僕のじいちゃんの話 ~戦争が終わった~

kiyo

 戦争が終わり、じいちゃんは日本に帰って来た。

 焼け野原になって何もかもがなくなった故郷に戻り、露店商を始めたんだ。食料品が簡単に手に入らない状態だったから、遠くまで荷車を引いて仕入れに行っていたらしい。コツコツ貯金して店を構えられるようになった。それが、僕の実家になっている。じいちゃんの後、僕の父さんが引き継いだんだ。

 この話を聞くまで、じいちゃんが苦労してきたなんて気付かなかったよ。いつも優しくて、オットリしていたからね。

 今でもじいちゃんのイメージといえばタバコを吸い、昼食後は椅子に座って眠り、夕方になるとコーヒーを飲み、また眠る。後は飼っていた『チコ』と言う名の猫にエサをあげている姿だ。

 じいちゃんは数え切れない程の辛い体験をしてきたのに、一つもそれらのことについて愚痴ったことがない。楽天的で呑気な人だったよ。昔は・・・・・・・・・、みたいな話をされた覚えがない。今、考えるとすごいよね。僕みたいにグダグダと現状に不満を言わないんだから。


あなたも記事の投稿・販売を
始めてみませんか?

Tipsなら簡単に記事を販売できます!
登録無料で始められます!

Tipsなら、無料ですぐに記事の販売をはじめることができます Tipsの詳細はこちら
 

この記事のライター

このライターが書いた他の記事

  • 僕のじいちゃんの話 ~別れの想い出~

  • 僕のじいちゃんの話 ~タバコと棺桶~

  • 僕のじいちゃんの話 ~グッド・バイ~

関連のおすすめ記事

  • 「させていただく」って変だよね

    考察白書有料版

    考察白書有料版