連載小説【エデンへの到達】

連載小説【エデンへの到達】

芍薬椿

芍薬椿

●プロローグ

エデンの園。そこには四方に門が設けられている。喜怒哀楽、門にはそれぞれの感情を模した面をつけた門番がいた。私たちは8名、男女同数にそれぞれつがいとなり、このエデンの四方の門の前にそれぞれ立たされている。

エデンの中心には福音がある。その福音へ到達する旅路、挑戦であるが、実際ルールの説明もなければ地図もない。この次元の違うエデンの規則性さえ伝えられてはいない。この門を抜けて進んでいくべきなのか、それともここから引き返してどこかへいくべきなのかそれすらも教えられていない。

それぞれの門に立ちはだかる門番は面をつけている。語ることもなく仁王立ちでこちらを見つめている、、、そうとも限らない。なにせ面をつけているということは、本当の顔を隠しているのだから。

喜怒哀楽の門の前にはすでにそれぞれがつがいになり立たされている。相談できるのは相手のみ。

名前は知らない、どうコミュニケーションをとっていいのかもわからない。何語を話すかもわからないがとにかく相手が人間であることは確認が取れた。そして、自分達のつがいを含めて4つつがいが配置され喜怒哀楽の門という前に立たされていることも感じ取れた。

なにひとつ知らされていない中で、知るべきことが示されていることを不思議には思わなかった。性善説の中で育ったからかもしれないが、理屈を考察するほど彼らに余裕は今ない。

とにかく感じること、信じるに足るべきことを頼りに前進か後退かの選択を求められ試されている。

「愛」、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、「苦しみ」、「悩み」、「楽しみ」、そして「優しさ」。

彼らの胸にはそれぞれにそう刻まれている。

とにもかくにも男女が8名、比率は同数であることはわかっていた。

続く、、、


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芍薬椿

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