寝不足の日ほど、いつもより大きく入ってしまう。朝9時台は「判断が変わる向き」を先に知る
仲値トレーダー
昨日は寝るのが遅くなった。
それでも朝はいつもどおりチャートを開き、いつもの数量で入る。ところが含み益が出たところで手が止まり、決済しているはずの場所で「もう少し」と思ってしまう。
そして戻される。
記録を見返しても、原因の欄に書けることがありません。私は毎回「集中力が足りなかった」で片づけていました。
今日はそこを分解します。
1.私の33営業日を、1日ではなく1回で数え直しました
ドル円の朝9時台だけを記録しています。7月20日から9月4日までの33営業日で成立57回。私1人の記録なので、母数としては小さいです。
この33日を、成立が2回あった日24日と、1回だけの日9日に分けます。
1日の合計は、2回の日が平均30.13pips、1回の日が13.03pipsで2.312倍。では1回あたりに割り直します。2回の日は15.07pips、1回の日は13.03pipsで、1.156倍まで縮みました。日の並びをシャッフルする順列検定を20万回まわすと両側p=0.6913。たまたまでも普通に出る差、という意味です。
つまり合計の2.31倍差は、1回の質ではなく機会の回数でほぼ説明がつきます。
「今日は調子が良かった」という感覚は、1日の結果からは取り出せない。 ここが今日の出発点になります。
2.6時間睡眠を2週間続けると、2晩徹夜と同じところまで落ちます
アメリカの睡眠研究者、ヴァンドンゲン氏らの研究チームが2003年に出した実験です。健康な成人48人の寝床にいる時間を1日4時間、6時間、8時間に割り当て、14日続けさせました。
6時間以下を14日続けた人の認知テストの落ち込みは、最大で2晩徹夜した人と同じ水準まで来ていました。
この研究は、影響を1日15.84時間を超えた起床時間の積み上げとして説明します。数字を借りて計算しました。
- 睡眠6時間なら起床18時間。超過は1日2.16時間、14日で 30.24時間
- 睡眠8時間なら起床16時間。超過は1日0.16時間、14日で 2.24時間
- その比 30.24 ÷ 2.24 = 13.5倍
厄介なのは落ち込みの大きさより、本人が気付いていなかったことのほうです。
眠気の自己申告は、最初の数日で少し上がったあとほとんど増えません。4時間の人と6時間の人の申告に統計的な差が出ていない。点数は下がり続けているのに、感覚だけ途中で止まっていました。
だとすると「今日は寝不足だから慎重にいこう」と朝決めること自体、当てになりません。
3.眠らないと大胆になる、という話ではありませんでした
アメリカの研究者、マッケンナ氏らの研究チームが2007年に出した実験です。26人に平均22.7時間の徹夜をはさんで同じくじ引きの課題を2回やらせ、対照群12人も置きました。
よく眠っていると、利益の場面では慎重に、損失の場面では大胆になります。「利確は早く、損切りは遅い」の下地です。
徹夜のあとは、こう動きました。
- 利益の場面で、慎重さが有意に減りました
- 損失の場面では大胆さが減りましたが、こちらは有意ではありません
有意に動いたのは利益側だけです。それでも、向きが分かれば十分だと思っています。アクセルを踏むのではなく、利益がかかった場面でだけ慎重さが抜ける。 冒頭の「含み益が出たところで手が止まる」は、これで説明がつきます。
4.落ちるのは判断力より「途中で切り替える力」です
ホイットニー氏らの研究チームが2015年に出した実験です。26人中13人を62時間眠らせず、正解のルールが途中で予告なく入れ替わる課題を出しました。
- 覚える力そのもの(作業記憶)には有意な差が出ませんでした
- ルールが入れ替わったあとの適応は、大きく崩れました
- 結果を受け取ったときの体の反応が鈍っていました
3つ目が肝になります。間違いは登録されるのに弱くしか響かない。だから修正が起きません。注意力の脱落では説明がつかなかった、とも書かれています。
つまり寝不足で危ないのは入る判断より、相場つきが変わったと気付いて手を止める部分のほうです。
5.市場全体の話にすると、結論は逆に転びました
サマータイムの切り替え週末を調べた研究があります。カムストラ氏らの研究チームが2000年に出したもので、時計を1時間ずらす週末の直後は株式のリターンが大きくマイナスになっていた。通常の週末の2倍から5倍です。
ところが2002年、同じ号に反論が載ります。少数の極端な週末が結果を引っ張っている、という指摘です。2010年には22市場を使った再検証が出て、結論は効果を確認できない。仮にあっても取引コストが飲み込む、とも書かれています。
眠りの影響は市場全体の平均に残りません。残るのは自分の口座の中だけです。
6.私の負けパターン(1つだけ掘ります)
今日は並べるのをやめて、いちばん高くついた1つだけ書きます。
寝不足の日に、逆に慎重になろうとしてルールを変えたことです。
自覚はありました。だから数量はそのままで、損切りだけを半分に狭くする。安全側に寄せたつもりでした。
結果は逆でした。狭いぶん普通の揺れで刺さる。刺さるので入り直す。入り直してまた刺さる。その日の負けは、いつもの日の3倍近くまで膨らみました。
これが「気を付けた結果」だという点が厄介です。寝不足の頭で気を付け方を決め直したのが間違いでした。ルールを変える作業そのものが、いちばん判断力を使います。
疲れた日にやるべきは、ルールを変えることではなくその日は動かさないと決めておくことでした。
7.まとめ
今日の持ち帰りは、この3点です。
- 1日の結果から体調は取り出せません。私の33営業日でも、合計の2.312倍差は1回あたりで1.156倍まで縮みました
- 6時間睡眠を2週間で、2晩徹夜と同じ水準まで落ちます。しかも眠気の申告は4時間と6時間を区別しません
- 変わるのは判断力の高さより向きです。利益の場面でだけ慎重さが抜け、間違えたあとに直す力が鈍ります
例外を1つ。自覚があって手を止められる方には当てはまりません。当てはまるのは、自覚がないまま平常運転している日です。
そのうえで、今日の行動を1つに絞ります。
トレード記録に「昨夜の睡眠時間」の列を1つ足してください。書くのは数字だけで、分析はしなくて大丈夫です。
ここまでお付き合いいただき、助かりました。
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ここまでに有料の材料は使っていません。公開の研究と私の記録だけです。
ただ、睡眠時間を足したあと、次の壁が出てきます。
- 数字は貯まるのに、その日の判断とひもづかない
- 眠れなかった日ほど早くチャートを開き、見る時間が長い日ほど記録が雑になる
- 見送った日の記録が残らず、見送れた回数を数えられません
これも根性の話ではありません。判断の入口をその日ごとに作り直していると、いちばん疲れた日にいちばん重い作業が回ってくる。順番の問題になります。
ドル円の朝9時台だけに絞ったMT4とMT5用のインジケーターを配布しています。条件を満たしたときだけ矢印が出るので、出ない日のほうが多い設計です。無料です。
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矢印は、条件が揃ったという事実の表示です。勝ちの合図ではありません。損切りとロットは、必ずご自身のルールで決めてください。
今夜、寝る前に1行書いてみてください。受け取るのは、そのあとで大丈夫です。
