今回のテーマは「腸活」。
近頃「美容や健康のためには腸内環境を整えるのが大事」と様々なメディアで目にしますが、じつは妊活にも腸内環境は大きく影響するのを知っていますか?
そこで、なぜ腸活が大事なのか、腸内環境を良くするにはどうすればいいのか?をお話ししたいと思います。
現代人は腸内環境が乱れている?
いきなりですが、みなさん毎日のお通じは快適な状態でしょうか?
実は、2019年に実施された調査では日本人の2人に1人は「便秘」だということわかっています。
これは1万人を対象に調査した結果なので、かなり信憑性のある調査報告と言っていいでしょう。
実際に私の周囲に聞いてみても、「私、昔から便秘気味で……」という人は多いです。
人数が多い=かなりの割合で腸内環境が乱れるのは当たり前と軽視されがちなんですね。
しかし、それは大きな間違い。
「ただの便秘」と腸内環境の乱れを放置するとどうなるでしょうか?
腸内環境の乱れは、便秘だけでなくバナナ状の「綺麗なウンチ」が出にくいことはもちろん、ガスが溜まったり、肌荒れや冷え性など、一見よくある症状にも当てはまります。
もしかしたら、日々悩まされている軽微な不調も腸内環境の乱れのせいかもしれないのです。
見落としがちな腸内環境の乱れが妊娠から遠のいた体へ
では、なぜ腸内環境の乱れで妊娠しにくい体になってしまうのか。
それを説明する前に、腸が持つ役割を解説しましょう。
大腸と小腸からなる「腸」。
摂取した栄養を消化・吸収するのに欠かせない器官ですが、それだけではありません。
腸は体を守る免疫、及び心身を整える脳や自律神経など多くの部分に関与しています。
キーワードは「腸内細菌」。
「腸内フローラ」という言葉を聞いたことはありませんか?
腸の中には約100兆個もの細菌が存在していて、細菌が群生する様子がお花畑のように見えることからそう呼ばれています。
腸内フローラには良い菌もいれば悪い菌も棲み着いています。
腸内環境を整えるということは、良い菌と悪い菌のバランスを整えるということ。
ストレスや疲れ、免疫力の低下などで悪い菌が優勢にならないよう気をつけないといけません。
腸内環境が乱れて悪い菌が優勢になると、免疫が過度に働いて「妊娠免疫寛容」(身体にとって「半異物」である胎児を排除しないよう働くシステム)が下がったり、自律神経が乱れてホルモンバランスが崩れたり……
と、妊活にとっては良くないことばかりが起こり得ます。
また、腟内や子宮内に存在する「ラクトバチルス属」と呼ばれる乳酸菌は、細菌性膣炎や性感染症、尿路感染症の原因となる細菌を繁殖させないよう守ってくれる大事な細菌。
とくに子宮内に存在する乳酸菌が少ないと、流産率が向上するというデータもあり、ぜひとも増やして頂きたいものです。
そのためには、腟内や腸内のラクトバチルス菌を増やす必要があるのです。
ある研究では、消化管から血液、口腔、または糞便経路を経由して発生する生殖管内の細菌は、女性の妊娠性や男性の生殖能力において重要な役割を果たしている可能性が示唆されています。
他にも、着床しづらさや不育症に悩む方には、子宮内の細菌叢(さいきんそう-決まった部位に集団で存在している細菌の集まり)を検査するクリニックもあります。
それほど、腸内環境とそこから作られる体内の細菌は妊活にとって重要なのです。
すなわち、腸活をおこなえば生活する上で基本的な「健康な体」、ひいては「妊娠しやすい体」に近づくことができるというわけです。
腸活のポイント
「腸内環境を整えよう」と言われて、では何をすればいいのでしょうか。
もちろん、「腸内フローラのため」を謳ったお薬やサプリは数多く販売されています。
しかし、薬やサプリに頼る前に日頃の生活でできることはたくさん。
一体何をすれば良いのか、日常的にできることをお話ししましょう。
エサを与え良い菌を育て・悪い菌を減らす食事法
「善玉菌」と呼ばれる良い菌には、ビフィズス菌や乳酸菌などがあります。
これらの菌を増やすには、エサを与えないといけません。
結論から言うと、発酵食品がおすすめ。
とくに、納豆や味噌、ぬか床、甘酒、お酢、キムチなど昔からある東洋由来の発酵食品がいいでしょう。
発酵食品には様々な種類の乳酸菌が含まれていて、その乳酸菌が腸管免疫に影響することがわかっています。
また、納豆菌の中には腸内まで生きたまま到達し、ビフィズス菌を増やしてくれるものも。
「乳酸菌といえばヨーグルトじゃない?」と考える人もいると思いますが、ヨーグルトの原料、牛乳のカゼインは日本人には消化が難しい成分。
腸に炎症を引き起こしてしまうこともあるため、腸活の際にはあまりお勧めできません。
発酵食品の他には、食物繊維やオリゴ糖なども腸活に有効です。
食物繊維がお腹の中で発酵すると腸内が弱酸性になり、善玉菌が住みやすくなる効果があります。
また、水溶性食物繊維は善玉菌のエサになるだけでなく、増やしてくれる作用も。
オリゴ糖も、ビフィズス菌のエサとなって良い菌を増やすサポートをしてくれます。
そのため、発酵食品を摂るとともに、食物繊維とオリゴ糖も意識して摂れるといいですね。
ちなみに納豆は発酵食品であるだけでなく、水溶性食物繊維も豊富に含む優秀な食材です。
オリゴ糖は大豆などの豆類やたまねぎやごぼうなどの野菜、アボカドやバナナなどに含まれていますよ。
また、腸活と聞くと上記のように食べ物から摂る、「ON」のイメージが強いですが、実は「OFF」した方がいい食品もきちんと知っておくことが大切です。
たとえば、食品添加物。
乳化剤や防腐剤など様々なものが食品に使われていますが、食品添加物は腸内フローラを乱すことがわかっています。
完全にOFFするのは難しいですが、日頃から食品成分表を見る癖をつけて、少しでも摂る量を減らせるよ良いでしょう。
さらに、お砂糖や人工甘味料も良くありません。
とくに注意したいのは精製された「白砂糖」。
血糖値を大きく変動させるため、自律神経が乱れます。
またお砂糖は悪玉菌の大好物、白いお砂糖を摂れば摂るほど悪玉菌を育てていることに。
家で使うお砂糖はきび砂糖や黒糖などの未精製のものに、人工甘味料(アステルパーム、スクラロース、アセスルファムK)を使った商品は避けて、ステビアや羅漢果など天然の甘味料を使ったものを選んでください。
市販のお菓子のほとんどには大量の精製された砂糖が使われているので、注意してくださいね。
セロトニン放出で、心も腸も幸せに
食べ物だけでなく、日頃の行動でも腸活は可能です。
鍵は「セロトニン」を増やすこと。
以前のブログでも書いたことがありますが、セロトニンとは「幸せホルモン」と言われるほど心身に好影響を与えるホルモン。
それだけでなく、腸内環境を整える作用もあるんです。
実は、体内に存在するセロトニンの90%が腸内に存在。
腸内のセロトニンが筋肉の運動を促してくれることで、食べ物がスムーズに体外へ押し出されるのです。
さらにセロトニンの自律神経調節効果で、腸がリラックスして自然な排便が促されるというわけ。
なんとしても増やしたい「セロトニン」。
お薬で半強制的に分泌させることもできますが、下痢などの副作用の恐れもあります。
やっぱり、自然に分泌を促したいですよね。
セロトニンの増やし方は、じつは簡単。
以下の行動を意識してみてください。
・朝15分、太陽の光を浴びる
・朝に牛乳とバナナを摂取(午前中にトリプトファン=セロトニンの原料を取るのが鍵!)
・リズム性運動(ランニング、筋トレ、呼吸を意識したYOGAなど)
・スマホの利用は、1日2時間未満に
・自然の中で過ごす
どうでしょう、今すぐにできそうなことばかりじゃないですか?
「周囲に自然なんかないよ」という方は、ちょっと遠出して羽根を伸ばす計画を立ててもいいですね。
ワクワクする予定を立てるのも、セロトニン分泌に効果的です!
まとめ~しない理由がない!?今すぐ始めてほしい腸活~
腸活には百利あって一害なし。
今このブログを読んでくれている方には、すぐにでも始めて欲しいと思います。
「だって妊活ってストレスだもん」とついお酒に手が伸びたり、甘いものを摂取したり……
その気持はよ~くわかります。
でも、そのちょっとして行動の積み重ねが腸内環境の乱れに繋がってしまいます。
ストレス解消の方法をちょっと変えてみて、運動や自然の中をお散歩するようにしてみては?
もしくは、ストレスを感じた際には呼吸の乱れを整えるために深呼吸してみる、ちょっと気分を変えてウォーキングをするなど気分転換をしてみましょう。
そして少し心に余裕が出てきたら、一品だけでも丁寧に和食を作ってみて、ゆっくり咀嚼する時間に変えていきませんか?(心身を温め、野菜をたっぷり摂取できる&発酵食品の恩恵も受けられる『具沢山お味噌汁』が個人的にはお勧めです!)
あまり意識しすぎて却ってストレスになっては本末転倒ですから、出来ることから少しずつ変えていけるといいですね。