16歳-憧れの初めてのマリファナ
ドナルドシャッブ
※このお話は小説としてお読みください。
16歳、夏。
家庭環境は多少複雑だったものの、祖父が小さな会社を経営していたことから金にも困らず、中学から私立に進学した俺に、ワルになる環境はなかった。
ワルになりたかったけどなれなかった、"普通" の高校生として生きていた俺がハマったものが、HIPHOPとスケートボード。
当然のようにマリファナやドラッグに興味をもち、憧れた。
レールに沿った学校教育の弊害として、ドラッグ=依存性が高く怖いもの、という認識を持っていた俺は、HIPHOPに出会い、そして当時狂ったように聴いていた「Young, Wild & Free」に出会い、衝撃を受けた。
「マリファナ、めちゃくちゃ楽しそうじゃん。吸いてえぇ。」
高校の同期で同じくワルになれなかった友達と、毎日のようにそんな会話をしていた。だが、当然レールに沿って学校生活を歩んでいた俺たちに、マリファナを買うツテも勇気もなく、憧れと興味に留まっていた。
そんな俺たちは週末になると、世田谷の砧公園でスケートボードの練習に勤しんでいた。
オリンピックでもフィーチャーされていたように、スケートボードをやっている人々には仲間意識が強くあるようで、知らないもの同士で教え合い、仲良くなるという文化は俺たちの通っていた砧公園にも存在した。
そんな文化もあり、当時の俺たちにも新しい友達ができたことで、スケートボード=不良がやっているものという認識から誰かがマリファナを譲ってくれるのではないかという淡い期待を持っていた。だがここでもレールに沿って生きてきた俺たちは、自分からマリファナの話題を振ることもできない。
もしかすると砧公園のスケーターは、全員健全キッズだっただけかもしれないが。
週末に砧公園に通ってしばらく経ったある日、綺麗なスケートボードを持った俺たちよりも小さな、始めたてと思われる「ヨウスケ」と名乗る少年に出会った。
スケボーの少し大技でもあるキックフリップができるようになった俺たちは、先輩風を吹かせながらヨウスケに話しかけた。
「いくつ?まだ始めたて?」
「14です。昨日スケボーデビューして、今日2回目す」
ヨウスケは声変わり中の低いとも高いとも取れない声でそう答えた。
「よろしく!スケボー仲間は、タメ口でいいよ。俺も教えてやるからなんでも聞きな!」
帰宅部だった俺たちは、ここぞとばかりに2つ下のヨウスケに溢れんばかりの先輩風を吹かしていた。
ただ、ヨウスケも上達がうまく、夕方にはスケボーになるのが精一杯だったものの、深夜にはチックタックが問題なくできるようになっていた。(スケボー知らない方、ごめんね)
そして夜には、俺たちはすっかり仲良くなっていた。
「ヨウスケ、タバコ吸うの?いやでも中学生に勧めたらダメだな〜」
「タバコ吸わない。でも‥」「大麻ならあるよ。親父がグロワーしてる。」
まさか14のガキ、しかもスケボー初心者のヨウスケのポケットからマリファナが出てくることなんて1%も想像してなかった俺らは、ただでさえ咽せていたタバコで咽せ返った。
「え、え?これ動画でみたやつとちげー」
初めてみたマリファナは、すでにグラインダーで砕かれた後だった。
ヨウスケはおもむろに俺たちのタバコを取ると、丁寧に中の葉っぱをくり抜き、中にマリファナを詰めた。さすがグロワーの息子だ。
公衆トイレの裏側の草むらに移動し、簡易ジョイントで俺たちは初めてのマリファナを堪能した。
「美味い、意外と吸いやすい、でも楽しいのか‥これ?」
それが当時の感想であった。
いわゆるマンチやブリブリで楽しむことはできず、頭と目がクラクラしたことを強く覚えている。
14だったヨウスケ、1番マリファナを持っていなさそうな中学生の親父がグロワー。
世田谷区の恐ろしさをこの夜に知ったのである。
そこからも砧公園に通ったものの、俺たちはヨウスケと連絡先交換もしておらず、その先二度とヨウスケと出会えることはなかった。
あれは一体、なんだったのだろうか。
次回、18歳、ドラッグにハマるきっかけになったオランダ旅行記を書きたいと思います。
今回はちょっとパンチが弱いですが、次回からパンチ強めにしていきます。
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