AIの答えが「それっぽいだけ」で終わる人へ|仕事で使える「指示の型」をまとめました
西脇達也|2店舗経営|AI活用集客
こんにちは、西脇です。普段は2店舗を経営しながら、店舗集客の自動化をして、3年以内に10店舗を目標に活動しつつ、AIの活用サポートや、AIを使った自動集客の仕組みづくり、AIに関するセミナーを行っています。
毎日のようにAIへ仕事を振っているなかで、いちばん多く相談されるのが「AIに任せても、なんだか『それっぽいだけ』の薄い答えしか返ってこない」という悩みです。気持ち、すごく分かります。僕も最初はまったく同じでした。
でも、これはAIの性能の問題ではありません。ほんの少し「頼み方」を変えるだけで、返ってくる答えの濃さは大きく変わります。この記事では、僕が実際に毎日使っていて、何度も試して『これは効く』と確かめた指示の型を、コピペできる形でそのまま公開します。無料ですが、出し惜しみはしません。読み終わるころには、今日からAIの返事が変わるはずです。
そもそも、なぜAIの答えは薄くなるのか
先に結論から言います。悪いのはAIではなく、「前提を渡していないこと」です。
AIは、こちらが伝えていない情報を、いちばん無難で平均的な内容で勝手に補って答えます。たとえば「集客の方法を教えて」とだけ聞くと、相手が飲食店なのか教室なのか、オンラインなのか対面なのかが分からないので、AIはどんな業種にも当てはまる『最大公約数の答え』を返すしかありません。それが、あの教科書みたいな一般論の正体です。
逆に言えば、前提さえきちんと渡せば、答えは一気に具体的になります。しかも難しいことは何もありません。『何を伝えれば前提が揃うのか』さえ知っていれば、誰が頼んでも結果は安定します。その『何を伝えるか』を、これから5つに分けて説明します。
使える指示は、5つのパーツでできている
僕がたどり着いたのは、指示を次の5つに分けて書くという形です。上から順に埋めるだけで、伝え忘れがなくなります。
- 役割:AIに『あなたは何者か』を渡します。『プロのコピーライターとして』『経験豊富な経理担当として』のように立場を与えると、その視点で考えてくれます
- 背景・前提:誰が・どんな状況で・何に困っているか。ここが答えの濃さを決める一番のポイントです。面倒でも、ここを丁寧に書くほど結果が変わります
- ゴール:何を・いくつ作るか。そして『読み手がどうなったら成功か』まで書きます。ゴールが曖昧だと、AIも的を外します
- 出力の形式:箇条書き・表・メール文など、欲しい形を先に指定します。これだけで、あとから整え直す手間が消えます
- 条件・禁止:やること/やらないこと。『あおらない』『専門用語を使わない』など、避けてほしいことを明示すると、トーンが安定します
たとえば『体験に来たお客さんへのお礼の文章を考えて』だけだと、当たり障りのない定型文が返ってきます。でも『あなたは小さな教室の集客を手伝ってきた人で、相手は入会を迷っている体験者、目的はもう一度来たいと思ってもらうこと、あおらずに』と前提を足すと、同じAIでも文章の芯がまるで変わります。実際にどう変わるのか、このあと本物の出力でお見せします。
そのままコピペできる、マスターテンプレート
まずは型そのものです。〔 〕の中を自分の状況に書き換えるだけで使えます。最初は全部埋めなくても大丈夫。慣れてきたら、その日の用途に合わせて削ったり足したりしてください。
# 役割
あなたは〔どんな専門家か〕です。〔どんな経験・得意なこと〕があります。
# 背景・前提
・〔誰が・どんな状況で〕読む/使うのか
・〔今わかっていること、制約になっていること〕
# やってほしいこと(ゴール)
〔成果物〕を〔いくつ〕作ってください。
最終的に〔読み手〕が〔どうなる〕状態がゴールです。
# 出力の形式
〔箇条書き / 表 / メール文 / 見出し付き など〕で出してください。
# 条件・禁止
・やること:〔 〕
・やらないこと:〔あおらない / 専門用語を避ける など〕
# 仕上げ
最後に、この回答の弱いところを3つ自己採点して、改善案も添えてください。最後の『仕上げ』の一文が、地味ですがかなり効きます。AIに自分の答えを採点させると、一発目では出てこなかった改善案まで自分で出してくれることが多いんです。たった一行足すだけで、質がもう一段上がります。
本当に動くのか、実際に入れてみました(その1・フォロー文)
『型は分かったけど、本当にいい文章が出るの?』と思いますよね。なので、この記事のために実際にAIへ入れて、出てきた結果をそのまま載せます。お題は『無料体験に来てくれたけど、まだ申し込んでいない人へのフォロー文を3案』。条件は『あおらない・割引で釣らない・専門用語なし』にしました。実際に入れたのが、次のプロンプトです。
# 役割
あなたは、小さな教室やサービス業の集客を支援してきたコピーライターです。
売り込みすぎず、相手の気持ちに寄り添う文章が得意です。
# 背景・前提
・無料体験に来てくれたが、まだ申し込みをしていない人へ送るフォロー文を作りたい
・相手は迷っている段階。しつこくされるのは嫌がる
・送り主は、個人で運営している小規模な事業者
# やってほしいこと(ゴール)
体験後のフォロー文を3案、それぞれ違う切り口で作ってください。
読んだ人が「もう一度行ってみようかな」と自然に思える状態がゴールです。
# 出力の形式
各案に「狙い」を一言そえてから、本文(150〜250字)を続けてください。
# 条件・禁止
・やること:相手の不安にそっと触れる/最初の一歩を軽くする
・やらないこと:あおらない/割引で釣るだけにしない/専門用語を使わない
# 仕上げ
最後に、3案のうち一番反応が取れそうなものと、その理由を一言で。そして、実際に返ってきた3案のうちの1つが、これです(出力をそのまま引用します)。
【狙い】入会のプレッシャーを取り除き、最初の一歩を軽くする 先日は体験にお越しいただき、ありがとうございました。もし『また来てみようかな』と思ったとき、入会を決める必要はありません。まず来てみる、それだけで大丈夫です。『2回目はどんな感じかな』と少しでも気になったら、気軽にご連絡ください。お待ちしています。実際にAIが出力した文章(3案のうちの1案)
いかがでしょうか。少なくとも『教科書みたいな一般論』ではなく、迷っている人の気持ちに寄り添った文章になっています。ここで大事なのは、これをそのまま送らないこと。最後は必ず自分の言葉に直します。AIが出すのは『完成品』ではなく『良いたたき台』です。でも、白紙から考えるのと、たたき台があるのとでは、かかる時間も、向き合うときの気持ちの軽さも、まるで違います。
実際に入れてみました(その2・打ち合わせメモの整理)
文章づくり以外でも同じです。たとえば、走り書きの打ち合わせメモ。あとで見返すと『で、結局何をやるんだっけ?』となりがちですよね。これも型に当てはめると、すぐに整った行動リストに変わります。ポイントは『メモにない情報は推測で補わない』と条件に入れること。AIが勝手に話を盛るのを防げます。
# 役割
あなたは、打ち合わせの内容を整理して次の行動に変えるのが得意なアシスタントです。
# 背景
これから打ち合わせのメモを貼ります。要点が埋もれていて、何をやればいいか分かりにくい状態です。
# やってほしいこと
次の3つに整理してください。
1. 決まったこと(決定事項)
2. 保留・未決のこと
3. 誰が・いつまでに・何をするか(ToDo)
# 出力の形式
見出しごとに箇条書き。ToDoは「担当 / 期限 / 内容」で。
# 条件・禁止
・メモにない情報は推測で補わない/不明な点は「要確認」と明記する
--- メモ ---
〔ここに走り書きのメモを貼る〕実際に、ふわっとした打ち合わせメモを入れたら、こう返ってきました(一部を引用します)。
【決まったこと】来月のキャンペーンを実施する/SNSで告知する/料金は据え置き 【保留・未決】チラシを作るか(検討中)/問い合わせ増加への対応体制(具体策は未決) 【ToDo】担当:自分(要確認)/期限:来月初め(具体日は要確認)/内容:SNS告知の準備・実施実際にAIが出力した整理結果(一部)
注目してほしいのは、メモに書いていなかった担当者名や期限を、AIが勝手に作らずに『要確認』と正直に残しているところです。これは『推測で補わない』と一行入れた効果。AIに任せるときに地味に大事な、安心して使うためのコツです。
もう一段うまく使うための、3つのコツ
- 一発で完璧を狙わない。返ってきた答えに『ここをもっと優しく』『半分の長さで』と注文をつけて、会話で育てるほうが結局は早いです。最初の答えは『たたき台』だと割り切る
- 前提は出し惜しみしない。相手の年代、送る媒体(メールかメッセージか)、避けたい言葉まで足すほど、答えは具体的になります。面倒に感じる部分こそ、効く部分です
- AIに採点させる。『この回答の弱いところを3つ挙げて、直して』と頼むと、自分では気づけなかった改善点が出てきます。第三者の目を、無料で何度でも借りられるイメージです
実は『壁打ち相手』としても優秀です
AIは文章づくりだけでなく、自分の考えを整理する相手としても使えます。コツは、役割を『おだてずに、率直にダメ出ししてくれる相談相手』に設定すること。ほめてほしいわけじゃなくて、抜けを見つけたいときに効きます。これも実際に試したら、驚くほど具体的な指摘が返ってきました。
# 役割
あなたは、おだてずに率直なダメ出しをしてくれる、現実的な相談相手です。
# 背景
これから〔やろうとしている企画〕を始めようと思っています。
# やってほしいこと
1. この企画の良い点を2つ
2. 失敗しそうな点・抜けている視点を3つ
3. 私が次に考えるべき「問い」を3つ
# 条件
・遠慮しない/一般論で終わらせない/できるだけ具体的に
・最後に「まず最初にやるべき小さな一歩」を1つだけ提案するこのテンプレで企画を相談したとき、いちばん刺さったのは『最初の5人は誰に来てもらうのか、その人に今すぐ声をかけられるか?』という問いでした。耳が痛いですが、こういう自分では避けていた視点をまっすぐ突いてくれるのが、壁打ち相手としてのAIの強みです。
やりがちな、3つの失敗
- 丸投げする:前提ゼロで『考えて』と投げる。これが薄い答えの最大の原因です。一行でいいので、相手と目的を添えるだけで変わります
- 盛り込みすぎる:条件を詰め込みすぎて、指示同士が矛盾する。欲張りたくなりますが、多いときは『一番大事な条件を3つ』に絞ると、かえって精度が上がります
- 一発で諦める:最初の答えが微妙でも、それは『たたき台』。『もっとこうして』と2〜3往復すれば化けます。あきらめるのが一番もったいない
まとめ
AIは、賢い部下というより『優秀だけど、まだ空気が読めない新人』みたいなものだと僕は思っています。前提を渡し、役割を与え、注文をつけて育てる。その手間さえかければ、驚くほど働いてくれます。逆に、その手間を惜しんで丸投げすると、いつまでも『それっぽいだけ』の答えしか返ってきません。
ここまで頑張る理由は、シンプルです。AIに任せられることを任せて、自分にしかできないことに時間を戻すため。楽をするのはサボることではなく、本当に向き合うべきことに時間を返すための戦略だと思っています。
AIにうまく頼めるかどうかは、才能ではなく『型』を知っているかどうか。型は、今日から真似できます。西脇達也
まずはこの記事の型を一つ、今日の仕事で試してみてください。それだけで、返ってくる答えの濃さが変わるはずです。
なお、ここで紹介した型に加えて、問い合わせ返信・SNS投稿・お客さんの声の分析・考えの言語化など、業務別にそのまま使える検証済みのテンプレを一つにまとめた完全版も用意しました。もっと深く使い倒したい方は、そちらものぞいてみてください。
これからも、現場で実際に効いたAIの使い方を、できるだけ正直に書いていきます。日々の短い気づきはThreadsやInstagram(@tatsuya.nishiwaki_)でも発信しているので、よかったらのぞいてみてください。最後まで読んでいただいて、感謝しかないです。
