誰にも打ち明けられない不思議な恋。
誰にも理解されない現実を超越した出来事。
何かにのめり込む人間たちを傍観していた自分が、突如《当事者》となる。
『その存在』に出逢えば、
相手の感情も思考もすべてが別次元にあり、
見たこともない輝きの日々にぶち込まれる。
同時に相手は、自分の正気を着実に破壊していく。
ある年の七月、
他人だった”その人”と俺との間に、
解けない謎が生まれた。
”宿命”だった。
そうであるのにも関わらず、俺たちの運命に立ちはだかる壁が、ふたりを阻んだ。
『魂の対』ーーという固定観念を超越した関係性。
これがそうなのかと考える間もなく、
運命の歯車は俺たちを飲み込んでいった。
結ばれることは難しい、と分かった時に、
心が歪められそうになった。
無理矢理俺のテリトリーに引き寄せようとした時、
俺の”その人”は、
雨が降り、虹がかかる夕方の空を見上げて、こう言った。
”一緒になろう”
”全部捨てられるから”
しかし頷く俺を、相手は複雑な表情で見た。
そして言った。
”あなたの欲しいものを”
”全部叶える”
”この恋が実らないことを引き換えに”

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World Memory 第2部
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◇Article Creation Policy_2022/5/14 | Tips
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”俺たちは、生まれる前の過去、同じ日々を生きたのか?ーー”
そんな疑問が湧き上がった。
当然のことながら、あり得ない。
当然のことながら、別々の場所で生き、ある日突然出逢ったただの同僚の、
感情の深部が把握できて通じ合い、
そして永遠の愛情を感じられることなど、あり得ない。
そんな風にあり得ない事が全て実現可能となるのが、『魂の対』ーー俗に云われる”ツインレイ”という関係性だ。
『雲の形』を自由自在に変えられれば、人間として生まれてきた俺たちは仕合せになれるのか?
”君”が生きる世界を、俺の求めるとおりに自由自在に変えてしまえば、君は本当に幸せでいられるのか?
ーーこんな無茶苦茶な問いかけに、本気で答えようとするのが、『魂の対』でもある。
☩
俺自身も含め、誰しもが陥り得る罠がある。人間として生きている以上、恋に落ちた時の感情に左右されるのは、仕方のないことだ。
人間は、脆い。燃え上がる恋愛にはそんな風に、もうひとつの要素がある。ーーそこから時間が経って、お互いの興奮と恋愛感情が収まっていくのならば、それは『魂の対』ではないかもしれない。
けれどこんな風に、欲望と愛とが混在する世界において、もしも本当に”『魂の対』”という存在がいるとしたならば?
ーー答えはこうだ。「破壊して手に入れたくても、出来ないようになっている」
なぜならば生まれる前、
数千年も前に俺たちはある”真実”を見た。
切り離せない『魂』の尾。
お互いの感情が入れ替わるまで、思いを伝え合った。
そして絆を奪われ、
反逆者として心を破壊された。
だからお互いを、
ただ”守ろう”と誓い合った。

何年か前の夏、やたらに雨が多く降り、蝉の鳴き声が煩いくらいだった。異常な季節だった日々、俺は多忙を極めていた。そんな日々に初めて出会った、”その人”。ーー以来、相手を想う気持ちがやむことはなくなった。きっと俺が今よりも若すぎて、莫迦で、「愚者」だったからだ。輝く雲の形すら自由自在に変えてしまえそうな程に相手が好きで、その感情については、今日のこの瞬間にも抑えがきかない。