サンバー輸出プロジェクト|#5 TCVの160万円。その中身をAIと分解してみた
おさむ|AI輸出戦略
サンバー輸出プロジェクトも、5回目になりました。
ここまで私はAIと一緒に、
- TCVで海外販売価格を見る
- カーセンサーで国内販売価格を見る
- 業者オークションの落札相場を調べる
という順番で、中古車輸出の仕組みを学んできました。
その中で、ずっと気になっていた数字があります。
TCVに掲載されていた「160万円(FOB)」です。
前回の記事では、FOB価格とは何かを整理しました。
しかし、読者の皆さんが本当に知りたいのはそこではないと思います。
「160万円って、結局何のお金なの?」
今回は、この160万円という価格をAIと一緒に分解してみます。
160万円=利益ではない
最初に結論を書きます。
この160万円は、
輸出業者の利益ではありません。
「20万円で仕入れて160万円で売るなら140万円の利益じゃないか。」
私も最初はそう思っていました。
しかし、それは中古車輸出の仕組みを知らなかった頃の考えでした。
AIに、
「輸出業者はFOB価格をどのように決めていると考えられるか?」
と質問すると、
価格は様々なコストを積み上げて決まっている可能性が高いという分析になりました。
① 車両の仕入れ
これまでの記事でも紹介しましたが、
業者オークションではTT2型サンバーが20〜30万円台で落札されている事例が確認できました。
もちろん年式や走行距離、評価点によって価格は変わりますが、
ここが価格のスタート地点になります。
② オークション・陸送費
車を落札しただけでは輸出できません。
オークション手数料や、
会場から輸出ヤードまで運ぶ陸送費が発生します。
一台あたりは数万円でも、
確実に原価へ加算されます。
③ 商品化コスト
海外へ販売する車は、
そのまま船へ積み込むわけではありません。
- 洗車
- 車内クリーニング
- 点検
- 必要に応じた整備
- 写真撮影
- TCVへの掲載作業
こうした商品化にも人件費が掛かっています。
私たちがTCVで見るきれいな写真も、
無料では作れません。
④ 輸出手続き
さらに、
- 抹消登録
- 通関
- 港への搬入
- 輸出書類の作成
など、
国内販売にはない仕事があります。
ここも輸出業者ならではのコストです。
⑤ 在庫リスク
今回、一番印象的だったのがここです。
例えば20万円で仕入れたサンバー。
翌日に売れるとは限りません。
1か月。
3か月。
半年。
もっと長く在庫になることもあります。
その間も、
- ヤード代
- 人件費
- 資金拘束
- 金利負担
は発生し続けます。
つまり、
「売れるまでの時間」も価格に含まれている
ということです。
⑥ 最後に会社の利益
ここまで積み上げた上で、
最後に会社として利益を確保します。
つまり、
160万円というFOB価格は、
利益ではなく、すべてのコストと利益を積み上げた結果
という考え方の方が自然です。
AIに「160万円」を分解させてみた
もちろん、実際の輸出業者の原価は公開されていません。
そこで今回は、
AIに「一般的な中古車輸出業者なら、どのような内訳になる可能性があるか」をシミュレーションしてもらいました。
※これは実際の原価ではなく、理解しやすくするためのモデルケースです。

ここで気付くのは、
160万円という価格の大半が利益というわけではない
ということです。
輸出業者は、
車だけを売っているのではありません。
物流も、
輸出手続きも、
在庫リスクも含めて販売しているのです。
でも、まだ一つだけ分からない
ここまで整理しても、
私にはまだ疑問があります。
「その160万円で、本当に売れているのか?」
TCVは掲載価格です。
しかし、
実際に成約した価格は公開されていません。
ここが分からない限り、
利益を正確に計算することはできません。
次回はいよいよ価格交渉の世界へ
ここまで調べて、
160万円という数字の中身は少し見えてきました。
しかし、
本当に知りたいのは、その価格で取引されているのかどうか。
次回は、
- 「Ask the Best Price」はなぜあるのか
- 掲載価格と成約価格はどれくらい違うのか
- 値引き交渉は一般的なのか
- 輸出業者はどのように販売価格を決めているのか
この"価格交渉"の世界まで踏み込んで調べてみようと思います。
あとがき
このシリーズを書き始めた頃、
私は、
「20万円で買って160万円で売れば儲かる。」
そんな単純な世界だと思っていました。
でも、一つずつ調べていくと、
中古車輸出は、
安く買うビジネスではなく、価値を積み上げるビジネスだということが少しずつ見えてきました。
そして今回、AIと一緒に160万円を分解してみたことで、さらに大きな疑問が生まれました。
その160万円は、本当に"市場が受け入れている価格"なのか。
もし実際の成約価格が分かれば、
ようやく利益まで現実的にシミュレーションできます。
このシリーズは、「AIに答えを聞く企画」ではありません。
AIと一緒に市場を調べ、仮説を立て、検証し、間違っていたら修正するプロジェクトです。
だから、私はまだ「利益はいくらです」とは書きません。
納得できる根拠がそろうまで、一つずつ市場の歪みを解き明かしていこうと思います。
次回は、「160万円」という価格が、本当に市場で成立しているのか──その答えを探しに行きます。
