皆さん、こんにちは。
皆さんは箏というとどんな印象をお持ちでしょうか?
やはり、お正月ですか?それとも、箏なんて全く縁起はないとおっしゃる方もいるかもしれませんね。
むしろそのほうが多いかもしれません。私も、その現状は認めます。
これからお話しする内容は、お箏の代表的な名曲である、六段調について解説するものですが、このコンテンツを購入してくださった方はきっと、お箏に興味をもって来て下さったと思います。何かお箏を学ぶにあたって、お役に立てたら幸いです。
なお、このコンテンツは、私が所属している山田流に基づいて述べておりますので、流派によってはちょっと違う点があるかもしれません。その点はご了承ください。
1,六段調について
六段調は、ろくだんのしらべとよみ、箏の発明家でもある八橋検校が作曲されたと伝えらえれています。
箏の音楽そのものを指す言葉として、箏曲という言葉がありますが、この中でも細かいジャンルがあり、六段調は、その中でも段ものというジャンルに区分されます。段ものとは西洋音楽で言いますと、組曲のような感じで、小さな曲(段)が、いくつか組み合わせっている音楽です。ソナタなど、いくつか楽章がある音楽と比較されやすいのですが、どちらかと言えば組曲に近いのではないか、と思います。
だた、現在演奏されている六段の調べは、流派によって演奏に差異があり、どれが本物なのかという定説はありません。そのあたりはちょっと分かりにくいところではあるんですが、いずれにしても、箏の名曲として、箏を知るためのひとつの手段として、残していって欲しいものです。
2,楽曲内容
名前がしめす通り、6つの部分(段)から成り立つ組曲で、それぞれの段に初段、二段、三段、四段、五段、六段と名がつけられています。これらが単独で演奏されるということはほぼなく、全曲通して演奏されるのが一般的です。演奏時間は、これも人によりけりで、一概にこうとはいえないのですが、7分から10分程度といわれています。
調弦は、替え手が雲井調子、本手が平調子です。替え手をつけて演奏することもありますが、ほとんどが本手のみのソロ演奏になることが多いです。ここでは本手に限って記述させて頂きます。なぜなら、それほど、本手が有名なので。
初段
このメロディは、もしかしたらお正月に聞いたことがあるといわれるほど有名なメロディとして知られており、お箏を習うひとは、何回も暗唱した記憶がある人もいるかもしれません。
まさに、日本のお箏というイメージを持たれる方も多いのではないかと思われるほど著名です。
二段
初段のメロディを踏襲していますが、やや発展的な感じがする雰囲気に変わります。テンポは初段よりも少し早くなります。
三段
裏連と呼ばれる奏法から始まり、初段をさらに発展させたメロディが続いていきます。裏連の技法は、取得するのが難しく、手首をくるりと素早く回転させ、親指で巾から壱までもっていくのがコツです。
四段
ここから大体の奏者は、テンポを早くすることが多いです。また、曲の雰囲気もそれまでおだやかな雰囲気だったのが、急に活発な雰囲気に変えることが求められます。
五段
四段よりさらに活発になり、動きのある段に変わります。ここでは、押し手と呼ばれる左手で絃を押すという技法が重要視されます。
六段
いわゆる、組曲の最終楽章に当たるところですが、五段より早くなり、割爪と呼ばれる技法を使った、組曲を締めくくるフィナーレ的な楽章になります。最後は、割爪を繰り返して曲を盛り上げ、次第にゆっくりになっていき、裏連で曲を締めくくります。
3,譜本について
現在六段調として出版されている楽譜は、山田流には博信堂の横譜がもっとも王道を歩くものでしたが、博信堂が廃業しているため、現在は入手することができません。現在楽譜を入手するのであれば、生田流正派、大日本家庭音楽会、正弦社等の楽譜を借用して演奏するしかなく、正当な山田流の楽譜が入手できなくなってしまったのは大きな痛手になると思います。
この楽譜の問題は、かなり昔から騒がれていることでもありましたが、もう復刊する見込みはないようです。そうなると、日本の伝統が又消えていくことになりそうですね。其れも又悲しいなと思ってしまう所存です。
そういうわけで、ほかの流派から借りてくることしかできない曲ですが、この曲が断絶しないで残ってくれれば良いなと切に願うばかりです。
4,まとめ
・八橋検校により作曲された、組曲にちかい、段ものと呼ばれる箏曲。
・六段の言葉通り、6個の部分から成り立っており、全曲通して演奏される。
・現在は、山田流の正当な楽譜は入手できず、ほかの流派から借用するしかないのが残念。
いかがでしたでしょうか。六段調について、簡単な解説をしてきましたが、少しでも六段調をがくしゅうするにあたって、何かお役に立つことができたら幸いです。箏というと、なかなか門外不出であることが多いのですが、あえて、公開することも必要なのではないかと思い、このコンテンツを立ち上げました。よろしかったら、参考にしていただいたら幸いです。