連載小説【女難の家に生まれた五人兄弟】

連載小説【女難の家に生まれた五人兄弟】

LAY-RON

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長男46歳、次男40歳、三男36歳、四男30歳、五男22歳。両親はすでに他界して親戚付き合いもない。

五男だけどうした?歳離れてるな?

親父が違うんでというのも面倒臭いので笑ってやり過ごす。

長男の俺はサラリーマン、次男はモデル、三男は美容師、四男は市役所職員、そして五男は大学生。

戦後から事業拡大を繰り返し我が家の名前はそこそこに世の中に知られているが、俺たちはその身分を隠して世の中に紛れるように職業を選択した。

次男は離婚歴あり、三男は昨年結婚詐欺にあってバツがついた、四男は美人局に3回あっているし、この分だと五男の女難デビューは今年か来年かという感じだ。

ちなみに俺も女難の相が出ているとか、女の生き霊が肩に乗り続けて早10年になる。どうしてこんなに我が家は女難の相が出るんだろうと占い師に見てもらったことがある。青森のイタコだ。かびとトイレの異臭がする部屋に黄ばんだ不動明王の飾り。おんべも黄ばんでいるた。髪の毛がバサバサのばあさんが涎を垂らしながら降霊させて、こう語った。

「お前の家の戦国武将をやっておった男に私は殺されたのじゃ、、、末代まで呪ってやる」

定説、定番、ありきたり。おもしろくない、と五男はつぶやいた。

俺たちは睨みつけた。お前はまだ被害にあっていないからそんなありきたりなことが言えるんだよ、童貞。わらをも縋る思いは経験者でなければわからない。

「それで、その俺たちの先祖は、その、、、」

三男が前のめりになる。畳にはここから立ち入り禁止の赤いテープが貼ってある。ギリギリまで詰め寄る。

「お前たちの先祖は女を何人も食っては捨てた。女郎に売ったのならまだしも、やって捨てて、、、ギャーーーーーー」

ババアが悲鳴と共に倒れる。どよめく俺たち、顔を見合わせる。

「ここまでで、30分。追加には料金がかかります」

正気に戻ったふうのババアは涎をこれまた黄ばんだタオルで拭いながら前歯を見せた。

三男がすぐさま財布を開く。

結局3時間で12万円。ババアに12万円。

「ま、でもさ、割り勘したらキャバクラより全然安いよな」

帰り道、絶対言ってはいけない慰めの言葉を四男がヘラヘラしながら言った。

東京まで新幹線で帰ってくるつもりが高速バスになった。

俺、長男46歳。次男40歳、三男36歳、四男30歳、五男22歳。

よその家と比べたことがないけれど、俺たち家族って馬鹿なのかな、、、

<<<続く>>


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To Kids,To You. 2033年へ それまでの歩みをラブレターに添えて

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