生田流と山田流、習うならどちらがよい?

増田朋美

増田朋美

おはようございます。初めまして、今日からこちらのサイトでもお世話になることになりました。増田朋美です。こちらのサイトでは、主に箏にまつわる情報を発信していけたらいいなと思います。たまに、ピアノについても。いずれにしても、読んでいる人が楽しめるような、そんなサイトを目指していきます。

さて、日本の伝統楽器の代表選手である箏ですが、実は流派がある事をご存じでしょうか?日本の伝統芸能は、大体流派があるのですが、箏にももちろん流派があります。箏の流派は、代別すると、生田流と山田流に分けられます。ほかにも、京極流とか、筑紫流などもあるんですけど、其れは、少数派なので、割愛しておきます。なので、生田流と山田流に絞って述べたいと思います。

歴史的に言ったら、生田流のほうが古く、演奏者も多いです。違いとしては、生田流の場合は、角爪と呼ばれる四角い爪を使用するのですが、山田流の場合はとがった爪を使用します。箏に向う座り方にも特徴があり、生田流は、斜めに座りますが、山田流の場合は正面に座ります。違いとしてはっきりしているのは、この二つです。

生田流と山田流の違いとして、もう一つあげられるのが楽曲内容です。いずれも、江戸時代の古典箏曲を学ぶことはできますが、生田流の場合は非常に技巧的です。山田流の場合は、歌のほうに重きを置いているため、お箏の技法ではさほど難しくありません。ただ、その分、メリスマ的な歌唱法があったりするので、歌を歌うのが難しくなるでしょう。そういうところが、違いとしてはっきりしています。

ただ、山田流の場合ですと、古典箏曲の出版社である博信堂が廃業していますので、古典箏曲の楽譜の入手ができないという問題があります。これについては、店などに販売されていないことが多いので、メルカリのようなものを頼る必要があるでしょう。せっかく先生に習うことができても、楽譜がないのでできないというケースはざらにある事なので、それは、しっかり頭に入れて置く必要はあると思います。また、部品の販売などでも山田流は少数派です。山田流の物を扱ってくれるお箏屋さんも、最近は少なくなりました。ただし、山田流の先生は、そういう危機的なものを抱えているからでしょうか、日本の伝統を後世に伝えていきたいという思いが強い方が多く、わずかに残っている古典を大切にやっていこうとされている方が多くいらっしゃいます。日本の伝統にふれてみたい、という方には、非常に良いきっかけになる事でしょう。決して短所ばかりではないのです。

生田流の場合は、古典箏曲も安定して出版を続けているようですし、何よりも、現代邦楽を描く作曲家さんを多く抱えていますので、安定感があり、発展していく可能性はあります。ただ、現代邦楽となりますと、調性が不安定なものや、本来の箏の演奏法を無視したり、和声的に美しくない曲などをやらされる可能性もありますので、そういう現代音楽が嫌いという方は、生田流では一寸不向きなのではないかと思います。例えば沢井忠夫さんや、牧野ゆたかさんなど有名な作曲家がいますが、この方々は伝統的な、調弦法を無視して、不協和音の連発と言える曲を作りますので、そういう曲が苦手という方は、生田流では難しいでしょう。安定した出版もあり、将来性もあると言われている生田流ですが、こういう短所もないわけではないのです。

こういうわけですから、生田流も山田流も、それぞれ長所短所があって、どれが一概にいいのかということはできません。生田流は、安定しているが、曲自体が箏の雰囲気を壊してしまうような曲もありますし、山田流は、楽譜の入手などが難しいが、日本の伝統を学べる可能性がある、という特徴がある流派なのです。日本の伝統は、大きく分けると二つあって、西洋を取り入れて別の形でやっていこうとする流派と、日本独自の物を保持していこうとする孤立した流派とに分けられます。生田流は前者、山田流は後者と言えるでしょう。

現在は、いろいろ情報があって、いろんな勉強をすることができる時代になりました。その中から、お箏をやってみたいなという方は、まず、生田流と山田流どちらという選択を迫られると思いますが、その時必要なのは、自分が何を学びたいかを問いかけなおしてみてください。伝統を学ぶなら山田流、安定したところなら生田流です。この二つを考えてから、お教室選びに行ってくださいね。

本日もお付き合いくださりありがとうございました。


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この記事のライター

増田朋美

琴弾き、ピアノ弾きという二つの草鞋を履いて生活している人です。 このサイトでは、お箏の事について、ピアノの事について、私が学んできた事を、列記していきたいと思います。 まだまだ未熟ですが、お付き合いくださりますとうれしく思います。 SNSでは本名で活動していますので、ご了承くださいませ。

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