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連載小説【エウロぺ艦隊の凱旋】

連載小説【エウロぺ艦隊の凱旋】

メドゥーサとペルセウスの戦いはかなりこじれた。

メドゥーサは女であることに逃げずに戦いを尽くしたことを、ペルセウスが温情として殺さなかったことを知ったメドゥーサが自らの首を切り落としたことがことの真相であったが、それを公にしてはペルセウスの顔が立たないからと、国王陛下が情報を捏造した。帝国軍はそれらの報告を受けていたが、直々に受け取った総司令官は恭しく勅令を神棚に奉ることもなく、さっさとゴミ箱に捨ててしまったらしい。どこでその情報が漏れ出てしまうかという不安は払拭できないわけだが、今それよりも大きな話題となっているのが、この総司令官が大艦隊を変遷し、しかも本人が直々に大隊長を務めるという話だった。おかしな話だった。まず彼はすでに総司令官という最大の役職に就いている。大隊長は階級から言ったらあきらかに下級である。

しかもその大艦隊には先の戦で戦利品として受け取った、敵国の姫の名前が冠されている。

「女の名前を艦隊に冠すると負けないという俗説があるだろう。その程度のことなんじゃないか」

呑気だと私は口をつぐんだ。必要のない会話は情報漏洩になりかねない。私は寡黙なのではなく、話すことをひとつひとつ選ぶ思慮深さを旨としているのだ。

この姫というのがまた曰く付きで、戦利品として受け取り、国王陛下の側室に収まった。美しさであれば誰もが欲する女だった。しかし国王陛下は急逝した。直後第二王子が王位を継承した。第一皇子は地位にも名誉にも見向きもしないタイプだったからだと呑気な同僚がみかんを剥きながら話を合わせてくる。

そんなはずはない。第一皇子といえば、王位継承一位に甘んずることなく、先の国王陛下に武功を献上するために真面目に軍事演習に取り組んでおられた。俺はこの目で見ている。確かにあの真剣な目は、貴族のそれではなかった。それほどまでに、自分の身が危ういことを感じていたとも捉えられるかもしれない。

他方、第二皇子も政治面でのアピールを欠かすことはなかった。体が生まれつき弱いという噂は昔から囁かれていた。青白く長い手足とまつ毛の長い大きな瞳がまるで男娼のようだと男からは忌み嫌われるほどの美男子だった。その点では国王陛下にたいそう嫌われた方でもある。

さて、国王陛下の側室なるその姫君が陛下の死後、どこに収まったかといえば、第一皇子の妃となった。側室ではなく正室として迎えられた。

姫君の名前はエウロぺ。

帝国総司令官の名はペルセウス。

第一皇子の名前はグライアイ=ダイダロス

第二皇子の名前はパラス・アテナ=マルス

◉総司令官の噂


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この記事のライター

JERUSALEM's

1997年4月、13歳の春は真っ青な空の如く今も僕達の心を悲しみで塗りつぶしている。赤く燃え上がる気持ちを見逃してしまったことが痛みとなってボクたちを西へと向かわせた。この街にたどり着いて早10年。この街を大王の都、エルサレムに喩えた理由を小説にしていく。

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