雌馬とグリフォンの雄

雌馬とグリフォンの雄

JERUSALEM's

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男は4分類することができる。

1、女の目を引く魔性の男

2、人生に絶望しているのに求められる男

3、頭脳戦で勝利を収めるサイコパスな利益主義な男

4、無知で血をたぎらせる若い男

どこの集団にもこの4分類のどれかに該当するモテる男がいると思う。こいつらは皆グリフォンの末裔だ。

グリフォンはその昔神々の車を引く栄誉ある役職についていた。上半身は鷹であり下半身はライオンだったから末裔たちもまた男をたぎらせる美しく求められる男としてこの世に生まれ落ちた。力強さは端々から香り匂いたち、女たちは理由もなく奴らに目と心を奪われていく。奴らは男から見たらとても狡猾で自慢げで自信満々で鼻につく類に見える。女を欲することもなく嘘くさく無頓着に装っている、そんなふうに自分たちをバカにしているように見えるのだ。

グリフォンの末裔たちは宿命を背負って生まれてきた。

それはかつての戦において敵であった馬の末裔の女たちを犯し、グリフォンの子を孕ませ復讐することだった。

雌馬を探すために彼らにはありとあらゆる情報がDNAに書き連ねられている。その嗅覚と視覚を用いて彼らは馬の末裔の女を探り当てる。運命であるけれど幸せではない、それがグリフォンと馬の末裔の恋愛だ。

はじまる恋愛には大多数の反対を伴う。

結婚式に祝福の涙はない。

ここに今世紀最大の不幸を書き記そう、

4分類のグリフォンの末裔がひとりの雌馬を同時に見つけてしまった不幸な恋愛について。

雌馬の名前はアルテミス

グリフォンの名前は4分類から、

1、オリオン

2、ヘラクレス

3、ケフェウス

4、ペルセウス

狩りを得意としたものも多い。その血は今女を虜にする血液の成分として4人の体を日々巡っている。

他方アルテミスは4方向からの攻撃に対して身を崩す日々を送っていた。4人は恋をしているつもりでいた。そのDNAに組み込まれた使命がアルテミスを犯し孕ませ復讐することとも知らずに、純粋な愛に基づきアルテミスを求めていると正当性を自らに主張していた。

アルテミスが月経の度にすべてを崩すのは女になる準備期間だからだ。また新たな日々が始まる。自分の卵子を狙うグリフォンの末裔からの攻撃を無意識にも過去の記憶から体が警告を受けるのだ。

さて、ここでひとつ疑問があるだろう。

牡馬はどこにいるのか。末裔はいないのか。

先の戦で牡馬たちは滅び去った。同じように先の戦で雌のグリフォンたちは滅び去った。DNAに禍根を残すような死に方はしなかったのだ。

…つまり、牡馬たちとグリフォンの雌たちが恋をして駆け落ちをし幸せな日々を送ったことにより、残された雌馬とグリフォンの雄たちは正当な交配ができない事態になってしまったのだ。

雄のグリフォンは雌馬への復讐を誓った。雌馬たちはただその身を神のしもべとなり奉仕に生涯をささげた。

異常なモテを発揮するすべての男はグリフォンの末裔であり、異常なモテを発揮する女はすべて雌馬である意味がお分かりいただけたと思う。

この世の悲しい恋愛はすべて雄のグリフォンと雌馬たちが織り成す負の遺産なのである。

重ねて言うが、

ここに記すアルテミスと以下4匹のグリフォンの末裔たちの悲恋はその中でもとりわけ痛みを伴う骨肉あらわとなる話である。


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この記事のライター

JERUSALEM's

1997年4月、13歳の春は真っ青な空の如く今も僕達の心を悲しみで塗りつぶしている。赤く燃え上がる気持ちを見逃してしまったことが痛みとなってボクたちを西へと向かわせた。この街にたどり着いて早10年。この街を大王の都、エルサレムに喩えた理由を小説にしていく。

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