本当に大変だった。
増田朋美
こんにちは。ほんとに暑い日が続いていますね。暑い暑いと言いながら、台風がどうのとか、ゲリラ雷雨がどうのとか、本当につらいよのなかになったものです。そのうち、夏は外出禁止時間とか、もうけられるのかもしれないね。
さて、本日のお話はバラキレフのワルツ4番のお話。
このワルツですが、やってみると本当に難しいのですよ。音が多いとか、超絶技巧とかそういう物が登場してくるわけじゃないけど、とにかく大変なんです。画像をみればそんなに大変ではないように見えるけど?
とにかく、弾けなかった。ほんとに難しかった。というワルツです。
初めのころは、なんで弾けないんだろって、感情的に考えてしまって、自分を殴りたくなったりしました。何回も精神安定剤を飲んで、落ち着きを取り戻す、なんてことをしたこともありました。
それをしても意味のないことはわかっていますが、でもやってしまうのです。それがやっぱり障害者なんだなって気がしてしまいます。
それではいけないから、どうして弾けないか、安定剤と一緒にかんがえることにしました。まず初めにわかったのが、とにかく、楽譜を見れるくらいのテンポまでおさえて弾くこと。馬鹿みたいと思うかもしれませんが、これが結構重要であり、どうしても指定テンポで弾かなければと思ってしまうのを無理矢理おさえて、楽譜を眺めていられるテンポまで落とすのです。亀みたいにのろくなるけれど、このワルツはとにかく臨時記号が多いワルツですので、そこで混乱しやすいのです。調号に騙されることなく、臨時記号をおいかけて、ほんとにものすごくゆっくり弾くことを繰り返しました。
次にやったのが、習うより慣れろと思うこと。このワルツは変ロ長調なんですけど、途中に変ホ短調という、黒鍵のおおい調がでてきます。そのなかには、ダブルフラットだったり、ドのフラットなど、日頃慣れていないおとが用いられたりします。これに関しては、とにかく習うより慣れろです。そして、その中でも、臨時記号が多くて、また複雑な響きになっている、というワルツなので、頭がパニックになってしまう。だからこの部分は習うより慣れろです。異名同音で覚えてしまうのもありですが、とにかく、ダブルフラットや、ドのフラットといった、そういうちょっと変わった音は何度も弾くことにより、習うより慣れると考えることが大事。
3つめは、プライドを捨てること。音大生だからとか、長くやってるからとか、そういう理屈は一切通用しない。それが逆にゆっくり弾くことへの妨げになったりすることもあるので、もうそんなものはどうでもいいや、と思い直しました。いまでは、どんな人でも、譜読みはちゃんとしなければならないよという考えに変わりましたね。とにかくですね。一度このワルツを弾き始めてから、全くピアノが楽しくなくなり、弾くことができなくなったことがあります。過去にハンマーグラビーアとか弾いてたんですけど、それがなんで弾けたのかわからないくらい落ち込みました。しばらく鬱状態だったんですが、救われたのは、リャードフの牧歌の楽譜を買ってみて、それが弾けたから。改めて再度頑張ろうという気持ちになれたわけです。落ち込みから脱するためには、一曲に絞って練習しないで、いくつか複数の曲を一緒にやっていくことも大事なんです。
最後に、このワルツを練習するにあたって心がけたのは、ずっとというか、ひたすら待つことでした。すぐに弾けるようになる曲ではありませんから、何日も弾けない状態が続いて、もう嫌だと思うけど、ずっと待ち、ひたすら待つのです。練習してると、本当に間違えてばかりだし、このダブルフラットは、何の音とかで、パニックになることも多かったけど、とにかくそれでも待つのです。指定テンポで弾かなきゃとか、かっこよく弾かなきゃとか、そういう事は全て捨てる!これを思っていないと、このワルツは練習できません。
そんなわけで、亀さんより歩みののろいワルツ4番でしたが、どうにかこうにか、弾くようになりました。まだまだ、本番で弾けるようにはできていませんが、とりあえず、通して弾けるようになりましたので、良かったです。何をするにしても、こう言う壁みたいなものはあると思うけど、感情的に登らなくちゃ!ではなく、どうやったら登れるか、を考える方が先なんだろうなと思います。まだまだ難しい、バラキレフのワルツですが、やれるところまでやってみようと思います。音楽は他の学問と違い、いちど獲得したものが無駄にならないのが、すごいなあと思うんですよね。なかなか、そういうことができる学問は少ないと思いますので、この素晴らしさを伝えて行きたいなと思うのでした。
今回は苦労話で終わりましたが、まあ、変なやつのボヤキだと思ってくださいね。最後まで読んでくださってありがとうございました。また、次回お会いしましょう!