●「なぜお子さんが鉛筆を噛むのか」
乳幼児のお子さんがよく口に物を入れる行動をしますよね
大変かわいらしく、危なっかしくもある行動ですが、それは
・外の世界への探索行動
・身体、口腔内のイメージの確立
・気持ちの安定を図る
といった成長につながる行動なのです(あまり意識が向かないですが、触覚なのです)
「口に物を入れる」とりわけ「噛む」「顎の筋肉を使う」という行為は、情緒における
「覚醒をあげる」(目を覚ます、興奮度を高める)
集中力を一定に保つ
ということにつながります
これは大人でも
「ガムを噛むことで集中力する、目を覚ます」
といった具合のイメージがありますよね
タイトルにある通り、「なぜお子さんが鉛筆を噛むのか」という話はここに繋がっていくのです
鉛筆といった「適度に硬いもの」は、一定の集中を保つための感覚調整道具としてしばしば使用されてしまいます
あの歯型がいっぱいついた鉛筆がそれです
「座る姿勢を保持し、耳で授業を聞き、目で文字や図形を理解し、板書を書き写す」
そういった「感覚統合の集大成」みたいな動きを維持するために、自分なりに行きついた方法が「鉛筆を噛む」なのです
面白いのは、別に
「この方法がいいよ」と全国に触れ回ったわけでないのにみんな「鉛筆噛む行為」やっているということ
です
みんな「集中するため」に行きつくところが同じ感覚入力方法
というのはものすごい再現性の高さではないでしょうか(笑)
●どう対応するのがいいか
「やめなさい」って色んな子が言われ続けたと思いますが、難しい現状があることは、その感覚入力を通って育った大人の我々が一番よく知っているのではないでしょうか
集中できないストレスであったり、眠気につながりまた別の問題につながる可能性も大いにあります
あえてもう噛ませる方向性にする
一つ人類が到達した解決方法として、「もう噛ませちゃってもいいじゃない」
という こういうすがすがしい商品もあるくらいです
全然ありです
また、学校では難しいことですが、大人と同様に「ガムを噛む」というのも有効な方法の一つです
別の感覚入力で感覚を満たす
問題の本質が、「覚醒を上げるために感覚入力を行う」
なので、鉛筆を噛むほかに様々な感覚入力の形が現れるのは必然なのです
・消しゴムをちぎる
・髪の毛をいじる
・シャーペンの芯を折る
・ボールペンのクリップ部分に指をはさみいれる、そして折る←私はめちゃくちゃやってた
などなど、こういった先人たちが残した感覚入力手段に心当たりがある人間はたくさんいませんか?
なので
噛む以外の触覚への感覚入力を入れることで、「集中力を維持する」取り組みのレパートリーをどれだけ増やせるか が重要になってきます
また別に、固有覚、前庭覚への感覚入力も有効です(触覚、固有覚、前庭覚への感覚入力は、情緒や自律神経系への影響が大きい感覚なのです)
「発達支援の領域」では結構一般的で、こういった感覚入力を済ませてから「座って行う活動」を入れたりしますこういう話を聞くと形は違えど様々な方法が考えられるのではないでしょうか
スクイーズなどを握る
例えば、スクイーズなどを握るなども有効です。触覚に刺激を入れ続けることで、集中力の持続の一助になります
様々な種類もあり、お子さんに合うものが何かを探すのも楽しいかもしれません
固有覚にも刺激を入れたいのであれば、少し硬めのスクイーズを用意するのもいいかもしれません

足や椅子の下にアプローチをする
よく聞く話で「椅子の代わりにバランスボールを置く」といった方法はメジャーですね
これも 「前庭覚」に感覚入力を維持し続ける という意味があります
また、椅子の座面にこういったツブツブのバランスディスクを入れたり、足裏に置くことで、固有覚、前庭覚、両方の感覚入力を行う方法もあります
●まとめ
お子さんの行動には必ず意味があります
例えば
お子さんの「何回も水筒の水を飲む」が
冷覚に刺激を入れて眠気を覚ます、集中を維持している
といった行動である場合もあるのです
こういった行動に対して知識がないと頭ごなしに「やめなさい」と注意してしまい、大人と子供の信頼関係を崩す一因になったりします
好ましくない行動であるならば代替案を用意する そのためには知識が必要
ということなのです
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