夜逃げ直前マニュアル|逃げる前にやったこと、その後
Wakaba
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借金の催促でもうどうしようもなくなっている人へ。
この文章は、多重債務に陥って夜逃げすることになった実体験を書いている。過去に苦しんでいた自分にこれを渡して読ませたい。あの頃の自分が知りたかったことを詰め込んだ。
当時の状況を理解するうえで前提となるのは、健康状態と就労環境の変化である。当時は大手企業に勤めて安定した生活を送っていたいた。
しかし、うつ病を患い退職した。まさか、その後の人生が大きく変わるとは考えてもいなかった。仕事を失ったことで収入は途絶え、生活は一気に不安定になった。
初めは傷病手当金で生活をつないでいたが、受給期間の終了とともにそれも途切れ、状況はさらに厳しくなっていった。そこから先は、支払いを維持すること自体が難しくなっていった。
借金の合計額は1000万円超えていた。クレカ4社、消費者金融3社。
細々した割賦や後払いも積み重なっていた。他にも奨学金や個人間融資もあった。家賃、光熱費も何ヶ月も滞納していた。
このとき、自己破産をするという選択もあった。法テラスに相談して弁護士を委任することになったが、体調が悪化し、もう自己破産手続きをする気力すらなかった。
自己破産は制度としては存在するが、誰でも気軽にできるものではない。
弁護士とのやり取り、法テラスの費用、そして何より長期間の手続きに耐えうる「体力」と「気力」が必要になる。
精神的に再起不能な状態にある者にとって、自己破産は決して簡単な逃げ道ではない。
だが、債権者は待ってくれない。毎日電話が鳴り止まず催促に怯え日々。完全に返済不能の状況でもうどうにもならない。
死ぬか生きるか。
究極の選択で自分がとった行動は、「夜逃げ」だった。
金が尽きてくると思考もうまく回らなくなる。バカなことを考えてしまう。酒に溺れ、自暴自棄にもなった。
もう失うものはもう何もないと感じていた。このまま飛び降りてしまおうか、周囲を巻き込んで自爆してしまおうか、闇バイトをするか、そんな危険な考えにまで行き着いていた。
テロを起こしたり、闇バイトに走ってしまう人の気持ちもわからなくない。人間は、追い詰められると道理を無視して極端な行動に出る。振り返れば、かなり危ない場所に立っていたと思う。
そのときはそれが危険だとすら分からない。追い詰められるというのは、そういう状態になる。
「夜逃げ」という言葉は、重く聞こえる。犯罪者のような響きがあるし、卑怯な選択のようにも思える。
最初は強い抵抗があった。逃げたら終わり、すべてを失う、人生が完全に壊れる。そんなイメージしか浮かばなかった。
本当に限界まで追い詰められたとき、その「逃げる」という選択肢だけが、なぜか頭から離れなくなった。
死んでしまえばすべてが終わるのかもしれない。だが、死んだところで、何一つ解決しない。債権者からしても、死なれたところで一円にもならない。何の償いにもならない。
だったら、急遽の選択だとしても、夜逃げして生き延びるほうを選んでもいいんじゃないか。
全部を投げ出してでも、とにかくこの状況から離れる。そんな考えが少しずつ現実味を帯びていった。
逃げることは、罪なのか。
本当にそうなのか。
追い詰められた末に、生きるために逃げることまで否定されたら、人はどこへ行けばいいのだろう。
最終的に選んだのは、夜逃げして生き延びるほうだった。すべてを放り出してでも、明日を迎える選択だった。
もしあのとき逃げていなければ、自暴自棄になり一生刑務所に入っていたか、精神的に耐えきれず、この世を去っていた可能性は高い。今だからこそ、そう断言できる。
この文章は、「逃げろ」とすすめるためのものではない。
ただ、限界まで追い詰められたときに、「こういう選択肢もある」と知っているだけで、気持ちが少し楽になることがある。それで救われる命があるかもしれない。そう思い、自分の体験を書くことを決めた。
ここから先に書くのは、逃げると決めたあとに何を考え、何を準備し、そして何を後悔したのかという、かなり生々しい話になる。
逃げるとは、ただ姿を消すことではない。決めた瞬間から、その後の人生を左右する時間が始まる。
【目次】
①夜逃げ前の生活
②準備と厳選した物
③情報収集
④事前の手続き関係
⑤どう痕跡を消したか
⑥夜逃げ後に後悔したこと
⑦夜逃げ後の生活
⑧食料の確保
⑨本格的なホームレス生活
⑩駆け込み寺
⑪長きにわたる逃亡生活を終えて
