ナルコレプシー(Narcolepsy)―「眠り」に支配される生活と心の葛藤

寄り添わない心理カウンセラー【Y】:代表
こんにちは🍵
「ただの居眠り」と決めつける人には寄り添わない心理カウンセラー【Y】です
目が覚めているはずなのに、まぶたが勝手に落ちてくる 集中していたはずなのに、気がついたら夢の中にいる それは単なる「疲れ」ではなく、自分ではどうすることもできない強烈な眠気が突然やってくる これが、ナルコレプシーという神経疾患の世界だ
日中の活動中、会話の途中、食事の最中、あるいは歩いている最中にさえ、突然深い眠気に襲われ、意識が途切れる そのような症状は、本人だけでなく、周囲にとっても理解しがたいものだ だが、それは怠惰でも、努力不足でもない 脳の覚醒と睡眠を司るシステムに異常が生じている、れっきとした神経疾患である
ナルコレプシーの背景にある神経学的メカニズム
ナルコレプシーの多くは、脳内の「ヒポクレチン(別名:オレキシン)」という神経伝達物質の欠乏によって引き起こされる この物質は、脳の覚醒状態を維持する働きをしており、これが不足すると、覚醒と睡眠の切り替えがスムーズに行えなくなる
通常、睡眠は「ノンレム睡眠(深い眠り)」から始まり、その後「レム睡眠(夢を見る浅い眠り)」へと移行していく だが、ナルコレプシーではこの流れが狂っており、入眠後すぐにレム睡眠に突入してしまう まるで、現実の延長に夢が滑り込んでくるような体験が、相談者の中で頻繁に起こる
一般的に見られる症状とその苦しさ
最も顕著な症状は「日中の過度な眠気」だ この眠気は、「少し眠い」といった生理的な感覚を超えて、圧倒的な力で相談者を飲み込む 周囲にとっては「ただの居眠り」に見えても、本人には抗うことができない現象であり、意識を保つことさえ困難になる
心理カウンセリングの現場では、こうした体験を言語化することがしばしばある 「気づいたら寝ていた」「全く覚えていない」「まぶたが重くてどうしようもなかった」など、相談者はその強烈な眠気に対し、恐怖や恥ずかしさ、無力感を抱えている
また、情動が引き金となって身体の力が抜ける「情動脱力発作(カタプレキシー)」は、笑ったときや驚いたとき、怒ったときなどに起こる これは一時的に筋肉の力が抜けてしまい、倒れ込んでしまう場合もあるため、外見上は「気絶したように」見える だが、意識は保たれているため、そのギャップが相談者にとっては非常に苦しい経験となる
特殊な症状と、誤解からくる二次的なストレス
ナルコレプシーは、症状そのものが誤解されやすい 入眠時や覚醒時に見られる幻覚や金縛りのような体験は、時に「精神的におかしいのではないか」と思われることがある 相談者自身も、自分に何が起きているのか分からず、不安と混乱に包まれる
たとえば、入眠時幻覚は、まるで現実と夢が溶け合ったような感覚であり、目を開けているのに誰かが部屋にいるように感じたり、幻の声が聞こえたりする これはレム睡眠に即座に突入してしまうナルコレプシー特有の現象であり、心理的な問題とは直接的には結びつかない それでも、その体験の衝撃は強く、「自分は異常なのではないか」という自己否定感に繋がってしまうこともある
社会的にも、遅刻・居眠り・仕事中の集中力欠如などを「やる気のなさ」と受け取られてしまい、周囲との関係性が悪化し、孤立を深めるケースがある 結果として、うつ症状や自己評価の低下が二次的に現れることも少なくない
心理カウンセラーが支える「理解」と「共感」のプロセス
ナルコレプシーは、薬物療法を中心とした医学的なアプローチが基本となる だが、心理カウンセリングはその心理的サポートとして重要な役割を担う 心理カウンセラーの立場からできることは、相談者が自分の症状を深く理解し、それと向き合いながら「どう生きていくか」を一緒に考えていくプロセスに寄り添うことだ
相談者の多くは、「怠けていると思われた」「何度も注意されてつらかった」「もう頑張れない」といった言葉を口にする そうした語りを丁寧に受けとめることが、まず第一歩になる
心理カウンセリングの中では、症状の背景にある脳の働きや神経の構造について説明を行い、本人が「自分のせいではない」と理解していく支援が重要になる また、家族や職場の人々に対しても、正しい情報を伝えることで、支援の輪を広げていく働きかけも求められる
必要であれば、生活リズムの工夫や、昼寝のタイミング、仕事のスタイルの調整など、具体的な日常生活のアドバイスを含めたサポートを行っていく
最後に ―「異常」ではなく、「特性」として捉えること
ナルコレプシーは確かに困難の多い疾患ではあるが、それは「異常」ではなく、「脳の特性」として捉えることができる そのためには、相談者自身がまず自分の症状を受け入れ、それを他者に伝えられる言葉を獲得していくことが大切になる
心理カウンセラーは、その過程をともに歩む伴走者として、知識と共感をもって支えていく必要がある 「なぜ自分はこうなんだろう」「どうして分かってもらえないんだろう」――その問いに、少しずつ答えが見えてくるように 心理カウンセリングは、相談者の人生における「安心して立ち止まれる場所」であり、「再び歩き出すための準備をする場所」だ
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