【20074-10】No,1

【20074-10】No,1

LAY-RON

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芽実と最初に出会ったのは寄田のお供として遊びに行った時だった。

ひとりじゃ心もとない、とにかくおっかない女なんだと冗談に言うくらい好きな女ができたんだと友人のひとりとして嬉しかった。

俺は誰かの恋愛の手伝いをするような性分じゃないけど、寄田に頼まれると放っておけない。あれのいいところだと思う。

「盛り上げたりはできないよ?俺のキャラ知ってるでしょ?」

「いっしょにいてくれたらいい。それで話に詰まったら話繋げて」

わかった、俺、接続詞ね。それ以外は黙ってるわ。

夜勤明けの重たい体を引きずって近所のファストフードに行った。

女と会うのにファストフードかよと、寄田のセンスを疑った。

「お待たせしました」

折目正しい挨拶とハイヒール。TPOにうるさそうな装いなのにその柔和な笑顔からこの場所を心から喜んでいることが伺える。

混乱した。

どっち!?育ちがいいの?見た目だけの人なの?

「はじめまして、、、」

「寺原さんですね、寄田さんからお噂はかねがね。はじめまして、芽実です。この間、お土産くださったでしょう?寄田さんからお裾分けしてもらって。とてもおいしかったです。ごちそうさまでした」

え?妻?

「何食べる?俺、買ってくるよ」

そりゃそうだろう、寄田、、、ファストフードだぞ、、、たかがワンコインだぞ、、、

「私、行ってきます。メニュー見てみたいから」

あ、本物のお嬢さんのほう?

「ダブルチーズバーガーのセットだろ?いいよ、俺いくよ!」

え、常連なの?

「今日は月見バーガーセットに挑戦しようと思うの。あと、ホットアップルパイも頼むか迷ってるからいい!」

あ、そこは初体験なんだ。

「わかったよ。ほんと細かいよな、、、」

ちょっとまって。

寄田がご馳走できなくて残念がっている。ここ、ファストフードだぞ?

芽実が寄田の中学時代の同級生なこと、大病を患って友達と疎遠になっていること、寄田のことはなんとも思っていないこと、マクドナルドが好き過ぎて自制心がきかないことが昨今の困りごとであること、学歴コンプレックスがあること、バカみたいに聞き上手なこと、セーラームーンが好きなこと、初恋の芥田という男を今も忘れられずに探していること、でも探す手立てがないから運命に任せていること、流行を知らなすぎること、情勢に詳しすぎること、それから、、、俺の連絡先を聞くそぶりも見せなかったこと。

情報量が多過ぎたことは今もいつでも簡単に思い出せる。

あれから10年が過ぎて芽実は結婚して離婚した。芥田とも再会して、疎遠になっていた友人たちともまた楽しく遊べるようになった。

そして、俺は10年の月日を経て芽実を好きになっていた。

寄田には話すようなことではないけれど感じてくれていることは確かだった。

、、


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LAY-RON

To Kids,To You. 2033年へ それまでの歩みをラブレターに添えて

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