「揺れる」、「傾く」、「回転」、「速さ」を感じとる「前庭覚」を育てる遊びのエッセンスを加える話
絵本作家おがさん 発達支援、心の在り方ブログ
「前庭覚」とは、人が重力や身体の傾き、回転や加速といった感覚をとらえるための大切な「感覚」の一つです
私たちは無意識のうちにこの前庭覚と他の感覚を組み合わせて使いながら、姿勢を保ち、空間の中で自分の位置を理解しています
前庭覚にはいくつかの重要な役割があります
前庭感覚は三半規管が司る感覚です
主な役割は・「揺れる」、「傾く」、「回転」、「速さ」を感じとる
・視覚から回転の刺激を入れる。眼球運動のコントロールをしている
・揺れで、興奮や、リラックスなどの情緒のコントロールをしている
・身体の姿勢のバランスを保ち、「傾き」を調整している
これらが「前庭覚」の働きです
前庭覚が十分に育つと、姿勢や情緒の安定という形で現れます
距離感や方向感覚が身につくことで空間把握がスムーズになり、身体の安定は心の安定にもつながり、感情面でも落ち着きやすくなると考えられています
感覚の中でも「前庭覚」、「触覚」、「固有覚」は人間の生活するうえで必要な「重要な感覚の枠組み」であるので、
ここが揺らぐと非常に生き抜くく、生活の中で常にストレスを抱えてしまう可能性があるのです
遊びを通して前庭覚を育てるポイント
前庭覚は本来、日常の中での遊びを通して自然に育つものなのです
しかし、「感覚統合不全」でその「前庭覚」を始め、他の感覚を得られない状況にあることもあるため、その際には関わる大人が
「意図的に感覚を入力する」必要があります
その際に重要になってくるのが前庭覚の感覚入力を含んだ「遊び」です
その際のポイントは大きく4つです
○ 回転・揺れ・ジャンプ・逆さまなど、普段の生活では得にくい動きを遊びに取り入れること
○ 柔らかいマットや広いスペースを確保し、安心して身体を動かせるように工夫すること
○ 子ども自身の「楽しい!」を尊重し、強制するのではなく、遊びの中で自然に繰り返すこと
○ 距離や傾きを感覚で理解する工夫を入れることで、目で見るだけでなく、身体で感じて調整する経験を重ねること
前庭覚をベースにした具体的な遊びは以下のようなものがありますが、皆さん一度は体験した事があるでしょう?
生活の中に既に取り入れられているのです
これを更に様々な遊びにその要素(エッセンス)を加えるイメージです



遊びの中に前庭覚のエッセンスを加えるために
「遊びに感覚を加えること」
けっして難しいものではないのですが、では具体的にどうすればいいのか
慣れないと悩んでしまいますよね(´・ω・`)
ということで、「実際に遊びにどう加えるか」 紹介したいと思います
皆さんが今までやったことをあるような遊びを「再考」するようなイメージでみてください
「ボーリング」に前庭覚のエッセンスを加えると…
皆さんご存じボーリング
ボールを転がしてピンを倒すシンプルな遊びです通常は力加減や方向を目で見て調整しますが、ここに前庭覚を意識した工夫を加えると、より身体感覚に働きかける遊びになります
例えば、「ボールを自分にする」という発想があります

総じて「人間ボーリング」というやつです
ピンと自分の間にマットを引き、横転をしながらピンを倒す という形で、身体に回転を加え、前庭覚に刺激を入力しながらボーリングを行うことができます
また、マットのコースを変える(坂にしたり、障害物を置くなど)ことで、お子さんの飽きさせない、より身体を使う遊びにすることができるのです
これの応用にボードに乗ってピンを倒すやり方もあります
「だるまさんが転んだ」に前庭覚のエッセンスを加えると…
「だるまさんが転んだ」は、鬼が振り返った瞬間に動きを止めるという、誰もが経験したことのある遊びです
ここに前庭覚を育てるエッセンスを加えると…
例えば、止まるときに「片足立ち」「しゃがむ」「両手を広げる」
などのポーズを指定すると、子どもは身体の傾きを微調整しながら静止する動きを取り入れますさらに、鬼が「ジャンプして止まる」「回転して止まる」といった指示を出すと、動きの中で急に姿勢を制御する力が求められます

また、違うバリエーションとして「目を閉じて3歩進んでから止まる」
などを加えると、視覚に頼らずに身体の位置を感じ取る練習になります
「ヘビ橋の上で行う」などの「動く場所の制限」 もオススメです
ここでのポイントは、あんまり難しくすると嫌になるのでお子さんができる時間を把握し、例えば「3秒」などの時間を設けたり…
勝ち負けをつくらない、大人が鬼をやって制御する
といった柔軟な遊びの工夫を提供することです
「キャッチボール」に前庭覚のエッセンスを加えると
これ、皆さんのイメージは 野球ボールを投げ合う というものではないでしょうか?
それだとかなり難易度が高いので、もっとダイナミックで大きいものを投げ合います
そう 「新聞紙を丸めたものを詰め込んだゴミ袋」です
30リットル、45リットル、70リットルと大きさを変えることで遊びの楽しさの段階、強弱を演出することができます
ゴミ袋自体もつかみやすく、身体全体で受け止めることができるので、キャッチの応酬がしやすいのです
ここで距離を近くから徐々に遠くにしたり…
横に放ったり、高く投げてみたり、ぶらぶら揺らして近づいてみたり…
キャッチが難しいならパンチでもキックでもいいです
お子さんが 「目で見て距離を意識して身体を動かす体験」 を引き出すことが大切なのです

まとめ
保護者さんも保育士さんも「遊び」の種類をよく知っています
そこに少しだけこの引き出しを入れ込むことで、遊びの幅が、理解が格段に広がるのです
「感覚を意識した遊び」は「部位を意識した筋トレ」とよく似ています
今回は前庭覚でしたが、ここに五感、固有覚も加えると更に広がります
ワクワクしませんか?(´・ω・`)✨
