出世レースなんて所詮出来レース。俺はそのコースから外れた。
やっぱりねっていう気持ちと、なんでだよって気持ちと、俺だってという気持ちといつか見ていろって気持ちと、それ以上の周りの目に対する恐怖。
できない人間ができる人間を装ったことによる負債が今俺に押し寄せている。望まれて生きてきたのに、依頼通りに振る舞ってきたとにいきなり梯子を外された。
犯人探しに躍起になった。いろんな人間を作って内部を探り尽くした。ひとつもぼろは出なかった。つまり俺の実力不足が表からも裏からも証明されたってわけだ。
「アホくせえなあ、何か憂さ晴らしでもしようか」
目を皿のようにして、怒りのほか先を見つける。