入ってから損切りを考えるので、毎回ぶれる。MT5の設定は「注文を先に置く」から始める

 入ってから損切りを考えるので、毎回ぶれる。MT5の設定は「注文を先に置く」から始める

仲値トレーダー

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成行ボタンを押して、ポジションを持ちます。それからチャートを見て、損切りをどこに置くか考えます。

少し逆行すると、置こうとしていた位置が近すぎる気がしてきて、ちょっとだけ下げる。

私はこれを数え切れないほどやりました。

MT5の設定というと、チャートの色やインジケーターの並べ方の話になりがちです。ただ、成績に効く設定はそこではないと思っています。

1.設定というのは、判断の回数を減らす作業になります

トレードで判断する場所は3か所あります。入るかどうか、どこで損切りするか、どこで利確するか。

このうち後ろの2つを持ってから決めていると、判断はその場の値動きに引きずられます。含み損があるときに損切り位置を考えると遠くに置きたくなり、含み益があるときに利確位置を考えると近くに置きたくなる。

つまり、決める順番を変えるだけで、同じ相場でも違う注文になるということです。

旅行の荷造りに似ています。出発前に詰めるから何を持ったかが分かる。駅に着いてから鞄を開けても、もう買い足せません。

損切りいくつにする?ってその場で考えるから手が止まるのであって、決まっていれば押すだけです。

2.私の28営業日。昨日を見て今日を変える理由がありませんでした

私はドル円の朝9時台だけを記録しています。7月20日から8月28日までの28営業日、成立した回数は50回です。

ここで「昨日の結果を見て、今日の注文の置き方を変えるべきか」を数えてみました。前の営業日の合計pipsと当日の合計pipsの連動を計算します。

ピアソンの相関係数は0.5043。順列検定を20万回まわすと両側p=0.0055でした。数字だけ見れば「昨日から今日が読める」に見えます。

ところが、順位に直して計算するスピアマンの相関は0.3089で、両側p=0.1103。有意水準5%に届きません。

理由はすぐ分かりました。私の記録でいちばん大きい2日が、たまたま隣り合っていただけです。この2日を外すと相関は0.0588、ほぼゼロになります。

つまり、昨日が良かったから今日は控えめに、という調整に根拠がないということです。だったら、注文の置き方は毎日同じでいい。ここが出発点になります。

3.自動で決済される仕組みがあるだけで、行動が変わりました

ドイツのコンスタンツ大学で、フィッシュバッハー氏らの研究チームが行った実験があります。参加者に模擬の売買をさせ、片方のグループにだけ、あらかじめ価格を指定しておけば自動で売られる仕組みを渡しました。

結果です。仕組みを使えたグループでは、利益が出ているものを先に売って損は抱え込むクセ(処分効果と呼ばれます)の指標が、0.082からマイナス0.106へ。符号が逆になりました。

面白いのは中身です。利益側を売った割合は0.141と0.146でほとんど変わっていません。動いたのは損失側で、0.059から0.252へ。0.252 ÷ 0.059 = 4.27倍でした。

つまり、利確が上手くなったのではなく、損切りが実行されるようになっただけということです。

この研究にはもう1つグループがあります。価格は同じように先に決めるけれど、その値段に届いたときに知らせるだけで、自動では売らない条件です。

こちらの指標は0.088。仕組みが何もない条件の0.082とほとんど同じでした。知らせるだけでは足りない。実際に執行されることが効いていた、ということになります。

4.初期設定は、やる気より強く効きます

アメリカ、コロンビア大学の意思決定研究センターの2人、ジョンソン氏とゴールドスタイン氏が、ヨーロッパ各国の臓器提供の同意率を並べた研究があります。

登録した人だけが提供者になる国はデンマークが4.25%、断らなければ提供者になる国はオーストリアが99.98%。同じヨーロッパで、これだけ離れています。

ここまではよく紹介される話です。私が面白いと思ったのは、同じ論文の実験のほうでした。

初期設定が「提供しない」だと42%、「提供する」だと82%。そして初期設定を置かず、その場で選ばせると79%になりました。

79%と82%に差はありません。低かったのは42%だけです。つまり、初期設定が背中を押しているのではなく、「その場で選ばせる形」のほうが判断を下に引っ張っていたということです。

貯蓄でも同じ形が出ています。アメリカの大企業の年金加入を分析した経済学者、マドリアン氏とシェイ氏の研究では、自分で申し込む形だと加入率が37%、自動加入に切り替えたあとは86%。同じ論文で、金融教育による上昇は8.2ポイントとされています。

教育で8.2ポイント、初期設定で49ポイント。5.98倍の差になります。

5.MT5で先に置ける注文は、思っているより多いです

MT5の注文は、その場で成立させる成行が2種類、値段が来たら発動する待機注文が6種類あります。MT4は待機注文が4種類なので、2つ増えている形です。増えた2つはストップリミットと呼ばれ、「この値段まで動いたら、そこから指値を置く」という二段構えの注文になります。

ここで、あまり知られていない性質を1つ。

指値注文、つまり今より有利な値段で待つ注文は板に出るので、要求した値段より悪い価格では成立しません。

逆指値注文は違います。開発元の資料には、外部の取引システムには出されず、値段に届くまではMT5の中で処理されると書かれています。届いた瞬間に成行へ変わる仕組みです。

つまり、逆指値には滑りが構造的についてくるということです。損切り幅は、この滑りぶんを含めて計算しておくのがおすすめです。

先に置いておくものは、4つでOKです。

  1. 決済の逆指値。あとから置くのではなく、持つのと同時に
  2. 決済の指値。届かない日があっても構いません
  3. 許容できる滑りの幅。注文画面で指定できます
  4. ここまでをテンプレートとして保存する。毎朝ゼロから作らない

6.同じ注文でも、通っている道は業者ごとに違います

日本の一次データも見ておきます。金融先物取引業協会と東京外為市場委員会の共同調査が、2025年10月に公表されています。

店頭FXを扱う46社のビジネスモデルは24形態に分類されていて、軸の1つが「顧客の約定と、業者が外部で行うカバー取引の、どちらが先か」です。ここが「前」の会社、「後」の会社、「裁量」の会社に分かれます。

2025年4月度の顧客取引額1,472兆5,065億円のうち、外部に出ていったのは448兆4,371億円で30.5%。残りは業者の中で相殺されています。

つまり、同じ成行注文を出しても、そこから先の通り道は会社ごとに違うということです。他人の設定を真似しても噛み合わないのは、この辺りに理由があります。

なお、先に置く注文にも弱点があります。金融の研究者リンナインマー氏は、指値注文を使っているだけで「入ったあとの成績が悪い」「損切りが遅い」という形が機械的に出ることを示しました。ブレは減りますが、成績の見え方も変わります。

7.私が一番長くやっていた負け方

いくつも並べるより、今日は1つだけ掘ります。私がいちばん長く続けてしまったのは、逆指値をあとで置く、でした。

持った直後は値が動いていて手が止まります。入力している間に価格が変わるので置き直す。そうこうしているうちに含み益が出て、今度は置く気がなくなります。置かないまま伸びた日はうれしいので、翌日も同じことをします。

いちばん悪いのは、負けた日に反省する材料が残らないことでした。損切り幅を決めていないので、何pipsで切るつもりだったのかが分かりません。

今は、持つ前に数字を紙に書いています。書いてから注文画面を開く。それだけで置き忘れがなくなりました。

8.まとめ

今日の要点は3つです。

  1. 損切りと利確を、入る前に決めてしまう。決める順番を変えるだけで、同じ相場でも違う注文になります
  2. 自動で執行される仕組みがあると行動が変わります。実験では損失側の実現が0.059から0.252へ4.27倍。ただし「知らせるだけ」の条件は効いていません
  3. 私の28営業日では、昨日と今日の順位相関は0.3089で、大きい2日を外すと0.0588。昨日を見て今日を変える根拠は、私の記録にはありませんでした

例外を1つだけ。指標の発表前後など、値が飛ぶと分かっている場面です。ここは先に置いた逆指値が想定外の価格で成立します。設定より前に、参加しないという選択が来ます。

今日の行動は、これ1つで足ります。

次の1回で、決済の逆指値と指値を先に入力してから、成行を押してください。

順番を入れ替えるだけです。10秒で終わります。

MT5の設定の話は、いったんここまでにします。お時間をいただき、ありがとうございました。

仲値トレードナビのご案内

今日の内容は、公開されている資料と自分の記録だけで組み立てています。有料の情報は入っていません。

ただ、実際に順番を入れ替えてみると、置く場所そのもので手が止まります。

  1. 入る前に決めるはずの損切り幅を、何を根拠に決めるのかが毎日変わる
  2. 先に置いた注文に刺さった日が続くと、置くこと自体をやめたくなる
  3. そもそも今日は入るのか入らないのか、その判定が朝の気分で動く

ここは慣れの問題でもないと思っています。毎朝、同じ順番で同じ数だけ確認する。この作業そのものに負荷がかかります。

発注も決済もしないインジケーターを配布しています。ドル円の朝9時台だけを対象にしていて、条件を満たしたときだけ矢印が出ます。出ない日のほうが多い作りです。

仲値トレードナビ:朝9時台の仲値トレードナビ

矢印は、条件が揃ったという事実の表示です。勝ちの合図ではありません。損切りとロットは、必ずご自身のルールで決めてください。

順番を入れ替えるところからで十分です。ページを見るのは、気が向いたときで構いません。


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この記事のライター

仲値トレーダー

朝9時台のドル円・仲値トレードを実践・検証。早入り、追いかけ、感情トレードを減らすため、時間・環境認識・見送り条件を発信。裁量ルールのEA・インジケーター化にも挑戦中です。手法と実践記録は固定記事へ

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