから、醤油に溶いて食材を浸けて食べた方が、辛味がまろやかになって美味しいと思う。
味が混ざるという意見もあるけど、何かの本で銀座の鮨青木の大将が、「僕は溶きますよ。トロの脂が移ってかえって美味しい」みたいな事を言ってて、ああ確かにと思った。少なくともお造りなんかは溶いていいかな、と思う。
■工藤元(kudogen)のサイト一覧