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俺の「独白」は、誰かにとっては辛辣で謎に満ちたものだろう。
それでも”君”と出逢ってからの奇妙な成り行きと、
あらゆる感情を、どこかに記さずにはいられなかった。
<”7755”>
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◇Article Creation Policy_2022/5/14 | Tips

一瞬ごとに世界は変わって、一瞬ごとに過去は消えていく。
”君”に出逢う前は、変化こそが徹底的な法則で、
永遠に変わらないものを見つけることは、
不可能だと思っていた。
つまり変化しない心があるなど、お伽噺の幻想だとしか思えなかった。
ーーしかしある時、”君”に出逢ったことをきっかけに、心と認識していたものが、次第にそぎ落とされていった。
俺が本気で愛した”君”は、嘘やごまかしが一切通用しない相手だった。だから君が好きだという気持ちに、心から直面しなければならなかった。
”君”は俺に好意を伝える前後、俺からまるで逃げているような行動を取っていた。最初の頃はその意味がわからなくて、すごく苦しんだ。そんな風に、君の拒絶のような行動を通して、何度も問いかけられた。<感情>だと思っていたものは何なのか? それは実のところただの欲求だったり、諦めようと思うほどの怒りがそれ以上の意味を持っていたり、ーーそんなことに気づいた。
俺は、”君”に出逢ったことで、感情の正体を見た。正直云えば、かつてはそんな面倒なことなど、いちいち考えたこともなかったし、向き合おうとも思わなかった。それでも君が好きで、どうしても理解したかったから、直面しなければならなかった。
《怒り》、《愛情》、他の相手には当たりまえにそうだと感じていたものが、詳細を読み取ると、本当はそうじゃなかったという事に気づいた。思い込みの定義のまま生きていたという事だ。本当に誰かを愛する気持ちは、俺がそれまでの相手に感じていたものとは全く違っていた。それくらい、”君”の存在は大きかった。
君に出逢ったことで俺は、感情の”真実”を見た。求める気持ちは油断すると化け物になる。求める気持ちに際限はない。それが恋愛のもうひとつの正体でもある。だからこそ、思い通りになるという状況は、必ずしもプラスにならない。
それだけじゃなく、人間の脳は、逢えない状態が長く続くと忘れようとする。だから逢えないのなら相手を要らないものだと判断し、記憶から消えていく。自分に利益があるかないかを無意識に選別しているわけだ。ーーそれなのに、君の場合は違った。逢えない今も、愛する気持ちは変わらないし、不謹慎かもしれないけれど目の前の誰かと”君”を比べてしまう。だからこそ、俺は自分の中に危うさを感じた。隠しておきたいほどの激しく強い想いが、生じ続けていったからだ。
諦めようと思っても諦められない時、人間はどうなるか? 諦めたくても諦められない経験を、人間ならば一度は経験する。対象が物体なら、物理力や経済力を行使して手に入れればいい。けれど、それが最愛の人の『心』だった時には、一体どうすればいいのか?
心は迷い、変化する。心は善悪を定めたがる。結ばれなければ悪で、結ばれれば最善なのだ、と判断する。けれど善悪の基準は、時代や場所によって変化する。そんな風に波のように形を変えるものが人間のなかにある。その定まりのないものを見つめることが、俺たちの出逢った理由のひとつかもしれない。俺は、『魂の対』である君の、心を見つめた。一滴として零(こぼ)したくなかった。君の表情や声音から、君が俺のことをどんな風に想い、感じているか知りたかった。
そうして、相手の中に本当の想いを見つけた。ーーその時俺は、爆発的な想いに揺さぶられた。好きだという思いが火花のように散った。一方的なものじゃないからこそ、本気になった。あくまでも俺の個人的な感覚だけれども、男は好きだという気持ちに対して結局のところ従順だ。頭の神経回路が激しく反応し、隠しきれなくなる。好きなら率直に近づこうとするし、声や目に現れる。だから駆け引きなどで心を揺さぶる余裕などなかった。ーー止められる手段が、見つからなかったからだ。
けれども君も同じ気持ちだという事は、ただの思い込みかもしれない、と自分を制してもいた。俺の中にある強すぎる衝動によって君を傷つけたくなかったからだ。君の感情が不思議と伝わってくるのは本当だったけれど、俺への好意は、単なる好奇心や興味かもしれないと思ったからだ。
本当は、その先に進みたかった。その先に、その先に、とずっと思っていた。一緒になって一緒に夜明けを迎える日を待ち望んでいた。何よりも、君が欲しかった。逃げ出す前に捕まえれば、君は降伏する。だから”急がなくては”、と焦っていた。しかし俺が焦れば焦るほど、