連載小説【FOOT PRINT】2

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LAY-RON

LAY-RON

キリスト教との出会い

仏教、新興宗教、神道、色々あるが俺はキリスト教にした。

俺が今日語ろうと思っているのはこのことよ。

なんで数ある宗教からキリスト教にしたのか?ということ。

俺には家族がいる。血族よりも濃いつながりがある家族だ。兄弟盃とか色々あるけど、まあそんなことはどうでもよくて、とにかく互いに家族だって言い合った人間たちだ。

俺と、、、仮名にしておくか、バレて面倒ごとになっても不憫だからな。

俺と、龍と、般若。地元もやってきたこともだいたい同じだから今もよく飲みにいく。好きな女の趣味が似ていることで中坊の頃は仲が悪かったけれど、おかげさんでみんな無事いい人と結婚する事ができたからそういうこと抜きに今では心底家族だって言い合える。幸運なことに嫁たちも仲がいい。同じ苦労をしてきたからねえなんてさっぱりとしているとこがありがたい。後ろめたいことを明るく転換できる気量が自慢だ。

ヤクザの稼業に俺たちが限界を感じたのは龍の結婚が決まった頃だった。これじゃあ嫁も子供も養えない。しのぎを削るなんて、そんな情緒的なことを言えなくなりはじめた頃だった。芸能人になるほどの見てくれでもないし、そこかしこで暴力団という名前から「反社会的組織」と名称がさらにお堅くなるような時代だったかな。

三人寄れば文殊の知恵とばかりに夜な夜な飲みながら打開策を考えたんだ。本当だよ?寝なかった。あんなに頭を使ったのはいつぶりだろうってくらいに考えまくった。考えて考えて考えて打開策を模索した。

で、妙案が浮かんだんだ。

宗教家になること。宗教という特性上門前払いはありえない。本当に信仰を持てば、ヤクザって履歴書に書いてあっても上書きして社会的地位を得られる。

でも当時の俺たちはどこの宗教が一番門戸が広いかわからなかったんだ。三人いるし、それぞれスパイをしてみようぜとなって、龍が仏教(即金可能だろうってことから仏教にしたなんてあんまりでかい声で言えないけどね)、般若が神道(ここは入りにくかったけど、あいつは若いし戸籍も経歴も一番汚れていなかったから白羽の矢を立てた)、それで俺がキリスト教だったという具合だ。

最初は偵察のつもりで、イエス様よりも龍や般若のために掠め取ってやろうって気概で毎週礼拝に通った。飯もただで食わせてくれるし、何より歓迎具合がすごかった。毎度毎度いろんな人に「ようこそいらっしゃいました」なんて声かけられるから参っちゃったよ。気恥ずかしくて、後ろのほうを陣取っているといつも世話してくれるおばさんがすっと隣に座ってくれて、ひとりぼっちになることは一度もなかった。

帰り道に幾度も泣いた。俺だって人の子だからね、純粋に忖度なくよくしてくれたらハートは揺れる。

龍と般若も同じようなことを言っていた。彼らは彼らで仏教と神道が性に合ったみたいだった。

それから俺たちはそれぞれの道を極める事で生きる道を勝ち得た。これはほんの序章で、俺がキリスト教徒どうして出会ったかっていう単純な証でしかない。

俺の歩みはこれからが本番だった。一筋縄ではいかなかった。シャバの厳しさとはまた違う薄気味悪い厳しさに直面し、信仰も生活も混迷を極め、同じクリスチャンの中でもヤクザよりもしょうもない人間がいることを思い知らされるんだ。

<<続く。。。>>

※この小説は生活困窮者、および現代社会において虐げられている方々に読んでいただきたく執筆していますので今後も無料で掲載して参ります。


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LAY-RON

To Kids,To You. 2033年へ それまでの歩みをラブレターに添えて

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