🔶R07_Ⅱ-2-2|過去問題
山岳トンネル建設に伴い発生する掘削ずり(礫質土、約50万m2)を坑口から約10km離れた山間部の谷地形(標高差100m、延長約500mに亘る傾斜地盤、特定盛土等規制区域)の土捨場に運搬して盛土することになった。当初の設計では、防災上の観点から降雨、湧水、沢水、地震動等の作用に対する盛土の安定性が確保されている。なお、掘削ずりからは自然由来の重金属等の有害物質は検出されていない。
(1)施工に当たり礫質土の実際の性状を踏まえて盛土の安定性を再検討したところ、盛土が所要のすべり安全率を確保できないことが判明した。盛士の安定性を確保するための対策を2つ挙げ、その概要を述べよ。また、本工事の特性を踏まえ、それぞれの対策を採用するに当たっての条件を述べよ。
(2)施工中の盛土の安定性を確保するための管理において、PDCAサイクルにおける計画段階(P)で考慮すべき事項を挙げ、計画実施後の検証段階(C)及び是正段階(A)でのそれぞれの具体的方策を述べよ。なお、是正段階(A)の解答に当たっては、検証段階(C)にて得られた結果が、当初の計画段階(P)の想定から逸脱していたことを前提とすること。
(3)掘削ずり運搬経路周辺の一部住民から複数の苦情が寄せられた。苦情内容を複数想定し、地元の理解と工事の推進を両立させるための対策案を苦情内容毎に立案したうえで、具体的にどのようにその利害を調整するか説明せよ。なお、掘削ずり運搬経路は変更できないものとする。
「日本技術士会」HP
🔶R07_Ⅱ-2-2|骨子例
1.盛土安定性確保対策の概要及び採用の条件
1)段切り工法による盛土構造の改良
・段切りによるせん断抵抗力の増大と間隙水圧抑制
・掘削ずりの品質確保と段階施工による工程管理
2)補強材を用いた盛土補強工法
・ジオテキスタイル敷設による盛土一体性の確保
・摩擦特性と耐久性を考慮した設計・施工管理
2.PDCAサイクルでの考慮事項及び具体的方策
①計画段階(P)で考慮すべき事項
・計測器設置と管理基準値設定による監視体制構築
・段階施工と品質管理における詳細手順の明文化
②検証段階(C)での具体的方策
・リアルタイム監視による管理基準値との比較検証
・変位量と間隙水圧の経時変化による傾向分析
③是正段階(A)での具体的方策
・管理基準値超過時の即座対応と緊急対策実施
・すべり破壊懸念時の荷重軽減と抜本的対策
3.苦情内容及びその利害調整方策
a)大型車両通行による騒音・振動被害への対応
・走行制限と防音対策による騒音・振動抑制
・住民説明会と苦情対応窓口による情報共有体制
b)粉塵飛散による生活環境への影響対策
・防塵シートと散水清掃による飛散防止対策
・補償制度と大気環境監視による住民配慮
c)交通渋滞及び生活道路への影響対策
・GPS管理と交通誘導による安全な運搬ルート確保
・地域協議と地域貢献による住民との協調関係構築