5連敗して、手法を変えたくなった。仲値トレードは「100回の並び」で数える
仲値トレーダー
負けが4回続きます。
5回目も負けます。
チャートを閉じて、スマホを開いて、別の手法を探し始める。何度も経験あるのですが、あのときの私の頭の中は「この手法はもうダメだ」でいっぱいでした。
でも、5連敗という並びは、勝率50%でも普通に出ます。
今日はそこを、数字で説明していきます。
1.昨日の結果で、今日のやり方を変えたくなる
FXの確率の話は、たいてい「期待値を計算しましょう」で終わります。
ただ、困っているのはそこではないはずです。計算はできる。でも3回続けて損切りに刺さると、その計算を信じられなくなる。
意志の弱さではありません。人は短い並びから答えを読み取るようにできていて、その読み取り方に決まった癖があります。
では、私の記録から見ていきます。
2.私の記録を数え直したら、比べる相手が違っていました
私はドル円の朝9時台だけを記録しています。直近23営業日で成立は42回。私1人の記録なので、母数としては小さいです。
前回の記事で、1日の合計が中央値19.2pipsを下回った日の翌営業日を数えました。中央値以上に戻ったのは11回中7回で63.6%です。
今回、比べる相手のほうを計算し直しました。
同じ23日ぶんの数字を、順番だけシャッフルします。それを20万通り作って、まったく同じ数え方をします。
平均は54.55%になりました。50%ではありません。
つまり、順番に何の意味もなくても、この数え方をすれば54.55%あたりが出る、ということです。
実測との差は9.1ポイント。20万通りのうち26.29%で63.6%以上が出たので、偶然の範囲に収まります。
比べる相手のほうがずれていた、という話になります。
3.コイン投げでも、表の次に表が出るのは41.7%
なぜ50%にならないのか。ここが今日いちばんお伝えしたい部分になります。
コインを3回投げます。毎回、表が出る確率は50%です。
その3回から「表が出た次の回」だけを抜き出し、そこに表が何回あったかの割合を出します。表が1回も出なかった並びは数えられないので、除きます。
残る6通りで平均すると、41.67%になります。
短い記録から「続いたあとだけ」を抜き出して数えると、割合が下に引っ張られる。行動経済学の研究者、ミラー氏とサンフルホ氏が証明した偏りです。記録が20回に伸びても47.4%までしか戻りません。
この2人は、バスケットボールの「今日は手が熱い」を否定した有名な研究に同じ偏りが入っていたことを指摘し、補正して結論をひっくり返しました。
つまり自分の記録でも、「連勝のあと」だけを数えれば、腕と関係なく数字がずれるということです。
4.連敗は、手法が壊れた証拠ではありません
では、実際の数字で説明していきます。
勝率50%で100回トレードするとします。その100回のどこかで4連敗が出る確率は97.3%。5連敗は81.0%、6連敗は54.6%です。
勝率を60%まで上げても、4連敗が80.1%、5連敗が45.9%で起きます。
つまり5連敗は、起きないほうが珍しい出来事になります。ここで手法を変えると、次の手法でもまた5連敗を引き当てて、また変えることになります。
5.当てにいくほど、正答率は下がる
赤が70%、青が30%の割合で光るランプを当てる実験があります。
多くの人は7割を赤、3割を青と答えます。割合をそのまま真似する形です。
このときの正答率は 0.7 × 0.7 + 0.3 × 0.3 = 58%。毎回そろって赤と答えれば70%です。100回で12回ぶんの差になります。
カナダの大学の心理学者、ケーラー氏とジェームズ氏の実験では、これは頭の良し悪しではありませんでした。両方のやり方を並べて見せると、多くの人が「毎回赤」を選び直しています。思いつかないだけ、という話です。
FXでも同じです。有利な形が7割で来るなら毎回同じ入り方でいいのに、たまに違う形を混ぜてしまう。型を持っていても毎回それを選べなければ、成績は58%側に寄ります。
6.15万件の審査でも、同じことが起きていました
アメリカの研究チーム、チェン氏らが、亡命審査の判定150,357件と、融資担当者の審査、大リーグの球審の判定150万球以上を調べています。
亡命審査では、直前の2件を続けて認めたあと、次を認める割合が5.5ポイント下がっていました。もとの認可率29%に対して19%の減少です。
融資担当者は直前の1件を承認したあと次の承認が8ポイント下がり、球審は直前をストライクと判定したあと次をストライクと呼ぶ確率が1.5ポイント下がっています。
案件の中身と並び順は関係ありません。それでも判定が揺れます。
研究者のクロソン氏とサンダリ氏がルーレット台の映像18時間ぶんから139人の賭けを数えた調査でも、同じ色が5回、6回と続いたあとで反対側に賭ける人が増えていました。初心者だから出る癖ではない、ということです。
7.確率的に考える習慣のつくり方
私の42回から10回だけを無作為に取り出して平均を出す。これを20万回繰り返してみました。
平均は7.27pipsから26.97pipsに散ります。上と下で3.71倍です。
同じことを100回ぶんでやると、11.32pipsから17.70pipsに縮みます。1.56倍です。
つまり、10回では手法の良し悪しは見えない。100回でようやく形が出てくる、ということです。
野球で例えるなら、3割打者が4打席ノーヒットの日にフォームを変えないのと同じ感覚です。4打席くらいなら3割の打者でも普通に起きる。だから変えない。
今日からできることを3つに絞ります。
- 記録の単位を1回から20回に変える。20回たまるまで評価をしない
- 何連敗まで続けるかを先に紙に書く。相場を見ながら決めない
- 「連敗のあと」だけを抜き出して数えない。数えるなら通しで数える
8.私の負けパターン
私がやってしまったルール外の負けパターンです。
- 3連敗した翌日に見送る 確率は変わらないのに勝手に休んで、その日が当たり日でした。
- 連勝した直後にロットを上げる 上がっていたのは腕ではなく、並びの運でした。
- 20回に届く前に手法を差し替える 平均が3.71倍に散る場所で判断していました。
ルールを守る。これが大事だと改めて気付きました。
9.まとめ
覚えて帰っていただきたいのは、この3行になります。
- 5連敗は、勝率50%なら100回中81.0%で起きる。壊れた証拠にはならない
- 「続いたあと」だけを抜き出して数えると、数字は実力と無関係にずれる
- 10回では平均が3.71倍に散り、100回で1.56倍まで縮む
ただし、損切りを置いていない場合とロットが大きすぎる場合は、確率より先にそこを直してください。
今日やることは一つだけです。
今日の記録に「これは何回目か」の通し番号を振ってください。 番号があるだけで、1回の結果に意味を求めにくくなります。
以上が、確率的に考える習慣の話になります。ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました。
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ここに書いたことは、すべて無料で学べる範囲の内容です。
ただ、実際に自分の記録でやると、次の壁が出てきます。
- 20回たまる前に、判断の基準のほうが変わってしまう
- 見る場面が日によって変わり、20回が同じ条件の20回にならない
- 記録が飛ぶ日が出て、通しで数えられなくなる
これも意志の問題ではありません。毎回同じ基準で見続けること自体が、重い作業だからです。
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矢印は、条件が揃ったという事実の表示です。勝ちの合図ではありません。損切りとロットは、必ずご自身のルールで決めてください。
まずは今日の記録から始めてください。受け取るのは、そのあとで大丈夫です。
