同じような人でいて、またはそれっぽく飾り立てられていて、
自分が心から求めているものとは、
まったく別のものだった。
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◇Article Creation Policy_2022/5/14 | Tips
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俺と君とが、
初めて出逢ったあの季節の海では、
波が逆さにうねって、ビー玉みたいな雫を、いくつも砂に散りばめていた。
夏の始まりだったけれど、風が強い日で、
街路樹からもがれた葉が、そこら中に舞い散っていた。
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そのときの俺は、新規の仕事に没頭していたから、
オフィスが騒然としていることにも、気づかないほどだった。
その間君は、あのガラス張りのオフィスに近づいていたんだろう。
そして午後になるとすぐ、
海を吸いあげた雲の下で、1階ゲートのインターフォンを鳴らした。
奇跡をぶちぬく恋についてなど、
俺は、何も知らなかった。
だから誰かが出迎えに行ったのを一瞬見ただけで、
ふたたび眼の前の仕事に、意識を集中させた。
実を云うと、
それより以前のある夏の朝に、
予兆のような、不思議なことが起きていた。
その夏には、だれかに語りたくないような、奇妙な出来事だらけで、
だからまだ、
どこにも記していない。
それは、君とは違う、運命的な繋がりを持つ相手と出逢っていた時期でもあった。
あまり書いたことがなかったけれど、
俺はその相手に関して、
不可解な引っ掛かりを感じていた。
そして、君に出逢ってわかったのは、
あれは君へ向けられるものとは、違う感触のものだったという事。
君への感情は、”君”へしか向けられないものだ。
そしてそれは、事実、非常に特殊なことでもある。
これから先、
ほかに説明のつかないリレーションを感じる相手が現れたとしても、
君へ抱く感覚は、
”君”へのものでしかない。
ただ敢えてここで書くけれど、
その人とは、それまで出逢った人間たちとは違う、
一風変わった感覚を抱いたのも事実だ。
なぜかというと、わざわざ誰かに語ったことのない自分特有の考え方や、
信念なんかが、
訝(いぶか)しいくらいに一致していたからだ。
ー-では、その人は自分にとって、一体何だったのか?
正直、困惑の中でその人と関わっていたけれど、
そんな風に一風変わったリレーションを感じながらも、
俺はその相手へ、