デモでは勝てたのに、本番に移したら勝てない。仲値トレードの練習は「判断の変わり方」から見直す
仲値トレーダー
デモ口座で3週間、負け越さずに来ました。
グラフは右肩上がり。これならいけると判断して、同じルールのまま本番の口座へ移しました。
そして最初の週に、デモではやらなかった動きを2回やりました。含み損を伸ばして、含み益を早くたたむ。
私も同じ道を通っています。当時は「本番になると気持ちが弱くなる」と考えていました。その説明は的を外していました。
1.変わっているのは気持ちではなく、判断の中身です
デモと本番の差をメンタルで説明すると、対策が根性論になります。強く念じる、深呼吸する。そのあたりで止まってしまいます。
脳の画像を撮った研究があります。カン氏らの研究チームが、実際に買う場面と、買うつもりで答えるだけの場面を比べました。
働いていたのは同じ場所でした。違ったのは反応の強さで、実際に払う条件のほうが、価値を計算する部分が強く反応しています。同じ道具で別の計算をしている、ということです。
2.朝9時台の33営業日でも、平均はまだ止まっていません
では、実際の数字で説明していきます。
私はドル円の朝9時台だけを記録しています。33営業日、成立は57回。1日の合計は最小5.4pips、最大107.4pipsで19.89倍の開きがあります。
今回は別の見方をしてみました。1日ずつ足しながら、そのときどきの平均を計算し直したのです。
32営業日を終えた時点で22.9094pips。そこへ33日目を足すと25.4697pipsになります。1日足しただけで11.18%動きました。
10営業日を超えたあとに限っても、この平均は22.91pipsから31.35pipsの間を行き来しています。1か月半ためた記録でも、まだ「これが自分の平均です」と言い切れません。
ここで海外の研究を重ねます。実験経済学のキャメラー氏とホガース氏が、報酬の大小を変えた実験74件を集めました。いちばん多かった結果は「平均の成績は変わらない」で、動いたのはばらつきのほうです。 報酬を上げただけで非合理な選択が消えた再現研究は1本もない、とも書いています。
3.仮想のお金は、金額を20倍にしても選択を変えません
アメリカの大学で実験経済学を研究しているホルト氏とローリー氏が、175人に10問の二択を出しました。安全なくじと、当たり外れの大きいくじです。損も得も考えない人なら、安全側は理屈上4回になります。
- 少額を実際に払う条件 平均5.2回
- 同じ問題で金額を20倍にした、ただし払わない条件 平均4.9回
- 同じ20倍を、実際に現金で払う条件 平均6.0回
金額を20倍にしても、払わないなら選択はほとんど動きません。現金で払った瞬間だけ、はっきり慎重側に寄りました。
損得に中立的な選び方をした人の割合は、払わない条件で29%、実際に払う条件で13%。半分以下です。 両方を経験した93人で見ると、現金のほうで慎重になった人が44人、逆は7人だけでした。
野球で言えば、素振りとバッターボックスの違いです。次はストレート?変化球?と考えるから体が前に出るのであって、腕力が落ちたわけではありません。
4.本気度を上げると、成績はむしろ下がります
アリエリー氏らの研究チームが、インドの町で87人に6種類のゲームをやってもらいました。報酬は3水準で、いちばん高い水準はその地域のひと月ぶんの生活費に近い金額です。
最高評価に届いた割合は、こうなりました。
- 低い報酬 25.6%
- 中くらいの報酬 22.2%
- 高い報酬 6.3%
低い報酬の群が、高い報酬の群の4.06倍です。同じチームは3つの実験で計9つの課題を試し、そのうち8つで報酬が高いほうが悪くなりました。 別の60人に予想させたところ、全員が「報酬が上がるほど成績も上がる」と答えています。
では、どの作業で崩れるのか。学生24人の実験が線引きを出しました。キーを交互に押すだけの作業は報酬10倍で成績が上がり、12個の数字から合計10になる2つを探す作業は同じ10倍で下がりました。
分かれ目は、判断が入るかどうかです。
お金ですらなくても落ちます。人前で単語の並べ替えをさせると、1回あたりの正解が1.16語から0.67語へ落ちました。
5.デモの結果は、何回で信じてよいのか
デモで30回やって18勝12敗。勝率60%です。この数字を見て本番へ移す方は多いと思います。
ところが、本当の実力が五分五分でも、30回で18勝以上になる確率は18.08%あります。5回に1回近い頻度です。30回の勝率60%は、実力の証拠になりません。
私の記録も同じです。33営業日の平均25.47pipsに95%の幅を付けると、16.96pipsから33.98pips。上と下で2.00倍です。上下10%の精度で平均を知るには368営業日、1年半ぶん必要でした。
ただ、デモを軽視する話ではありません。操作は実際のお金がなくても身に付きます。身に付かないのは、判断のほうです。
6.私の負けパターン
正直に書きます。私が落ちた穴は3つです。
- デモで出した勝率を、そのまま本番の期待値として持ち込んだ 20回や30回の結果を実力だと思っていました。その回数では何も決まりません。
- デモと本番でロットの決め方を変えた デモでは大きく、本番では小さく。数字が変わると、同じルールを実行したことになりません。
- 「本番だから慎重に」と自分に言い聞かせた 入る場面を減らし、外した場面だけを覚えて手を止めていました。
3つとも性格ではなく、同じ条件で比べていないという設計の問題でした。
7.まとめ
今日の内容を、3行に落とします。
- 変わるのは気合いではなく判断そのものです。実際に払う条件になると、中立的に選ぶ人が29%から13%へ落ちました
- 本気度を上げても成績は上がりません。9課題中8課題で報酬が高いほうが悪く、別の60人は全員が逆を予想しました
- デモ30回の勝率60%は、実力が五分五分でも18.08%の確率で出ます。証拠になりません
例外を1つ。まだ注文の出し方に不安がある方は、この話を気にする必要がありません。
そのうえで、今日はここだけやってみてください。
デモと本番で、1回に建てる数量を同じにしてください。それだけです。
そろっていない記録は、いくら並べても比べられません。
今日はここまでにします。お時間をいただき、ありがとうございました。
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ここまでの話は、公開されている論文と自分の記録だけで組み立てています。お金を払う必要はありません。
ただ、記録をそろえ始めると、その手前で止まります。
- 同じ数量にしたつもりが、本番だけ入る場面が減っている
- デモで見送った日の記録が残っておらず、あとから突き合わせられない
- 何回そろえたら比べてよいのかが決まらない
これも意志の強さではありません。毎朝、同じ順番で確認して、そのうえで手を出さない。この繰り返しに負荷がかかります。
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仲値トレードナビ:朝9時台の仲値トレードナビ
矢印は、条件が揃ったという事実の表示です。勝ちの合図ではありません。損切りとロットは、必ずご自身のルールで決めてください。
まずは数量をそろえるところから始めてください。受け取るのは、そのあとで大丈夫です。
