負けた理由をチャートの中に探してしまう。FXで負ける原因は「金額に効く順番」で並べ替える
仲値トレーダー
負けたあと、チャートをさかのぼって見返します。
あの高値で入ったのがまずかった。ここで我慢していれば戻っていた。
そうやって「今日の負けた理由」を1つ見つけ、明日はそこを直そうと決める。
私も何年もこれをやっていました。ただ、この直し方には最初から抜けがあります。
負けの金額に効いている順番と、チャートを見返して見つかる順番が、まったく違うからです。
1.原因を1つに決めようとすると、たいてい外れます
負けた日に原因を探すと、必ず何かが見つかります。エントリーが早かった。損切りが浅かった。利確を我慢しすぎた。
問題は、探せば必ず見つかってしまうことのほうです。
1回のトレードには、判断も、ロットも、コストも、その日の相場の性質も、全部同時に乗っています。返ってくる結果は1つの数字なので、そこから原因を1つだけ取り出すことはできません。
では、どうするか。先に原因を層に分けて、金額に効く順番で並べる。これが今日の中身です。
2.私の19営業日の記録でも、1日の結果は19.3倍ばらつきます
まずは自分の記録から見ていきます。
私はドル円の朝9時台だけを記録しています。7月20日から8月17日までの19営業日ぶんです。pipsというのは値動きを数える最小単位で、ドル円なら0.01円が1pipsになります。
- 19営業日の合計 476.3pips、1日あたりの平均 25.07pips、中央値 17.30pips
- 最も大きい日が104.4pips、最も小さい日が5.4pips。19.3倍の差
- 平均の25.07pipsを下回った日は19日中15日。78.9パーセント
同じ舞台で、同じ考え方で入っていても、1日の結果は20倍近く動くということです。
平均を下回った15日について「今日は何が悪かったのか」を毎回探すと、15通りの原因が出てきます。でも実際には、ほとんどの日は何も悪くしていません。ばらつきの範囲に入っているだけです。
私の記録なので母数は小さいです。それでも、1日の結果から原因を読もうとすると外れる、という感覚はここから来ています。
3.390万人の記録で、負けの中身を4つに分けた結果
では、負けの中身を分けた研究を見ていきます。
アメリカの研究者バーバー氏とオディーン氏らの研究チームが、台湾の取引所の全取引データを5年ぶん分析しました。対象は個人投資家およそ390万人です。株式市場の話ですが、内訳の出し方が参考になります。
- 判断そのものによる損失 27パーセント
- 手数料 32パーセント
- 取引税 34パーセント
- タイミングのずれによる損失 7パーセント
32 + 34 = 66
負けの3分の2は、手数料と税でした。「どれを選んだか」という判断の部分は27パーセントしかありません。勝ち負けを分けていたのは、多くの人が真っ先に直そうとする「入るところ」ではなかったということです。
FXに取引税はありませんが、スプレッド(買値と売値の差)が同じ役割をします。では、実際の数字で説明していきます。
- 1日1回、スプレッド0.2pipsで240営業日 240 × 0.2 = 48pips
- 1日10回なら 2,400 × 0.2 = 480pips
回数を10倍にすると、年間480pipsの向かい風が最初から吹くということです。私の1日平均が25.07pipsなので、19日ぶんの成果に相当します。
もう1つ、この研究には面白い発見があります。個人の損失のほぼ全部が、積極的な注文から出ていました。積極的な注文というのは、いま出ている値段に飛びついて成立させる注文のことです。逆に、値段を指定して待つ注文は、短い期間で見るとむしろプラスでした。
同じ相場観で入っても、入り方が違うだけで符号が変わります。
4.「9割が負ける」は本当か。米国とブラジルの記録で確かめる
よく「FXは9割が負ける」と言われます。この数字の出どころを確かめてみました。
アメリカでは、FX業者に四半期ごとの成績開示が義務づけられています。口座数と、利益が出た口座の割合を公表する仕組みです。大手業者の開示を4四半期ぶん並べてみます。
- 2025年7月から9月 40,232口座のうち利益 34.25パーセント
- 2025年10月から12月 38,886口座のうち利益 31.72パーセント
- 2026年1月から3月 38,585口座のうち利益 30.91パーセント
- 2026年4月から6月 34,791口座のうち利益 32.56パーセント
四半期単位なら、勝っているのは3割前後です。9割が負けるというのは言いすぎになります。
ただ、ここからが本題です。4四半期すべてで利益を出せる人はどれくらいか。仮にそれぞれが独立だとして掛け算してみます。
0.3256 × 0.3091 × 0.3172 × 0.3425 = 0.0109
約1.1パーセントです。四半期なら3人に1人が勝ちますが、1年を通すと100人に1人になります。
あと、口座数を見てください。40,232から34,791へ、1年で13.5パーセント減っています。残っている人の割合なので、やめた人は分母から消えています。
ブラジルの大学の研究チームが、この点を追いかけた調査を出しています。株価指数先物のデイトレードを始めた個人を全員追跡したもので、300日以上続けた人のうち97パーセントが損失でした。
そして、いちばん重い結論はここです。300日を超えて取引した人たちを分析しても、経験による上達の証拠は見つかりませんでした。結果が返るまでに時間がかかり、しかもばらつきが大きいからです。
5.では、どの順番で潰していくか
ここまでの数字を、直す順番に並べ替えます。上から順に、金額への効き方が大きいものです。
第1層 回数とコスト。 負けの3分の2が手数料と税でした。まず1か月の取引回数を数える。腕は関係なく、数えるだけで減ります。
第2層 1回あたりのリスク。 1日の結果が19倍ばらつくなら、損切り幅も同じようにばらつきます。1回の許容損失を、ロットではなく金額で固定するのがおすすめです。
第3層 入り方。 追いかけて入った回数を記録します。これも記録するだけで減っていきます。
第4層 手法と判断。 多くの人が最初に直そうとする場所で、金額への効き方はいちばん小さい。上の3つが固まっていないと、手法を変えても差がばらつきに埋もれて見えません。
野球で例えるなら、フォームを直す前に、打席に立つ回数と球種の見分けを整えるのと同じ感覚です。
順番を逆にすると、いちばん効かないところから直すことになります。これが「手法を変えても成績が変わらない」の正体だと思っています。
6.私の負けパターン
ここでは最後に、私がやってしまったパターンをお伝えします。
- 負けた日の夜に手法を変える その日の結果はばらつきの範囲だったのに、原因を1つ決めて直してしまう。翌週にはまた別のものに変わっていました。
- 取引回数を数えていなかった 「今月は多かったかも」で済ませていました。数えたら思っていた3倍でした。
- 勝った日を振り返らない 負けた日だけ見返していたので、比べる材料が片側しかありませんでした。
原因を探す前に、まず数える。これが大事だと改めて気付きました。
7.まとめ
覚えて帰っていただきたいのは3行だけです。
- 個人の負けの3分の2は手数料と税で、判断そのものは27パーセントだった
- 四半期で勝てる人は3割前後だが、4四半期続けて勝てる人は約1.1パーセント
- 1日の結果は19.3倍ばらつくので、1日の結果からは原因を読めない
ただし、以下の場合はこの順番を当てはめません。
- 取引回数がもともと月10回以下の場合。第1層はすでに問題になっていません
- 1回の損失額が資金に対して明らかに大きい場合。第2層から直してください
そして、今日やることは一つだけです。
今月の取引回数を数えてください。 手法を変えるのは、そのあとで大丈夫です。
以上が、FXで負ける原因の並べ替え方になります。ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました。
仲値トレードナビのご案内
ここに書いたことは、すべて無料で学べる範囲の内容です。研究の話も、回数とコストの掛け算も、調べれば誰でも同じ結論にたどり着けます。
ただ、実際にやると次の壁が出てきます。
- 回数を数えると決めても、忙しい日だけ記録が飛ぶ
- 追いかけて入った回数を、自分では少なめに数えてしまう
- 数えた結果を毎日同じ形で残せず、月をまたいで比べられない
これも意志の問題ではありません。毎回同じ基準で、同じ形で数え続けること自体が重い作業だからです。
ドル円の朝9時台だけに絞ったMT4とMT5用のインジケーターを配布しています。確定足だけで判定するので、出た矢印が後から消えたり動いたりしません。自動売買はしないので、発注も決済もご自身の判断になります。無料です。
仲値トレードナビ:朝9時台の仲値トレードナビ
矢印は、条件が揃ったという事実の表示です。勝ちの合図ではありません。損切りとロットは、必ずご自身のルールで決めてください。
まずは今日の記録から始めてください。受け取るのは、そのあとで大丈夫です。
