【19892-10】No,1
LAY-RON
「あたしの永遠、あたしの全て」
めみの愛は俺のためにある。俺以外に向ける愛は慈愛であってそれ以外の何物でもない。
めみが「いい」と言う、あなただけがいいと俺を求める。
めみの全ては俺にある。俺が生きていなければめみは死ぬ。俺が死ぬことを拒めばめみも生きようと必死になるだろう。
第二ボタンは俺と再会したことによって紛失したらしい。今までありがとうと俺からも礼を言いたかった。
俺の心臓の一番近くで鼓動のリズムを感じていたそれが彼女を守ったのだと思えばすべての辻褄が合う。
めみと離れ離れになった後の俺は笑い話にもならないほどだった。
生きていることは覚えていない、死んでいたと思うけれど、そのことについてはいつかめみにだけ俺から話そうと思っている。
めみの笑顔に俺の顔が綻ぶと、その瞬間めみが顔をくしゃくしゃにして涙をポロポロと落とす。「ごめんね」と言う。笑顔がリンクして泣き顔になって、泣き顔が俺を絶望へと引っ張っていき窒息させるように、溺死させる。
溺れるならめみの愛がいいなあと笑うと、その自嘲が俺自身を虚しくさせてプロボクサーにクリーンヒットをくらうようなボコボコの顔になっていく。
いっそのこと殴り殺してくれ!!
空を切るパンチは俺としてはかっこいいと思っても世間はダサいと感じるらしい。
めみなら、、、もしも、めみがこの姿を見ていたら、、、
繰り返して思い描いて、ぶちのめされて、ボコボコになって白昼夢にうなされる日々だった。
めみは呑気にこう言う、
「芥田は順風満帆だったんでしょう?あんなにモテモテだったんだもの」
口を尖らせて、漫画みたいな可愛いフリをして俺の気を引く。一人称を「めみちゃん」とか言って、いくつだよって笑うと、めみも満足そうに笑う。
まるで俺を笑顔にできたことに満足したとでも言うように。
幸せは大したことじゃなかった。不幸もまた大したことじゃなかった。
簡単なことで幸せだと気付いたし、簡単なことでこの世界は薔薇色だったことを思い出した。
めみがいればそれで100点満点だ。
お勉強大好きめみちゃんに俺は聞いた、
「めみさん、俺と一緒にいる人生は何点ですか?」
「着地点」
「え??、ああ、じゃあ俺は愛着起点かな?」
「それは私にとっては100点だわ、、、芥田、、好き、、、」
巡り巡って回り回って俺たちは俺たちに帰ってきた。
おかえり、ただいま、いってきます、いってらっしゃい、おかえり、ただいま、、、
俺たちは止まることなくいつでもふたり一緒に巡っている。
負け犬は巡り巡って勝利した。
LOSERがLOVERにね。